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2009年07月24日(金)更新

良いコーチは「教えない」

先週の日曜日は家内と娘、そして息子(すなわち私以外の家族)がお世話に
なっているバレエ教室の発表会でした。
子供の指導を中心に行うバレエ教室の多くは、わりとベテラン、というか年
配の先生がやっていますが、ここの先生はまだ30代半ば。

20代半ばの、まだ現役バリバリのプロフェッショナルとして活躍されてい
らっしゃった時にスパッと辞めて子供の指導一本で行くと独立されて10年。
最近では珍しく徹底した体育会系指導で非常に厳しく、たまにスタジオに迎
えにいくと、まるで結界が張られているかのような緊張感の中、小学校低学
年の生徒たちまでもが誰一人として私語やふざけて遊ぶというようなことも
なく、黙々と準備、そして片づけをしています。
指導についても、子供には理解できるのか?とおもうような一見無茶な要求
も、結果として発表会の群舞などのそろい方を見ると感動を覚えるくらいな
のです。きっとこの先生も同じように指導されてきたのでしょう。

今はソリストとして一人で立てる人材の輩出が課題なのかもしれませんが、
娘の先輩の中学生の子達への指導を見ていると、あまりにもそっけなく、時
には意図的に放置させられるようなこともあり「生徒からお金をいただいて
いるお教室で親が見たらどう思うだろう」と最初は思いましたが、やはり本
気で「伸ばそう」と思う生徒には、自らの力で掴み、壁を乗り越える力が必
要だ、と考えているのがわかります。

よく言われることですが、良いコーチというのは「教えない」のですね。
自分の小学生の頃(無目的)を思い返すと、子供たちが少しうらやましく思
えました。

話は戻りますが、発表会も今回は10周年の節目にあたり、今までになく全
体の構成や表現が美しく、とても見ごたえがありました。
しかし発表会というのはまた、決断の日でもあり、この発表会を最後に受験
のため、キャリアを積むための資質の限界のため、家庭の事情など、いろい
ろな理由でやめる子も少なくありません。

まあ、人生は(おおげさですが)色々な挫折を経験する事で強くなるのかも
しれませんが、踊りは結果がすごく明白にでるので残酷ですね。

ただ、会場にはそんな理由ですでにクラスを去った何人もの子供が見に来て
いました。
僕自身がそんな状況だったらはたして見に来るだろうか、と思うのですが、
本当に先生が、クラスが好きだったんだなあ、と少しまぶしい目で眺めてい
ました。

そんなこんな、感慨にふけりながら家族が出てくるのをロビーで待つ間につ
かの間夕立があり、雨上がりには珍しくスケールのおおきな夕焼けが見えま
した。

komae
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