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2007年10月10日(水)更新

あなたの仕事は何なのか?

「プロフェッショナル仕事の流儀」というNHKの番組が好きだ。
同様のビジネスドキュメントには以前「プロジェクトX」があった
が、演出パターンや表現の誇張など、問題があり、徐々に人
気にかげりが出て行った。

今回の番組はその教訓が活かされているように感じる。
司会の茂木健一郎さんも、気負わず冷静にその人の本質が
どこにあるのかを探り出していく。
ヘリコプターパイロットから競馬調教師まで様々な仕事、様々
な対象と対峙するプロフェッショナル。

そのエピソードからたくさんのヒントを得ることができるが、面
白いのが、茂木さんがどんな質問を投げかけようと、皆ほとん
ど即答するところだ。もちろん事前の打ち合わせもあろうかと
思うが、番組内のドキュメントもあわせてみなさんに一貫した
ものを感じるのだ。

それは「判断がとても速い」ということだ。
 
みな、最初から「プロフェッショナル」とか「達人」とか「匠」と呼
ばれていたわけではない。
小さな自己責任において、判断力を磨いてきたからだ。
逆に言えば、プロフェッショナルになる早道は、本の少しの勇
気を持ち、自分の判断をもって日々仕事を進める、ということだ。

しかし現代ではそれでゴールが見えなくなってきている。
昔は経験を積んだ上司の判断は絶対で、叱られながらその間
合いを積んでいけばよかった。
上に立てば、その経験を元に指導すれば事足りた。
現代は、社会の価値変化が速いゆえ、経験を積んだ上司であ
ろうとも過去の経験にだけ頼るわけには行かなくなってきてい
る。
昨今、大相撲部屋の様々な問題が取りざたされているが、これ
はまさに、部屋(管理者含め相撲界の組織全体)が社会変化に
適応できていない証左ではないのか?

今、この番組で取り上げられているプロフェッショナルの方々が
すごいと感じるのは、そのような時代の変化にきちんと対応す
べく、自らの感覚をを磨くことを決してやめないことと、部下や周
りの人、お客さんなどから積極的に話を聞く、さらには自然や環
境、動物を徹底的に観察しつくしている、ということだ。

今の社会は、すでに出来上がった上司の判断だけでは回らな
い。ましてや判断を伴う仕事以外の定量的な仕事は、すべて
アウトソースされる。
自分の(仕事の)価値が明示できない人のポジションは早晩淘
汰される。
15年前にセルフリストラした人間が言うのだから間違いないは
ずだ。(泣・笑)