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2009年06月30日(火)更新

IABC2009参加記(7)

2日目の夕方はアジアからの参加者が集まる懇親会がありました。
IABCはやはり米国の参加者が半分強を占めますが、ヨーロッパ、
南米、アフリカ、そして最近はアジアからの参加者が増えているよう
です。

昨年もそうでしたが、このような集まりのときはいきおい内輪っぽく
なりがちですが、IABCの幹部の方や、人気のある講師やパネリス
トなどの欧米のベテラン会員の方も参加してくださるのです。
また、今回はニュージーランド支部の方がわざわざワインを数十本
送ってくださり、みんなでワインをがぶ飲みしていました。

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また、いつも驚くのはたんなる雑談に終始せず、誰かを讃えたり、
スピーチしたり、積極的に「アウトプットする」→「認める」というコミュ
ニケーションフローが出来上がっていることです。
それも、誰か1人決まった司会がいて始終取り仕切っているという
わけでもなく、自然に行われているのです。

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さらにここで大きな発表があり、来年は念願のアジアでの総会を香
港で行うということになったのです。やはりアジアからでは北米の
年次総会に参加するのは旅費もかかるし人数的にも限られてくる。
アジア地区での総会であればもっと地域に根ざした交流も盛んにな
るだろう、ということです。

2009iabc19

実際にはインターナショナルコンファレンスでは欧米の事例が多く、
(何回か米国系企業のグローバル展開の中で南米やアジアへの
展開事例はありましたが)まだまだアジアの企業がプレゼンテーシ
ョンをしたり事例紹介することは少ないようです。そういう意味でも
アジアでの開催はその内容が寄り卑近なものとなるでしょう。
(アジア総会ではみんなとても饒舌でしたのでよほど語りたいことが
多く、たまっていたのかも知れません)


いずれは日本支部、そしてアジア総会を日本で開催できたら、など
夢(プレッシャー)は広がります。

2009年06月29日(月)更新

IABC2009参加記(6)

さて、2日目の月曜日は、いわば本格スタートの初日ということに
もなります。

会場横には協賛企業の展示ブースのあるミーティングスポット(
無料ネットカフェ)もあり、多くの人が集まっています。

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この日からは午前中2コマ、午後2コマ程度のセッションが基本で
お昼前に優秀なコミュニケーションを行った企業や人に送られるエ
クセスアワードの表彰スピーチやゲストスピーカーを迎えたキーノ
ートなどが行われます。
また、朝はスタートが8時から、というのも特徴的で、こちらとしても
会議のために来ているわけですから朝から時間を有効に使えるの
はありがたいことです。
(時差のため5時ぐらいに目が覚めてしまう、ということもあります)

実はIABCには「プロのコミュニケーター」としての資格認定制度が
あります。
それはゴロも良く「ABC」という資格で「Accredited Business
Communicator」、すなわち「正式に認められたプロのビジネスコミ
ュニケーター」というわけです。

この資格を取得するためにはコミュニケーターとしての実績のポート
フォリオ、筆記試験、口答試験からなります。
近い将来自分もアプライしてみようと考えています。
このような資格が自身のキャリア形成に役立つ(企業内や社会に
価値として認められている)ことが素晴らしいですし、もうひとつ、会
場でABCのバッジや名札をつけている人が、他の参加者に率先し
てアドヴァイスをしたり、セッションのパネリストとして積極的にレク
チャーを行っているのが印象的でした。

2日目の朝はこの認証資格検定の説明のセッションに出席しました。

続いては今年のエクセルアワードの受賞スピーチ、ベストバイの
ブライアン・ダン社長の話を聞きました。

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実は昨年のコンファレンスでもベストバイのコミュニケーションマネー
ジャーの話を聴き、印象的だったのを覚えています。
ベストバイはいわゆる大型家電スーパーのような業態ですが、社内
コミュニケーション(イントラネット)はいわゆる販売目標や達成率、
利上げ推移などの数値ばかりだったそうです。それでは働く人のモ
チベーションや顧客の気持ちが理解できない、ということで180度
転換し、顧客や社員の意見を掬い上げ、迅速に意見交換し、対応
につなげるアクションオリエンテッドなものに変えていったのです。

些細な話ですが、そのときも前日のレセプションでたまたまこの方と
立ち話をし、名刺交換をしていたのですが、前のほうで聞いていた
僕を見つけると話の途中で「たとえばはるか遠くの日本から来たカ
ズに言わせれば、このような問題は~」と雑談や僕の名前までを
その場でさらっと盛り込む余裕や気遣いがあり、たいそう驚かされ
たのを覚えています。

その彼の上司(社長)ですから、何があっても驚きはしないのですが、
プレゼンテーションもさすが!これが「コミュニケーションリーダーシッ
プ」というものか、とうならせる面白さ、楽しさ満載でした。
受賞の経緯は飛ばしますが、「社長としてコミュニケーションから学
んだこと」をアメリカの人気番組「レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・
レターマン」のように、トップ10カウントダウンで紹介していました。

2009iabc16

10.
社員はコンテンツではなくコンテキスト(文脈や背景、意味)を常に
求めている

9.
伝える必要があるのなら社員を呼びつけるのではなく、自分が現場
に行って会え

8.
ちょっとしたユーモアの意識を忘れるな。形式ばってまじめに伝えて
も人はすぐ忘れるが、ユーモアには意識と行動ををつなぐ磁力がある

7.
常に本音で話せ

6.
社員が会話をする場を与えよ(社内外どちらでも)

5.
間違ったときはそれを自身ですぐに認めろ(人は間違えることはある)

4.
ストーリー(会社の価値)を伝えることに集中しろ

3.
そのストーリーを出来るだけ広く、世界に伝えろ

2.
伝えるべき良い話にはふさわしいキャラクターと重要な役割がある

1.
コミュニケーションは組織の「Heart &Soul」だ


とにかく勇気のある、そして明るいリーダーだと思いました。
最後のひと言は会場に集まった全員を勇気付けてくれました。

2009年06月26日(金)更新

IABC2009参加記(5)

初日の夜はウェルカムレセプション、ということで会場もサンフランシスコの
東の波止場にある歴史的な「フェリービルディング」。
日曜日ということも有って閉まっているショッピングアーケードの十字型に
広がった廊下すべてがパーティー会場となっていました。

昨年はロックフェラーセンターのトップラウンジで、これもニューヨークらしい
印象的な会場でしたが、サンフランシスコの、まさに海を目の前にしたユニ
ークな会場でとても楽しめました。

2009iabc13
みな、カクテルやケータリングフード(これがなかなか質が高い)を手に、
気さくに声をかけてくれるのが嬉しいです。あっというまにさまざまな国の
さまざまな立場の方と知り合うことが出来るました。
そして感じることは、国や分化は違っても課題はあまり変わらないというこ
と。そして「日本の○○という会社で○○やっていた」などという話を聞くと、
世界は狭いなあと実感します。

2009iabc10

昨年同様、アジア地区の個別のレセプションが翌日に予定されていたの
ですが、ここでもアジアのチェアの方から呼び止められ、みんなでアジアの
企業コミュニケーターネットワークを強固にしていこうと盛り上がっていまし
た。

私の参加するセミナーやレセプションは、なぜか不思議と美男、美女が多
いのですが、今回も例外なく。(笑)
美女二人のうち右側の方は早起きしてベイブリッジをジョギングするといっ
ていたバリバリのアスリートでした。

2009iabc12

昨日も書きましたが、IABCのWebサイトのトップにあるフラッシュは、会
場などで専属のカメラマンが参加者のポートレイトをその場で撮影してるの
ですがみな、素敵な写真です。腕が良いのはもちろんですがみなさん「見
せ方」を心得ているのもさすが、プロのコミュニケーターです。

2009年06月26日(金)更新

IABC2009参加記(4)

初日(日曜日)は午後のスキルビルダーセッション(1時間半)が2コマ、
そして夕方にオープニングキーノートスピーチとして一番大きな会場
(2000人規模!)でシスコシステムズのコーポレートコミュニケーション
グループのヴァイスプレジデントであるブレア・クリスティさんがスピーチを
行いました。

blairchristie
IABC World Conference 2009 - San Francisco, originally uploaded by Network Solutions.
「コミュニケーションの力が企業経営に大きな変革をもたらす」というテー
マの中で、やはりインナーコミュニケーションの話題が中心だったのが
象徴的でした。

シスコシステムズといえば通信テクノロジーの大手企業ですが、彼女の
話の流れはツール(イントラネット)の仕組みには触れていたものの、留
意しているポイントとしては、

1.
複数の世代が働いており、世代ごとの考えや行動を理解することが重要

2.
イントラネットのツール自体の使い分けのポイントが一般的な機能ではなく
「企業文化」、「技術」、「ビジネスプロセス」という企業の重要視するテー
マになっているのがユニーク。これならメッセージやストーリーが走ります。
洗練されていますが、今まで見た企業のイントラの画面とは使い心地が
ちがうだろうな、というのがはっきりわかりました。

cisco
IABC World Conference 2009 - San Francisco, originally uploaded by Network Solutions.
3.
シスコではこのようなインナーコミュニケーションの活動を「インタラクティブ・
エンプロイ・コミュニケーション」と呼び、その活用のポイントは社員全員に
よる以下の4つの行動が伴う必要があると述べていました。
- Awareness
- Understandings
- Commitment
- Action

その後、彼女は実際の社内コミュニエーションのやり取りをデモしながら、
経営がいかに深く関与してコミュニケーションを考えているか、を紹介して
くれました。
「何を伝えるか」程度のレベルで考えている日本企業とはかなりの差を感
じます。

たまたま隣に座った参加者は
「お前はどう受け取った?俺には新しい話は何もなかったよ。経営者の理解
があるというのは大きいけど、やはり恵まれた会社の美しい話だ」
と愚痴っていました。
気持ちはわかりますが、それもひとつひとつ、問題をクリアしていった地道な
努力があったからこそ、だとおもいます。(そのあたりから聞けないのが残念
ですが)

彼女は全米IR協会の2007年の年次総会でも委員長を務めた方で、今年は
「Working Mother of the Year」にも選ばれています。社長のジムチェンバー
スさんからもかなり信頼を得ているものと思われます。
それだけ自信に満ちたキーノートでした。

2009年06月25日(木)更新

IABC2009参加記(3)

簡単にIABC(International Association of Business Communicators)
の組織のおさらいをしておきましょう。

IABCはビジネスコミュニケーションに携わる人と組織の専門性向上と社会
認知向上のために1970年に設立された団体で、現在70カ国、15000人
で構成されています。

広告、広報、マーケティング、人事などの職能団体は日本でも多いのですが、
40年近くも前からそれらの枠を超えた「プロフェッショナルコミュニケーター」と
いう職能が企業で活躍する可能性を見出だしています。

IABCのそもそもの目的は以下の4点に集約されます。

1.Make business sense of communication
(ビジネスにおけるコミュニケーションの意義創造)

2.Think strategically about communication
(戦略的なコミュニケーション活用のための考察)

3.Measure and clarify the value of communication
(コミュニケーション価値を高めるための評価と明確化)

4.uild better relationships with stakeholders
(ビジネスに関与する人々との関係性の構築の促進)

iabcweb2009
なんと、Webサイトには昨年撮影してもらった私の写真が!
いま、世の中では
「急速なIT(ICT)の進化とビジネスの変化」
「急速な経済や市況の変化」
「急速な環境や社会との関わりの変化」
などが起きる中、「コミュニケーションの力」が重要視されてきているのを
実感しました。

この、年に一度のワールドコンファレンスは開催場所にもよるのだそうで
すが、1500人を超えるビジネスコミュニケーターが世界中から集まりま
す。
今回も民族衣装を着たアフリカの方から、某国の政府機関の方まで様々
でした。

このコンファレンスは、日曜日の朝から始まり、開催地域のボランティアメン
バーによるタウンウォーキング(街案内)を行います。
いきなり「会議」ではなく、ホストチャプター(支部)が歓待すると言うのも
良いですね。ちなみに昨年はセントラルパーク散策でした。

お昼から会場には人が集まり始めますが、まだまばらな感じがします。
さすがに2回目なので、見た顔、知った顔がちらほら。気さくに声をかけ
て下さるのはとても嬉しいものでした。

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さて、コンファレンスは「スキルビルダーセッション」という枠から始まります。
要は初心者向けにプロのコミュニケーターに必要な資質を身につけてもらう
ためのセッションです。

2009iabc8

たとえば、
「考えを簡潔にまとめるライティングテクニック」
「効果的なポッドキャストの方法」
「楽しみをもって仕事をするヒケツ」
「戦略的なコミュニケーションマネジメント」
「フェイストゥフェイスのプレゼンテーションでインパクトを与える表現」
「図解を活用して短時間で理解してもらう方法」

など、硬軟とりまぜて楽しみながらスキルアップできるセッションばかり
でした。

2009iabc9

これだけでも日本で受講すれば相当お金をとられたりするのでしょう。

講師はセミナーの専業プロではなく、コミュニケーションの仕事の傍ら、
培ったノウハウをシェアしようという方が大半でとても親しみやすいもの
でした。

また、参加者にコミュニケーターとしての業務経験を聞いていましたが、
初心者向けのコースにもかかわらず10年以上の人がほとんどで、講
師は呆れていましたが、
「常に学ぶことに貪欲なのもプロのコミュニケーターの性向かもしれな
いね」といっていました。
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