大きくする 標準 小さくする

2008年01月23日(水)更新

日本経団連・経済広報センター講演

一昨日は昼過ぎから大手町の経団連ホールにて、経済広報セン
ター主催の講演を行った。
今年初めての講演で、いよいよ今年も始まった、という感じだ。

タイトルは「オンライン活用で変わる企業広報」というもので、約2
時間この10余年の企業のウェブ活用を振り返り、現状の課題と
今後に向けての提案を行った。

当初夜半に雪が降るといわれていた寒い日であったが、驚いたこ
とに寒い中、百名を超える参加者の方の数に集まっていただき久
々に緊張を覚えた。
参加者の方の興味の深さは事前に事務局の方から伺ってはいた
が、多分に講演の時間が限られており、どうしても総花的な内容
にならざるを得ないところもあった。結果的におおむね好評をいた
だくことが出来、少しほっとしている。

質疑も複数の方からいただき非常に有難かった。どれもが実践的
な内容だったので、断片的だが補足をかねて紹介する。

Q1:
オンライン化したステークホルダーへの対応は学べたが、メディア
への対応もオンライン化すべきなのか?またその方法は?

A1:
直接のやり取りを通じより理解を深めていただく、という点におい
ては従前と変わりはない。
傾向として必要な情報をオンライン上で提供し、効率化を図ろうと
する企業が増えているのは事実だし、それを望むメディアも多い。

多くの海外企業、あるいは外資系企業のウェブサイトをみると
「Press page」とか「Media page」というようなタグ(ボタン)がある。

ちょうど採用サイト(海外には日本ほどリッチな採用サイトはあまり
見受けられない。特に新卒向けは特異。もっとも私自身10数年前
にこのような採用サイトのきっかけを作ったひとりなのだが)やIR
向けに特化したサイトのように、メディアの方(記者や編集者)が
ワンストップでニュースソースと企業情報(ロゴや写真、経営者の
バイオなど)を取得できるようにしたサイトだ。
サウスウェスト航空やウォルマートなどが内容が充実していて有
名だ。しかもそれぞれ独自ドメインで展開している。

サウスウェスト航空プレスページ
http://www.swamedia.com/


ウォルマート(以下のアドレスの「Wal-mart media center」)
http://www.walmartfacts.com/


また、日本でも一部の業界(特に一般に情報開示の制限のある医
薬業界など)は記者を登録制にして情報の保護と、より特定のメデ
ィアコンタクトに対しての潤沢な情報提供を行っている企業もある。


Q2:
社内に(同じ広報部門内にも)オンライン(WEB)を通じた企業コ
ミュニケーションに理解のある仲間が少ない。
どのように説得、あるいは理解を取り付けていけば社内の活動を
より円滑にしていけるか?

A2:
これはオンラインに限らず、部門をまたいだコーポレートコミュニケー
ションを行おうとすると必ず出てくる問題だ。
現状、金(予算)をたくさん持っている部門の力が強いことが多く、
予算規模の小さい広報部の意見は取り入ってもらえないことが多
い。

私自身(サラリーマン時代)の経験だが、広報部門内は言うに及ば
ず、他部門との協調を行うために一番最初に宣言することは「これ
は自身や自部門(広報)のエゴのためにやるものではない」という
ことだ。

次に活動の根拠を一番わかりやすいところに落とし込んで始めるこ
と、すなわち「コストの削減」などだ(経営者が売上増加の次に喜
ぶこと)。
おおむね広報部門やコミュニケーション担当は企業内で「利益を生
まないコスト部門」と認識されているところが多い。まずはその意識
を変えさせることから始める、というわけだ。

「広報部がコミュニケーションプログラムに関与することによって、ま
ずコストが削減され、しかもメッセージの統合が図られ効果(評判、
ブランド、シェア、登録、売上げ、など)が上がる」

という認知が広まると活動しやすくなる。
そのためにも業務プロセス全般に対する理解、他部門の部門コスト
に対する活動主旨、さらにいえば相対する担当者の任務を把握する
ところまで出来ると仕事が楽になる。

もちろん企業ごとにビジネスのプロセスや部門のあり方は違うが、
その会社において一番フィットするコミュニケーション職務のポジシ
ョンを得るためにはこのぐらい根本から考え方を変えてアプローチ
するのが、かえって近道なのだ。
<<  2008年1月  >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31