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2006年07月20日(木)更新

機密漏洩とコミュニケーションスキル

米国でのSOX法の施行だけでなく、年初のライブドアに代表される
企業統治を揺るがす問題の顕在化も進み、日本でもコーポレートガ
バナンスの在り方や監査制度の見直しが進んできました。

さらに企業の情報をどう守るか、という点で情報セキュリティのビジ
ネスもかなり勢いがあるようです。

昨日のブッシュ大統領の話にも関連しますが、情報セキュリティの
問題はシステムだけでもちろん全て解決するわけではありません。

倫理やCSRにもかなりの比重がかかるのでは?と思うエピソードが
あります。
ここのところ、ある大手企業のコミュニケーション関連の調査で、ほぼ
毎日、その会社の入っている複合ビルに通っています。
そのビルには上半分が私たちのクライアント、下半分には大手のアパ
レルが入っています。

何度かエレベーターに乗っていると、そのアパレルメーカーの社長の名
前や事業部長レベルの人の名前とともに、業務の方針やトピックなどが
耳に入ってくることがありました。

もちろん耳をそばだてているわけではありませんし、ほんの数秒のこと
です。しかしその中ででてくるキーワードだけでも、結構いろんなことが
想像できてしまいます。

昔、半導体メーカーにいたとき、日本の半導体の状況が知りたければ
夕方帰宅時間帯に南武線に乗れ、という冗談を記者から聞いたことが
あります。
日本メーカーのサラリーパーソンは結構不用意に大声で業務関連の話を
している、というのだそうです。

会社の信用とビジネスを守るために、どのような心構えでいるべきか、
考えさせられることが少なくありません。

対応としてしっかりしているなあと感心したのは、元お世話になった半
導体メーカーです。
ここは社内に小さな会議室がいっぱいあり、オフィスのキュービクルや
カフェテリアなどのオープンスペースでのビジネスミーティングは(たとえ
上司と2人だけのものでも)基本的に禁止していて、必ずプライバシー
の守られる会議室で話をすること、と決められていました。
「となりで聞いている仲間が、明日ライバル会社に行くかもしれない」
というのは大げさですが、基本的にオープンな情報開示を行う企業で
あっても、聞く必要のない人に聞かせず、担当業務に集中させる、という
けじめのつけ方が気持ちよかったです。

ではこういう会社はオフィスがシーンとしていてコミュニケーションが
冷えているか、というとそういうことはなく、頻繁に声を掛け合ったり
挨拶したり、冗談をすべらせたり、とても明るいオフィスでした。

もうひとつ。
お世話になっている外資系大手メーカーさんですが、ここも社内倫理が
高いことで有名な企業です。
感心したのはエレベーターに乗ると扉の内側に
「Quiet please - おしゃべりはひとまずお休み」
と書いてあり、言下に機密漏洩に対する姿勢を社員に伝えています。
上手な会社だと思いました。
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