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2007年06月26日(火)更新

「共通の土台を再発見する」

先週の週末で終了したお台場ノマディック美術館の「Ashes and Snow」展。

「感動で胸が震える」というよりも、「魂のふるさとに帰るような霊的な体験」
というほうがぴったりだ。

数多くの友人から絶対に行ったほうが良い、といわれながら会期ぎりぎりに
なってしまったが、並んでも行った甲斐はあった。
制作者、グレゴリー・コルベールの言葉とサイトをリンクする。

「全ての動物が共有できる言葉と詩的感性を探求しながら、私はかつて
人間が動物と平和に共存していた頃の、共通の土台を再発見することを
目指しているのです」
「私の画像が描き出す世界には、始めも終わりもなければ、こちらとあちら
という観念もなく、過去も現在も存在していません」

http://www.ashesandsnow.org/

CGや合成を使っていないという35ミリフィルムの写真と映像。
そこには奇跡としか思えないような一瞬が切り取られている。

登場する人々の表情は、みんな、「ほとけさま」のようだった。


そして、
そんな作品を包み込むのは、日本人の建築家が設計した、コンテナと紙の
柱で作られた移動式の美術館なのだ。

中はまるで、神社、神殿、もしくはモスクととられるような空間設計だ。

私は家族で出かけたのだが、通常美術館は20分が限界の下の子供(4歳)
も、ずっと飽きずに過ごすことができた。

映像作品を見て、

「ママのおなかの中にいたときみたいだ」

と言ったのには驚いた。最近はほとんどその頃の記憶は言及しなくなった
のだが。

物質と、電波と、情報にまみれている自分の生活に、強烈に何かを問う美
術展だ。

生きているのに生を超越した表情。それを描ききれた作者の力。
色々なものを感じた。

普段家では、テレビなどに頓着しないのだが、この映像作品のDVDを見る
ためなら、大画面の液晶テレビを買いたい、とちょっと思った。

だめだ。まだ物質文明から脱することはできない。orz