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2008年03月05日(水)更新

新入社員の「質」が低下している?

本日のニュース報道で
『新入社員の「質」、5年前より低下…企業の4割が回答』という
ものがあった。

日本生命保険のアンケートによると、質の低下理由(複数回答)
は、「コミュニケーション能力・協調性の不足」が最も多く、「向上
心・積極性の不足」「忍耐力の不足」の順だったという。
このニュースを受けてか、同じような着眼点の「コラム」を設けてい
る新聞もあった。
そこには
「”2対8の法則”と言うように、2割の優秀な社員が稼ぎの大半を
稼ぐということは昔から言われているが、問題は他の8割の”普通
”の社員の質が落ちていることが生産性から見ても問題」
と書いてあった。

また、少し古いが2年ほど前にある人材教育系の企業のサポートで
企業の人事採用担当者が50人ほど集まる会に出席したときも、その
場でとったアンケートで「今必要な人材」を聞いたところ、圧倒的に
「コミュニケーション能力」の重要度が高かった。

http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/109/10000356.html

原因を突き詰めれば「ゆとり教育の弊害」だとか社会の変化にともな
う「社会性の欠如」など、色々あると思われる。
また、学生の変わらぬ「大企業志向」も問題なのではないだろうか。
せっかく大きな会社や組織に入っても「自分で考えない」、「人と一緒
に解決できない」ようでは、ついていけなくなるのは目に見えている。
こんな状況では私たち中小企業においても、さらに人材採用が難しく
なる。

ではこの現実にどう対処していけばよいか?

ひとつの答えはブログ仲間のフットマークの磯部社長から聞いたエピ
ソードだ。
フットマーク株式会社

経営者会報ブログ:磯部成文社長のブログ

この会社は社員数70名にして社長以下ブログが20本以上ある。
そもそも社長が率先してスタートし、ならば、と現場の社員が負けずに
続けている、というものだ。

今までは採用に苦労し、やっと内定を出した社員も4月から3ヶ月は
研修を重ね現場に出すという(その”稼がない”間の人件費は純粋な
コストとなる)状況だったのだが、2年前から応募してくる人材はみんな
社長以下のブログを読んで「この会社で働きたい」と思う人たちに変
わったというのだ。
はじめから意識が合っているというか、理解ができているので内定を
出した学生は入社式が終わるや否や「やることはわかっているので
すぐに現場に出してくれ」といったそうだ。
結果、研修期間の人件費コストがほとんどなくなったそうで、彼らの稼
ぎをあわせれば金額にして数千万円の開きになったことを考えると中
小規模の企業では少なくない数字なはずだ。

企業の「ブログ活用」というとマーケティング視点がほとんどで、その
効果測定もあいまいなまま、という事例も少なくないが、これほど明
確な効果測定ができたブログの事例も珍しい。

話を本論に戻すと、(特に中小企業にとって)まず自らの情報開示を
通じた積極的なコミュニケーション姿勢が新入社員や既存社員の定
着率や業務生産性に大きく影響を及ぼすということを経営者は理解
する必要がある、ということだ。

同様の視点で企業の人材採用を語った本を最近読んだ。

「やめさせない!」採用  かまってほしい若者たち

ここでも「ビジョンのマッチング」を重要視しており、採用においても
その確認に集中しろ、というのが論点だ。
採用の効果を測るのは、採用コストに対する入社率ではなく、入社
後の定着率による業務生産性や品質、あるいはブランドの向上で
あるべきだ、という点にシンパシーを感じた。

弊社もまた、今月2人の新人を迎える。
気が引き締まる思いだ。