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2010年12月21日(火)更新

企業のグローバル化とグローバル人材

近年、社内の公用語を英語にする日本の会社が話題になってきましたが、いまだに懐疑的だったり、格好付けているだけではないのか、とか、それを先導しているリーダーの英語力を揶揄する人さえもいます。

そう思われる方のいらっしゃる会社は、まだビジネス環境の変化が顕在化していないのかもしれません。
自分の仕事にその実感がなければ英語化の意義やそれで生じる生産性の低下に疑問が出るのはあたりまえのことです。

しかし変化が起きてからでは遅い、というのが彼らのメッセージなのではないでしょうか?今このようなことを始める会社は、近い将来大きな変化が来ても(起こしても)対応できることを考えているとしか思えません。むしろ変化を自ら起こし、対応できる会社となり、それだけが自分たちが生き残れる術だと信じているかのように感じます。なぜならこの問題は単に公用語だけのことではなく、言語の意識化にあるコンテキストの共有にあるからです。
英語に関してはいくつかのエピソードがあります。

20数年前に、会社の事業内容もロクに知らずに外資系の企業に就職しました。
その会社のことを知る手がかりは大学の研究室に送られてきた会社案内のパンフレットだけでした。
本当は一番行きたかった自動車会社に人事面接で落ちてしまい、教授からは「そこに来ているDMの中から選びなさい」と言われて選んだ会社でした。今にして思えば何とのんびりしたことでしょう。
大して出来の良い学生ではなかったにもかかわらず、マネージャーはよく私を採用してくださったものだと思います。
もし自分が今の時代で就職活動をしていたらどうなっていただろう、と考えることもよくあります。

入社して驚いたことは、それぞれの部署にネットワーク端末と呼ばれるコンピューターがあり、世界中のオフィスとつながっていたことです。
アメリカやヨーロッパの事務所からメールが来ると隣にあるインパクトプリンターがギャーギャーとうなり、蛇腹に折り畳まれたカーボンコピーペーパー(電子メールのCCの出自)が繰り出されていきます。

朝、オフィスの自分の席に着くと自分が読んでおくべきメールのコピーを秘書の方が置いておいてくださっていたのです。
英語で仕事をするなんて当たり前ですが初めてのことですし、入社してからしばらくは正確に理解しようと、午後3時ぐらいまでずっと辞書を引きながらメールを読んでいて直属の上司に「何やってるの?お前の仕事は翻訳ではなく創造することや表現することだろう」と怒られたこともありました。
基本的には日本人だけのデザインチームでしたが、ひとたび外国人の仕事仲間がやってきたらミーティングもランチも、全て英語になりました。

気がつけばそれが当たり前の職場でずっとやってきました。
いつ英語を勉強したの?ともよく聞かれますが、私自身は英語の習得というよりも仕事(デザイン)を理解したい、理解してもらいたい、と、それだけの日々だったのです。
ある時期、仕事に使う固有名詞を書き出して単語帳を作ったことがありますが、それは300語程度でした。あとはいくつかの動詞と形容詞、そして意思表示さえ出来れば会話は成立しました。
一番面白かったのは8カ国ぐらいの人間が集まって会議をしたとき、一番コンテキストを共有できなかったのが本国のアメリカ人だったというこもありました。
http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/110/10020815.html

時間はかかりましたが少なくとも海外の仲間と働くことに何のストレスも感じなくなれたのは本当にラッキーなことでした。

独立してからもエピソードがあります。
数年前に海外企業に買収され、一夜にして外資系になった企業から問い合わせをいただいたこともあります。買った会社は、これからは自社のイントラネット(当然全て英語)を使え、と言ってくる訳です。しかし日本の会社で働く社員の3分の2は業務で英語を使う日常を経験したことが無い人たちでした。問い合わせはそのイントラネットの統合の話でしたが、現実的にはツールだけで解決できる話ではありません。わたしの提案は先ず広報部を再編して本社とのコミュニケーションをブリッジ(橋渡し)させるチームとそのプロセス作りでした。メンバーには社長室の方にも加わっていただきました。やはりコンテンツ(内容)だけではなく、コンテキスト(文脈や思い)を伝えるプロセスがなければ「もう言ってあるからね」ではコミュニケーションにならなかったのです。


公用語の問題だけではなく、今後企業の中でコミュニケーションに関わる部門や担当の役割は非常に重要になってきます。
なぜなら冒頭の例のように経営者の方が「変化対応して企業が成長していくためにはコミュニケーションが重要だ」ということに気付き始めているからです。

しかし今、このことに気付いているの会社の多くは不祥事や事故で失敗をしたり(悪いことではないですが)買収されたり、会社を取り巻く環境に大きな変化が現れていたりするところばかりです。逆に言えばそういう会社だからこそアクションが早いのかもしれませんね。

今年、IABCという団体の日本支部をスタートさせました。
幸いなことに同年代の経験の豊富な、意識の高い共感者が何人もコアメンバーとして集まってくださいました。
しかし驚いたのは逆に参加に興味を持ってくれた若い方から感じる「焦燥感」です。
今の会社や社会のペースでは遅いのではないか?と感じている方が現れ始めたのはとても有望な兆しだと思います。
今年は慎重に「仕込み」を行ってきました。来年は年明けから色々とアクションをとる予定です。

ご興味をいただける方はお気軽にご連絡ください。
http://www.iabc.jp/

2010年09月21日(火)更新

人を育てる戦略を持つサッカーコーチ

人を育てる戦略を持つサッカーコーチ

ここのところ週末のたびに息子(小2)のサッカーの試合を見に行っていますが他校のチームのコーチを見ているといろいろなコーチングがあり、とても面白くさまざまな発見があります。

ウチの息子のチームの面倒を見てくれているコーチは若い方ですが、まだみんなのポジションも明確に決めず、ゴールキーパーはやりたい人をローテーションでやらせています。
人数が多いため2チームに分けたり、先発、控えを決めたりしますが、それはリフティングの回数で決めるようにしています。(基礎技能と競争原理)

試合では、ボールを持ったら、まず自分に引き寄せて維持し、出来るだけ自分で打開してフィニッシュまで持ち込ませようとするのは、今ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントで活躍している香川選手の高校のコーチと同じかもしれません。
他のチームはすでにしっかりとポジション決め(すでに専任のゴールキーパー)を行い、ポジションごとの動きの指示まで行っているチームがあります。こういうチームはやはり試合になると強いです。
控えの子は、すでに控えになってしまっているようですが、ある意味、出場したければがんばれ、という強固な競争原理がすでに働いているのかもしれませんね。
「強いチーム」→「あこがれて入りたい子供が増える」→「より競争が激しく優秀な子供が残る」という流れです。

ウチの息子がお世話になっているチームのコーチを見ていると、今勝って結果を出そうとしていないことがよくわかります。
プロの資質を養成するというようなことよりも、出来るだけ長く、出来れば一生サッカーやスポーツが好きでいる子供(人)を育てたい、とおっしゃってくれています。

最初はみんな、お互いに「うまい・へた」で仲間を見ていましたが、最近ではそれぞれの持ち味を理解し、協力したり、バックアップしたりできるようになって来ました。そういう意味では小学校低学年にありがちなニワトリサッカー(みんなで固る)はなく、自主性とゲームの組み立てを感じているようです。

ほんの短期間でこれだけ上達してくるので、今は勝ったり負けたりですがとても楽しみになってきました。

私自身は中学時代にサッカー始めたのですが、いきなりキーパーでうさぎ跳びと硬い地面の上でのセービング練習ばかりで、サッカー自体あまり好きになれませんでした。
結局30代半ばまで続けていたのですが、キーパーという職能が好きだったのとだんだん痛いことが気にならなくなった(「好きだ」と書くと誤解されそうなので)からかもしれません。

いずれにせよ、キーパーはいろいろ痛いのですが、入れられて当然、というような状況で止めたときの一瞬の達成感は、実はフォワードがゴールを決めるより機会が多い、ということは以外に知られていない事実です。

ゴールキーパーなんて、マゾでないと出来ない、と思っている人はこのあたりが理解できないのかもしれませんね。

話を戻すと、ウチの息子はあまりガツガツ当たりに行って自分の球にするタイプではないようですが、守るときはマンマークはしつこく徹底して見ているところを見るとバックスタイプなのかもしれません。下駄箱に入っていた私のスパイクを見つけ、その中に入っていたキーパーグローブを見つけてからキーパーをやりたがるようになったのが、皮肉なものです。親とは違うことを経験してもらいたいのですが。

どうなることやら。。。

2008年03月05日(水)更新

新入社員の「質」が低下している?

本日のニュース報道で
『新入社員の「質」、5年前より低下…企業の4割が回答』という
ものがあった。

日本生命保険のアンケートによると、質の低下理由(複数回答)
は、「コミュニケーション能力・協調性の不足」が最も多く、「向上
心・積極性の不足」「忍耐力の不足」の順だったという。
このニュースを受けてか、同じような着眼点の「コラム」を設けてい
る新聞もあった。
そこには
「”2対8の法則”と言うように、2割の優秀な社員が稼ぎの大半を
稼ぐということは昔から言われているが、問題は他の8割の”普通
”の社員の質が落ちていることが生産性から見ても問題」
と書いてあった。

また、少し古いが2年ほど前にある人材教育系の企業のサポートで
企業の人事採用担当者が50人ほど集まる会に出席したときも、その
場でとったアンケートで「今必要な人材」を聞いたところ、圧倒的に
「コミュニケーション能力」の重要度が高かった。

http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/109/10000356.html

原因を突き詰めれば「ゆとり教育の弊害」だとか社会の変化にともな
う「社会性の欠如」など、色々あると思われる。
また、学生の変わらぬ「大企業志向」も問題なのではないだろうか。
せっかく大きな会社や組織に入っても「自分で考えない」、「人と一緒
に解決できない」ようでは、ついていけなくなるのは目に見えている。
こんな状況では私たち中小企業においても、さらに人材採用が難しく
なる。

ではこの現実にどう対処していけばよいか?

ひとつの答えはブログ仲間のフットマークの磯部社長から聞いたエピ
ソードだ。
フットマーク株式会社

経営者会報ブログ:磯部成文社長のブログ

この会社は社員数70名にして社長以下ブログが20本以上ある。
そもそも社長が率先してスタートし、ならば、と現場の社員が負けずに
続けている、というものだ。

今までは採用に苦労し、やっと内定を出した社員も4月から3ヶ月は
研修を重ね現場に出すという(その”稼がない”間の人件費は純粋な
コストとなる)状況だったのだが、2年前から応募してくる人材はみんな
社長以下のブログを読んで「この会社で働きたい」と思う人たちに変
わったというのだ。
はじめから意識が合っているというか、理解ができているので内定を
出した学生は入社式が終わるや否や「やることはわかっているので
すぐに現場に出してくれ」といったそうだ。
結果、研修期間の人件費コストがほとんどなくなったそうで、彼らの稼
ぎをあわせれば金額にして数千万円の開きになったことを考えると中
小規模の企業では少なくない数字なはずだ。

企業の「ブログ活用」というとマーケティング視点がほとんどで、その
効果測定もあいまいなまま、という事例も少なくないが、これほど明
確な効果測定ができたブログの事例も珍しい。

話を本論に戻すと、(特に中小企業にとって)まず自らの情報開示を
通じた積極的なコミュニケーション姿勢が新入社員や既存社員の定
着率や業務生産性に大きく影響を及ぼすということを経営者は理解
する必要がある、ということだ。

同様の視点で企業の人材採用を語った本を最近読んだ。

「やめさせない!」採用  かまってほしい若者たち

ここでも「ビジョンのマッチング」を重要視しており、採用においても
その確認に集中しろ、というのが論点だ。
採用の効果を測るのは、採用コストに対する入社率ではなく、入社
後の定着率による業務生産性や品質、あるいはブランドの向上で
あるべきだ、という点にシンパシーを感じた。

弊社もまた、今月2人の新人を迎える。
気が引き締まる思いだ。

2007年09月04日(火)更新

会社に残る奴、去る奴

先週、最初に働いていた会社の同期会があった。
新卒で入社して以来、25年の仲間だ。

当時確か75名が入社し、何人残っているのかはわからないが
いまだに13名も集まるのだからたいしたものだ。
今回の13名のうち、いまだにその会社に残っているのが6名。
転職したり独立した人間が7名だった。
この会社はこの25年の間に色々なことがあった。

入社した1983年の次の年までは世界最大の半導体メーカー。
それが5年もたたずに日本勢の躍進とともに10位以下に後退。

90年代は大幅なコストカットと業容の集中(正しいリストラ)を敢
行し、見事に5位圏内に返り咲く。

その後、事業売却と買収を繰り返し、入社当時にいたマネジメン
トはほとんどがリタイヤ、もしくは退社し、現在のトップマネジメン
トは買収した会社の経営陣だった方だ。

多くのベンチャー企業が現れる中、「大企業病」と戦い、先進的な
ビジネス手法を積極的に取り入れていつも若返りを図ってきた。

転職して会社も、はからずも「世界最大の半導体メーカー」なのだ
が、やはり創業者が現役のベンチャーということもあり、マネジメ
ントやビジネスプロセスがしっかりした、「勝てる」組織だった。

比較して前述の会社は、勝負強さには劣るが、人を育てる懐の
深さがあった。業界では「人材学校」と呼ぶ人もいるぐらいだ。

さて、こうして同期会でならんだ顔を見ていると面白いことに気が
ついた。

それは、わりと優等生的というか、一般的に優秀だと思われる奴
は転職して、25年残っている奴はクセの強い奴らばかりだという
ことだ。(わたしは半導体の専門家ではないので例外だが)

ひとことでいうと、「上司や部下から見れば扱いにくい奴」というこ
とだ。
しかし、こういう奴らが残ってくれていると思うと、この会社もまだ
安心だな、と感じる。
「いわれたことだけをまじめにやる」だけでは生き残れない世の中
なのだ。彼らの破壊力と行動力で、もっと強い会社になるだろう。

「おまえらさっさとトップになって、俺を再雇用しろ」といっておいた。

これでわたしも安心して無茶が出来るというものだ。(笑)

2007年07月31日(火)更新

一緒に働いてみませんか?

念仏のように信念を持って一つのこと(企業コミュニケーションはこれから重要)と唱えていると、あるタイミングに同じような依頼が急激に増えてくることがあります。
今はまさにそんな時期なのかもしれません。
日本ではまだ、ちょっとかわったビジネスですが、目をグローバルに広げれば、なぜこの仕事がこんなに遅れているのか、疑問に持つ人も少なくないはずです。
というわけで、少しずつですが企業力をつけて業務拡大していきたいと考えています。
一緒にチャレンジしてみませんか?
と、いうわけで人材募集告知です。

クロスメディア・コミュニケションズは大手企業の広報、人事、経営企画、マーケティング担当者に向けて、オンラインツール活用についての数々の講演やセミナー、トレーニング、調査評価、戦略策定コンサルティング、ウェブサイトリニューアル、イントラネット構築などを通じて専門人材の育成や組織のコミュニケーションマネジメントサポートを行なっています。
わたしたちがウェブ制作と切り離し、このようなサービスを行なう理由として、企業が10年インターネットを使ってきて解決できずに抱える以下のような大きな悩みがあるからです。
1.専門人材の不足と社内の理解者の不在。
2.外注業者に丸投げ。とりあえず新しい技術やツールを採用する。
3.誰がどう使っているのか、状況把握ができないため費用対効果が見出せない。

「何度ウェブをリニューアルしても、目先以上の変化はない」
「リニューアルしたときがピークで価値は3年で減価償却していく」
こんな状況に気がつく企業が少しずつ、増えてきました。

これを打破するためには、アウトプット(ウェブ制作やツール導入)主導ではなく、先ず自社のコミュニケーションモデルの再確認から課題を見い出し、解決のための組織と人材の育成が急務です。
企業のコミュニケーションは「継続的な発展」が前提であり、それを考えるためにはツールの導入などが優先するその場の「対処療法」では限界があり、根本的な「体質改善」が必要だ、ということなのです。しかしそのためにも、サポートする企業には「ビジネスプロセス」「コミュニケーションデザイン」「オンラインコミュニケーシ
ョンテクノロジー」の3つの理解が必須なのです。
私たちはこれらのバランスを強みに「広報や事業部担当者が自分で考え、使い、管理し、結果を出すウェブサイト活用」を実現していきます。

ユニークなアプローチで企業コミュニケーション分野の新しいリーダー企業をめざす私たちと一緒に働いてみませんか?

こんな仕事をしています。
・調査評価、企画提案、ヒアリングを通じた企業ウェブサイトのリニューアル戦略策定
・制作会社のコンペティション評価や品質管理
・コミュニケーション組織と人材育成コンサルティング
・イントラネットと社内コミュニケーションの企画提案
・CIの見直しと活用ガイドライン策定
・企業コミュニケーション関連セミナー、ワークショップ、トレーニング
・社員コミュニケーション意識調査の実施と改善提案

クロスメディア・コミュニケーションズの強みと独自性
1.企業広報の実務経験を持ち顧客企業の課題抽出に長けている
2.セミナー、講演、雑誌への寄稿など多数
3.大手企業との直接契約
4.オンラインコミュニケーションに関しての長い経験と実績
5.バイリンガル対応

クライアント企業(すべて大手有名企業。代理店経由の業務はありません)
・総合商社
・自動車関連メーカー
・医薬品メーカー
・出版社
・外資系ソフトウェアメーカー
・証券会社
その他

応募者の条件
ウェブ制作会社、PRおよび広告代理店などでプロデューサー、ディレクター、デザイナー、プログラマーなどの経験のある方。
あるいは企業広報で自社のオンラインコミュニケーションのマネジメント経験者。
オンラインコミュニティ、あるいはブログを通じたネットワークを有する人。
企業担当者との直接対応・提案ができるコミュニケーション能力を有する方。
インターネットを活用したコミュニケーションに興味・知識がある人。
もしくは上記のような業務を通じてキャリアアップを目指したい方。

ご興味いただける方は弊社ウェブサイト(http;//www.crossmedia.co.jp/)の問い合わせからご連絡下さい。 インタビューをセットいたします。
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