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2007年01月09日(火)更新

計画された偶発性~書評:好きにやっても評価される人、我慢しても評価されない人

好きにやっても評価される人、我慢しても評価されない人
小杉 俊哉 (著) ¥ 1,365 (税込)
PHP研究所 (2006/9/26)


小杉さんは、尊敬する「仲間」の一人だ。
今までも、何度となく仕事をご一緒させてもらった。

既に何冊も本を書かれていて、 この本は昨年紹介した「ラッキーを
つかみ取る技術」に続く本だ。 テーマとしては全てのビジネスパー
ソンに、「評価」の側面からキャリアの形成を 語ったものだが、既に
独立している私のような人間にとっても、多くの示唆にとん だ内容
だった。
人材を採用する立場から見ると、スキルや適性試験での判断はあ
まり信用できない というのが定説で、一番信頼できるのが「顔つき」
で判断する事だ、というのが痛快 だ。なぜなら変化の激しい今のビ
ジネスにおいて、人間力が大きく問われ、それは まぎれもなく「顔
つき」に表れるのだと言う。

また、あまり「自分はこうありたい」というプランに沿ったキャリアを
歩むよりも 非主流や新規部門での仕事が「自律」を促し、その力
が不確定な時代の先見力を磨く という。
「顔つき」にしても「自律」にしても、言わんとする事は「技能」や「知
識」などの 「ハードスキル」に対する「ソフトスキル」の重要性だとも
言える。

このような面を無視して、企業の成長に合わせて一般的な人事評
価システムを導入し、会社の雰囲気がおかしくなってしまったベンチ
ャー企業をたくさん見た、という話は、読んでいて寒気をおぼえるく
らいリアルだった。
一番強烈なのは、米国で数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンの
キャリアを分析し たスタンフォード大学のクランボルツ教授の調査結
果で、その8割は「いまあるキャ リアは予期せぬ偶然に因るものだ」
と答えているのだ。
それを「Planned happenstance(計画された偶発性)」と呼んでいる
そうで、最初 にキャリア目標を置くよりも、自分にとって好ましい偶
然が起こりやすくなるような 行動を日頃からとることが肝要だと説い
ている。

目標の貫徹にあと何が足りないだろう、と考えると、ない事だらけで
笑ってしまうほかない。

しかし今までやってきた事が不思議とすべて布石になっている、と
思える自分が今あれば、この本はさらに背中を押してくれる。
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