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2006年05月10日(水)更新

■私の座右の書■(パート1)

■私の座右の書■(パート1)

「売れない時代に何故売れる」
伊吹 卓


15年以上前のマーケティングの本なんてどれほどの価値があるのか?
ほとんどの皆さんがそう思われることと思います。

私がこの本を手に取ったのは、その15年前、ちょうどデザイナーの仕事
から広報コミュニケーションの世界に移ったときでした。

何故興味を持ったかというと、戦前から戦後にかけてヨーロッパおよびア
メリカで活躍したレイモンド・ロウィーという工業デザイナーの話が出てい
たからです。

ロウィーはそれこそ、僕が大学の教科書として読まされたような人で、彼
の著書のタイトルが「口紅から機関車まで」というように、様々なもののデ
ザインをしてきた、創成期の工業デザイナーです。
工業デザインだけでなく、シェル石油のロゴや日本のタバコのピース、米国
のラッキーストライク、あとはお菓子の不二家のロゴもそうです。

彼のすごいところは、そのようなデザインの仕事で、ものすごい報酬(デザ
イン料)をチャージしていた点です。

日本ではまだまだ「企画やデザインのような付加価値は対価として定量
評価しにくいのでサービス(オマケ)」というような認識が払拭し切れてお
らず、いまだにデザイン料や企画料は「どう評価していいか、わからない」
から「高い」、「そんなにお金は払えない」といわれる。
著作権の認識も薄いので、「うちのために作ったんならデータでちょうだい」
といわれることも。

で、何故、ロウィーがそんな高額のチャージができていたか?企業が喜んで
それだけの報酬を彼に払っていたか?というのが伊吹さんの興味で、それを
解明するためにアメリカのロウィーファウンデーションまで飛んで聞きに行っ
ちゃったんですね。(すごい行動力)

それでわかった!ことを本に書いているんです。
これはもう!目からウロコ、でした。そのことは、ロウィー自身も著作や文献
には残していなかったんですね。
僕も美大生でデザインの勉強をしていたときはロウィーの作品については触れ
ていましたが、そんな秘密は学校で教えてもらえませんでした。
でも、ビジネスプロフェッショナルとしてデザインを生業とするものには非常
に大切なエッセンスでした。

(続きは明日)
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