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2008年07月09日(水)更新

IABC参加記(3)

IABCのコンファレンスは先日書いたように全体で98人のスピーカー、
分科会は80を超える。
その間に表彰やキーノートスピーチがあるのだが、2日目のキーノートで
は世界的なウンドクリエイター(パーカッショニスト)イブリン・グレニ
ーがゲストパフォーマンスを行った。

私自身ドラムが好きということもあり、また、彼女のドキュメンタリー
映画「Touch of Sound」を数年前に見て感動した覚えがあるので、とて
も楽しみだった。
彼女はパーカッションソリストとして数々のオーケストラや幅広いジャン
ルのサウンドクリエイターとの仕事を重ね、名声を確立しているのだが、
(決してそれだけで有名になったわけではないのだが)実は耳が不自由
なのだ。

映画のタイトルどおり、彼女は音を「感じる」。
映画の中でもろう学校に行き、同様に耳の不自由な子供たちに「あなた
たちは耳が聞こえないということで音を感じることができないと思って
いるだけだ。触感や体感はあるでしょう。それを楽しんでごらんなさい」
と指導する場面がある。
おっかなびっくり太鼓を叩く子供の顔がだんだん晴れてくるのがすごい。

そんな彼女の出演で、私はてっきりパーカッションパフォーマンスだけ
を披露してくれるのかと思った。

ところがなんと、彼女はスピーチしたのだ!しかもほとんどきちんとした
発声でしゃべっていた。
きっと他の打楽器と一緒で、耳が聞こえなくても自分の発声を「感じて」
完璧にコントロールする鍛錬を積んだのだろう。本当に驚いた。


もちろん後半はパフォーマンスを織り交ぜ「コミュニケーションはただ話
すこと、聞くことではなく、それをしっかり感じることに留意せよ」と
私たちに投げかけてくれた。

彼女の生のパフォーマンスが見られるだけでも「来てよかった!ラッキー
!」なのだがあつかましく2列目(一般最前列・笑)に座った甲斐があり
微妙なタッチをいっぱい感じることができた。
最後のスネアソロをではハードロックドラマーがドラムソロでよくやるよ
うな、だんだんテンポを上げていくロールを披露したのだが、早くなって
いく極限がとんでもなく、しかもツブが乱れていない。
一瞬の静寂のあと「パンッ」とワンストローク打って完了。
満場のスタンディングオベーション。まったくあいた口がふさがらなかった。
eg1

こちらの動画に同様のスピーチとパフォーマンスがあります。

eg2
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