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2008年01月28日(月)更新

現代において修理して使うものとは?

「靴」の話だ。

「足元を見る」とは「相手の弱点を見つけてつけこむ」という例えでよく
使うが、語源はWebで拾うと「昔、街道筋や宿場などで、馬方などが
旅人の足取りを見てのくらい疲れているか判断し、それによって旅籠
代を要求してたことから発生した言葉」だといわれている。

広報という職業柄、色々なエグゼクティブの方を見てきたし、今も多く
の経営者の方とお会いする。
所作のしっかりされている方、ひいてはきちんとビジネスの出来る方は
えてして手入れの行き届いた靴を履かれている。

販売系のご商売や、クリエイティブ系の方でも同様で、服をカジュアル
ダウンしている方でも、靴がきちんとしていると「抜かりないな」という印
象を持つ。
こういうのもひとつの「躾」なのかもしれないが、わたしも最初に入った
会社の人事の方が元アパレル出身のおしゃれな方で、

「学生じゃないんだからスポーツソックスをはくな」
とか
「靴やベルトとスーツの合わせ方」
など、結構指導してくれたものだ。

そんな中、今でも覚えているのが

「高い靴を買う必要はないが、毎日自分で手入れして履きなさい」
というものだ。

三つ子の魂、とはよく言ったもので、出張にも靴の手入れセットは欠か
さないようにしている。

さて、その肝心の靴だが、どんなに格好が良くても、マメができたり歩
くのが苦痛では元も子もない。
幸いにも、最初の職場の先輩が、ある日本の靴メーカーの2代目社長
の友人で、薦めもありそのメーカの靴を履いてみたのだが、いままでこ
れほど木型の合うメーカはない、というほどで、とにかくおろしてすぐ履
いても痛い思いをしたことがないのだ。

以来、毎年銀座の本店に1~2足は買いに行くのだが、そのときに必
ず1~2足、修理に持ち込むのも慣習になっている。

このメーカー、そんなに目が飛び出るほど超高級シューズというわけで
はないが、実直に職人が日本で作っているというせいもあってか、実に
丈夫なのだ。
普通に手入れして履いていれば最低でも2~3回はオールソール(底
の全とっかえ)が可能だ。

今回も2足持ち込み、1足はかなりくたびれていたので見てもらってだ
めなら廃棄と思っていたのだが、「いやこれ、まったく問題ないですね」
と軽くいなされ、戻ってきた靴は新品同様だったから驚きだ。

もっている靴の中で一番古いものはすでに15年以上前のもので、ハー
ドビブラムソールのハーフブーツだ。
重いので寒い日や雪の日にしかはかないというのもあるが、手入れを
してあるので表面上の傷はあるものの、いまだに崩れもほとんどないま
まだ。

このメーカーの靴は市場調査による「ビジネスマンの買う靴の平均単
価」からすると150%ぐらいの価格帯だが、これだけ丈夫で、度重なる
修理により再生できることを考えると、結局保持コストは同等以下では
ないだろうか。
デザインも、日本車に対するヨーロッパ車という感じのモデルチェンジで
緩やかに流行を取り入れていくので、長く履けるのだ。

家電製品は言うに及ばず、多くの「モノ」が明確な(短い)耐用年数で
管理され、「使い捨て」という言葉の印象が悪ければ「リサイクル」と
いう正義の元、消費が加速されていくことに変わりはないような気がす
るのだ。

手入れをして、修理をしながら使い続けるものが少なくなってきた。
物を選ぶとき、たまには「修理しながら付き合えるもの」という選択肢
も加えてみたらいかがだろうか?

メンテナンス(修理)前提でモノを売ってくれるお店


http://www.scotchgrain.co.jp/

ベルト、サイフ
http://www.frame.jp/

傘(別途ショッピングサイト探してください)
http://maehara.co.jp/

万年筆・筆記用具
http://www.shosaikan.co.jp/
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