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2006年08月31日(木)更新

戦前に完成していた日本のデザイン表現の力強さ

実は先日書いた岡本太郎美術館の後、同じ川崎にある川崎市民
ミュージアムに行きました。

ここでやってたのが

名取洋之助と日本工房〔1931-45〕
 -報道写真とグラフィック・デザインの青春時代-

という展覧会ですが、ちょっと前に国書刊行会が復刻版をだした
戦前のグラフ雑誌「NIPPON」に関わった写真家とデザイン工房
の展覧会です。

復刻版(1シリーズ10万、3シリーズフルに買うと32万円)もその
場で手にとってみることが出来たし(すごく欲しかったけど32万は
出せない。。。)非常に出来の良いカタログ(2500円)も買えたの
で、もう満足でした。

http://home.catv.ne.jp/hh/kcm/

http://www.kokusho.co.jp/series/nippon.htm
戦前のトップクラスの日本の写真家、グラフィックデザイナー、
アートディレクターが集まって世界に問うたものですから、本当に
その時代のフォーチュンやライフの編集デザインに引けをとってい
ませんでした。

今でもまったく古臭く見えない。
考え方の骨格の太さがちがう、という感じでした。

復刊するにも資料を集めるのに相当苦労された、と聞いていたので
それに付随する資料がこれだけ一堂に見られる機会はそうないと思
います。

これ、今週末までなんですが、ビジュアルコミュニケーションに関わる
方であればオススメです。

2006年08月30日(水)更新

イントラネット・ブログ活用による社内コミュニケーション活性化セミナー

あっというまに8月も終わりですが、私自身も新学期の始まりに
そわそわ、という感じです。
その理由は、来週、大きなセミナーが2つあるからです。
正直にいうと、「そわそわ」というよりも「どきどき」が本音でしょうか。

ひとつは毎年夏にお世話になっていて、もう5年目ですが、中小企業
大学関西校の「経営管理者コース」。
これは半年に及ぶシリーズの講義で、私の担当は「プレゼンテーション
講習」です。

丸一日ですので、午前中にプレゼンテーションの考え方、準備と実際
をお話しし、午後に(ここがミソなのですが)「短時間に自分の考えをま
とめ、人と分かち合い、結果を得る方法」としてマッピングの実習を行
います。

http://www.smrj.go.jp/inst/kansai/index.html

このセミナーはあらかじめ登録されて期間を通して学ばれている関西の
経営者や後継者の方が対象なのでお誘いできませんが、次のものは
オープンセミナーです。

「イントラネット・ブログ活用による社内コミュニケーション活性化セミナー」
日本経団連主催
http://www.nikkeiren.or.jp/shanaikoho/

こちらも朝から夕方まで、ですが、実習が少ない分、ちょっとヘビーですが
内容は濃いと思います。

==================================================
第1部 日本企業のウェブ活用の現状
・宣伝メディアとしての発展
・担当者の不在と経営者の理解不足
・危機管理面での不備
・コミュニティとの共生

第2部 社内コミュニケーションの現状
・イントラネットの役割
・担当部署の実態
・社内コミュニケーションの課題

第3部 成功する社内コミュニケーションツールとは
・イントラネット
・ブログ
・SNS(ソーシャルネットワークサービス)

第4部 効果の出る導入方法とコミュニケーション教育の必要性
・変わる組織
・コミュニケーショントレーニング
・ゴールの共有
・具体的導入方法

第5部 質疑応答

==================================================

夏休み時期の告知で9月初旬という、セミナーをやるには結構つらい
タイミングなのですが、すでに30名ほど予約いただいているとのこと。
さすがは日本経団連さんです。

会場としては少し広めのところを抑えている、というお話ですので、
もう少し参加人員の余裕はあるそうです。

もしご興味いただければ、ぜひご参加ください。

2006年08月29日(火)更新

芸術は爆発だ!

有名な岡本太郎さんの言葉です。
この一言は大きかった。言葉に力がある。名コピーですね。

いま、村上隆さんの「芸術起業論」を読んでいますが、思えば
岡本太郎さんはずいぶん先を行っていたなあ、と感じます。

日曜日に家族と川崎の生田緑地にある岡本太郎美術館に行っ
てきました。青山骨董どおりにある、彼のアトリエを改造した記
念館は何度かいったことがあるのですが、規模が大きく、彼の
業績が網羅されています。

http://www.taromuseum.jp/
すでに初秋の空気すら漂う日でしたが、緑に囲まれてとても気持
ちの良い場所にありました。(しかも家から15分!)

実は、お目当ては「ウルトラマン伝説展」だったのですが、これは
これで初期の美術スタッフのデザイン画や小道具、怪獣の着ぐる
みや戦闘機のコックピットなど、いろいろ貴重なものが見られ、
子供以上に自分も楽しむことができました。

でも、ウルトラマン以上に、岡本太郎さんの作品や展示はすばら
しく、特に民俗学に興味を持って撮影していた多くの写真などか
ら彼の形や色、発想の原点を読み取ることができます。

今回は時間がなくて緑地内をゆっくり散策することはできなかった
のですが、生田緑地自体も森深く、起伏に富んですばらしい公園
でした。
近々また時間をかけて遊びにいこうと思っています。

2006年08月28日(月)更新

インダストリアル・フォトグラフィーの世界

「インダストリアル・フォトグラフィー(産業写真)」という定義は、コーポレ
ートコミュニケーションの定義や仕事とおなじく、あまり日本では一般化
していないようです。

言ってみれば、産業構造物(建物)や働く現場、そこで働く人々やエグ
ゼクティブのポートレートもこの範疇に入ります。
報道写真の一部もこの定義になるでしょうか。

もちろん定義はともかく、そのような写真は、たくさんあります。

私自身がコーポレートコミュニケーションの仕事に関わり始めたとき、最
初にやり始めたのは主に会社案内や入社案内などの印刷媒体でした。
(→8月22日、奇異なキャリア(その3)参照)
そのとき、たまたま米国から来ていたカメラマン(社員)のエスコートをして
工場めぐりをしたときに彼から教わったのがこの概念でした。

彼は一年中、世界各国のテキサス・インスツルメンツの工場やオフィス、
ビジネスミーティングやレセプション、イベントなどを駆け巡り、写真を撮影
していました。
それらの写真はコーポレートコミュニケーション部にストックされ、アニュアル
レポートから、WEBサイト、会社案内、プレゼンテーションなど、様々なコミ
ュニケーション媒体に利用されます。

彼の写真の撮影方法を見ていて感じたことは「良いことを良く伝える」という
明確な目標のために、かなり作為的というか、ディレクションがはっきりして
いるのです。さらに言うならば、「どう使われるか」を想定してはっきりとした
アートディレクションがあるのです。

彼自身は元々APの報道写真家でしたが、そこからの転身でした。
「インダストリアル・フォトグラフィーを学ぶ一番良い方法」として彼が勧めて
くれたのが、まさに「Industrial Photography」という本(現在絶版)と、
「Business Week」という雑誌でした。
この本に紹介されているキーポイントは一言で言うと、
「どんな会社であろうと、そこで働いている人やその現場にはドラマやメッセ
ージがあふれている。それを上手く表現すること」
となります。

なるほど、そういう視点でBusinessWeek誌を見ると、その明確な意思が
感じられます。
私は数年間、BusinessWeekを定期購読し、記事はほとんど飛ばし読みし、
気に入った写真だけをスクラップブックに集めていますが、日本でコーポレ
ートコミュニケーションの仕事をする上でも、どれだけ助かったか、計り知れ
ません。

それが会社案内であろうとアニュアルであろうと、WEBであろうと、コミュニ
ケーションメディアのアートディレクションをとる上で、その対象者、たとえば
トップマネージメントの方々とインタビューをすると「こんな雰囲気で撮ってさし
あげたい」という思いが浮かんできます。

そんな時、このスクラップブックを一緒に見て、こんな感じに撮影したい、と
話をすると意図が良く伝わります。

カメラマンは私が手配する場合と、お客様が手配する場合、両方ありますが
いずれにせよ「ここは広角でフィルターは云々」などといわれるよりは、「こう
いう意図でこんな写真がほしい」と、スクラップブックを見ながら話をするほう
がプロにとっても気持ちがよいものです。
(そのうえで出来ること、出来ないことも明確に伝えてもらえます)

長くなりましたが、そういうビジュアル(写真)のディレクションが明確に存在
している団体のWEBサイトがあります。
ここを見ていただければ、私のお話した意図がハッキリ伝わると思います。
(特にSpecial Featureのところ)

航空自衛隊入間基地
http://www.mod.go.jp/asdf/iruma/


現場の雰囲気、緊張感、働く人の気概、そんなものがビシビシと伝わってき
ます。

もし企業WEBサイトの管理をされている方がいらっしゃれば、制作会社の
提案のビジュアルの要素を再確認してみると良いでしょう。
安易な「著作権フリー写真」からはそれ以上のものは伝わってきません。
モデルみたいな欧米人なんて働いていないのに。。

2006年08月25日(金)更新

奇異なキャリア(その4)

私が日本テキサス・インスツルメンツで人事採用のホームページを立ち上げたとき、
会社全体のWEBサイトもありませんでしたし、実は米国本社(www.ti.com)も立ち
上がっていませんでした。

このプロジェクトは人事本部長の了解のもとでスタートしたので、社長はおろか、
取締役の方々の認知もありませんでした。
社長は、外部の会合やレセプションで
「あんたの会社はさすが、進んでいるねえ」
と言われてはじめて気がついた、というような状況でした。

当時は、社長や取締役が
「雨宮君、いったい何やったんだ。そのインターネットって奴を見せてくれ」
といってよく私の机を訪問してくださいました。
しかし、悪い噂(?)が広がるのは早いもので、日本で誰かが勝手にパブリックな
WEBサイトを立ち上げた、というのは本国の耳にも入り、私は早々に本社に呼び
出しをくらいました。

行けば当然、
「基本のデザインフォーマットはこれなので早めにこれにそろえて作り直せ」
といわれるのが関の山だと思っていたのですが、集まっていたWEB開発委員会
のメンバーは、私が部屋に入るや否やみんな席を立って拍手で迎えてくれました。
そして、
「私たちはみんなで集まって一緒に考えているところだ。お前は一人でここまで
よくやった。お前の経験をぜひシェアしてくれ。そしてこちらでも一緒に考えてくれ」
といってくれました。

今の自分のモチベーションの基本はここにあるのかもしれません。

企業コミュニケーションとしてWEBサイトを考える。

その基本姿勢が欧米企業には最初から備わっていました。
そして、その差が10年でかなり大きくなってしまったのが日本の企業のWEB
サイトだと思います。
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