大きくする 標準 小さくする

2008年06月24日(火)更新

IABC2008 International conference

先週末から今週いっぱいの予定でニューヨークに来ている。
4月に続いての出張だが、今回はIABC( International association
of business communicators )
という、企業コミュニケーションに
関わる専門職の協会のいわば年次勉強会だ。

私自身はサラリーマン時代にこの協会を知り、15年間あこがれて参加
できるチャンスを伺っていたので、今回はひとつの夢の実現といえば
大げさだが、これを還元する使命感も高いので同時にプレッシャーも
感じている。
もちろん初めての参加だが、聞けば年々注目度が高まってきているようで
今年は1700人を越える参加者だそうだ。4月にサンフランシスコで
行われた会合は250人足らずでアットホームだったが規模だけでなく
参加者も熱い。北は北海道、じゃなかったデンマーク、南はブラジル、
ニュージーランドまで、本当にバラエティに富んでいる。日本からの参加
者は私以外に一人だけということもあり、みんな「何で日本からはあまり
参加者がいないの?」とよく聞かれた。

iabc11

さて、会議の内容はおいおい詳しく伝えるとして、今日のトピックは今年
一年の企業のコミュニケーション功労者に対する表彰式で、今年選ばれた
一人がマリオットホテルグループの社長、ビル・マリオットさん(76歳)
だった。
このスピーチがあまりにもすばらしく、1700人を超える参加者の賛辞の
拍手はしばしなりやまず、本当に嵐のようだった。

iabc12

マリオットさんは若いころ親がレストランをやっていたそうで、25歳の
ときに「ホテルを始めるからお前も手伝え」といわれたそうだ。
「ホテルなんてどんな仕事か知らないからできないよ」
といったら、
「俺も初めてだから心配するな」
と返された。
「まあ、若いときでも素直に聞くとこういうチャンスを得ることもある」
となんとも切れが良い。

iabc13

50年でここまで大きなビジネスに育てたのもすごいが、スピーチの
冒頭でも「競合相手のホテルで受賞スピーチをするのはとても残念だが
(会場はヒルトン)」ときついジョークをかますなど、全編ユーモアに
あふれたスピーチからも彼の愛される人柄がとてもよく感じ取れた。

表彰の直接的な理由はブログをやっていることでもあるのだが、24歳の
ブログマネージャーが彼の話を聞き取り、文章に起こしているものの脚色
やセンサーシップはないそうで、商売の宣伝はやらないのを原則としてい
るそうだ。

「70になるまでブログもフェイスブックも知らなかったけど、テクノロ
ジーの進化は常にコミュニケーションに対する考え方やチャンス、創造性
を与えてくれる。それによって可能性が広がるのを感じるので、話すこと、
聞くこと、伝えること、理解することがより充実してうれしい」

すごい76歳!
いまだに一年の3分の2は世界各国の自分のホテルチェーンに出向いて
滞在しているのだそうで、その情熱は尋常ではないと感じた。
そういわれてウェブを見ると、なるほどヒルトンよりマリオットの企業
ページのほうが会社が感じられるつくりになっている気がする。

帰りは1700人中もうひとり(だけ)日本から参加している方と会う
ことができ、ふたりでアジア系の、肩のこらない食事をとって油抜き。

こちらのコンファレンスはスタートが朝の7時15分でほぼ一日みっちり!
時差もありさすがに夕方には意識を失いそうになったが、あと2日、なん
とか歯を食いしばってできるだけたくさん吸収して帰るつもりだ。
iabc14