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2007年10月18日(木)更新

ReuseとCreativity

約10年ほど前、まだウェブサイトを持つこと自体がステータス
だった時代、ある雑誌のインタビューでシーナ&ザ・ロケッツ
の鮎川誠さんが自分のウェブサイトについて語っていて、とて
も感心したことがある。久しぶりにひょんなきっかけで思い出
した。(細部表現は忠実ではないかもしれないが容赦)

インタビュアー(以下・イ):素敵なデザインのウェブサイト
ですね。

鮎川誠(以下・鮎):まあ、ファンと直接対話ができるメディ
アをもてるということはすばらしいことだよね。
イ:音楽活動でも精力的に世界中を走り回ってお忙しいと思い
ますが、ウェブサイトの構想はどのようにして考えられたので
すか?

鮎:言いたいことや伝えたいことがたくさんある、それだけだ。

イ:デザインも相当凝られているようですが、これは奥様のご
意見なども取り入れているのですか?

鮎:いや、まったく。実際のところ、デザインなんて自分には
できないからネットを見ていて気に入ったサイトのデザインや
ボタンなどのパーツをそのまま拝借して使っているだけなんだ。

イ:えっ?著作権の問題など、そういうことをするのは鮎川さ
ん自身、アーティストとしても問題があるのではないですか?

鮎:そりゃあ、まったくないとは思っていないけど、これでだれ
かの権利を奪っているとは思えないな。だいたいあなたはイン
ターネットの雑誌のくせにインターネットのことがわかってい
ないのではないか?そもそも回線もコンテンツもみんなとシェ
アするためにやっているのではないか?みんなが行き過ぎた権
利主張したらネットは味気のないものになってしまうだろ?
第一、突き詰めてみたら、本当にオリジナリティのあるものな
んてそんなにないはずだ。
人からインスパイアされたものを、もがきながら自分のものに
する、それがロックンロールなんだと思う。
要はオリジナルに対するリスペクトがあるか、ないかだ。

      ◇      ◇      ◇

オリジナルは博多弁だったので、もっとケンカっぽく伝わった
が、写真は笑っていた。多少理論展開に無理があるとは思うも
のの、96年当時にこういいきる鮎川誠はかっこよかった。

そして「ひょんなことで思い出した」きっかけは以下のブログだ。
とても共感した。

株式会社ヘッドストロング・ジャパン
北添 裕己さんのエントリーです。
http://blogs.itmedia.co.jp/torapapa/2007/09/reuse_creativit_a251.html

(抜粋ここから)
コンサルタントには創造力が求められる、とは思いますが、じゃあ単純に
Creativeに富んでいればそれが効率的かというと、必ずしもそうでもなく、
どっちかというと高い「再利用」能力があるかどうかの方が、はるかに戦
略コンサルタントとして大成できそうだし、実際、個人がCreativeをうたう
そのコンテンツ自体は、かなりの割合、いろんな過去の資産、他者から
得た知識・知恵の「再利用」で構成されていることが多いそうです。

「ReuseはCreativityに勝る」
Creativeだといわれる人は、その過去の秀作を上手にReuseする能力に
たけているのだと思います。
(抜粋ここまで)

鮎川誠のインタビューの真意とは少しずれるかもしれないが、彼自身の
楽曲の真意はまさに「最高のReuse」だ。