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2007年12月20日(木)更新

企業コミュニケーション優位性とウェブデザインは必ずしも一致しない?

オンラインメディア関わって10余年、自らがデザイナー出身という
こともあり、コミュニケーションメディアにおけるデザインの重要性
をそれなりに訴えて来た感がある。
たしかに優れたデザインは人に感動を与え、興味や理解を喚起さ
せる。
しかし今見るとほとんどの大手企業のコーポレートサイトは、トップ
上段に大きなビジュアルエリアがあり、左側にホワッツニュー、右
側にコンテツバナーが積みあがっているというような形骸化したも
のが多い。

良く制作会社が言う「見慣れたレイアウトはユーザーにとっても利
便性が高い」という理屈は一見まともに聞こえるが、バラエティと
個性にあふれた海外の企業のウェブサイトを見るにつけ、その企
業のメッセージとコミュニケーションモデルが明確であればそれを
体現するデザインはそれぞれだ、という確信を持つことが出来る。
と同時に「デザインだけがオンラインコミュニケーションを成り立た
せるものではない」という思いに触れることも少なくない。
(もしくは「洗練=グッドデザイン」とは限らない)
ウェブサイトはあくまで「デザイン」と「利用技術」と「コミュニケーシ
ョンモデル(コンテンツ)」のバランスで成り立つもので、企業それ
ぞれにおいてどれかが強く、どれかが弱い場合があってその企業
の個性となるのではないか。
別の言い方をすれば、企業の「思い」が強く現れていれば洗練度
が高くないウェブサイトでも信頼とブランドロイヤリティを築くことは
可能である。

「痛くない注射針」で2005年にグッドデザイン大賞に輝いた岡野
工業。他社がまったくまねが出来ないリチウムバッテリーケースの
深絞りで有名になったこの会社は社長の岡野雅行さんの元に国
内外の大手企業が黒塗りのハイヤーで日参する、という脅威の町
工場だ。
そしてこれだけ有名な「偉大な町工場」のウェブサイトがこれまたす
ごい。

1997年からろくに更新されていないこのページは、それ以降のウ
ェブ表現技術革新をすっ飛ばしているだけに逆にアクセシビリティも
悪くない。
仕事や技術に自信があれば、そもそもそんな凝ったページは要らん
わい!という勢いである。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/OKANO_to_ONDINE/

アドレス、タイトル、内容、すべてがアナーキー。
しかしこの会社のすごさは、途中にある顕微鏡写真1枚で「見る人
が見ればわかる」のだ。

僕らはコミュニケーションを提案する側として、ある狭い了見の中で
「こうあるべき」というものをお客様に押し付けているのではないか?

岡野工業にとっての「正解」が僕らに示す「コミュニケーションの可
能性」を無視できない。

以前も書いたことがあるが「不用意にウェブサイトを作ることはブラン
ド価値を下げることになるので2000年まで表紙1枚、ロゴだけの
ウェブサイトを持っていた」ファッションブランドもあった。
「中庸なマーケティングサイトを持つのでは他社との差別性がつかな
い」とオリンピックを迎えるホットシーズンを前に半年サイト全体を
シャットダウンし、その後大幅なメッセージの変更とウェブの方向転
換を図ったスポーツブランドもあった。
他にも実験的とも言える思い切った表現をする会社は2000年ぐら
いまでは海外に散見できた。

自分たちの意思の元にウェブサイトをおいている企業は、実は大変
少ない。
そもそもそれっておかしくないか?
今年の収穫はそんな疑問を解いていく仕事が少しずつ増えてきた
ことだ。

2007年12月11日(火)更新

デザインの良いネットショップとは?

この時期、大切な人への贈り物や年末のストレス解消(?)にと財布の
ゆるむとっても危険な時期。

今日紹介するオンラインショップは「せっかくならちょっとユニークなもの
を探したい」という思いを満足させてくれるオススメのお店。

普段何気なく見ているこういうオンラインショップも、固めてみてみると
ある共通点に気がつく。
それは、「扱う商品がデザイン的に優れているとショップ自体のデザイン
も洗練されている」というものだ。
大手のオンラインショップモールの中には、機能さえよければインターフ
ェイスなんかどうでもいい、とばかりの無造作なところもあるが、インテリ
ア雑貨やデザイン家電などを扱うオンラインショップを見ているとグレー
やベージュなどのさりげない色使いで商品情報のみを際立たせる工夫
が散見できる。また、「ひとことアドヴァイス」のような工夫がされている
のも特徴かも知れない。

あくまでオンラインショップのサイトデザインサンプルだが、「欲しい病」や
「買いたい病」が出ないよう、くれぐれも自己責任で楽しんで見て欲しい。

アシストオン
http://www.assiston.co.jp/

celsus-tokyo.com
http://www.celsus-tokyo.com/index.php/product-group/4?num=4

デザインショップ
http://www.mh-unit.com/designshop/

フリーデザイン
http://freedesign.jp/

a clam
http://www.a-calm-shop.com/

Aqua
http://www.importshopaqua.com/

グラディスカ
http://www.gradisca.jp/index6.html

スパイラルマーケット
http://store.spiral.co.jp/TopMenu.do

コンランショップ
http://www.conran.ne.jp/shop/

サンプレ
http://www.sempre.jp/

MoMAストア
http://www.momastore.jp/

2007年12月10日(月)更新

クリスマスには六本木ヒルズ

こう書くと「いまだにバブルを引きずっているの?」
と思うかもしれない。

しかしケヤキ坂から裏の毛利庭園へと続くイルミネーションを見
にいくのがここ数年、家族のクリスマスのトピックになっている。

加えて今年は「ウルトラマン大博覧会」と日本の現代美術家を
集めた展覧会「東京クロッシング」も行われている。
展望台の夜景も含めて一気に見に行こう、ということで、この週
末は子供づれで夜更かしを堪能した。
「ウルトラマン大博覧会」は以前、川崎にある岡本太郎美術館で
開催されたものとほぼ一緒だったが、オリジナルデザイナーの成
田亨さんのスケッチが多く見られたことと、小松崎茂さんをはじめ
とする事後の絵師の原画が多く見られたのが面白かった。
まさにアナログの時代の手仕事の粋を集めた展覧会だ。

http://www.roppongihills.com/jp/events/macg_ULTRAMAN.html


「東京クロッシング」は「今見たい日本の現代美術作家」というくくり
で多様なジャンルで活躍する日本のアーティストを紹介したものだ。
通常、現代美術といっても見ているほうが気恥ずかしくなるような
ものも散見するが、森美術館のキュレーターの質の高さを再認識
する内容の充実振りだ。

作品を解説する音声ガイド機も無料で貸し出してくれるが、これも
とても楽しい。日本のアーティストも肩の力を抜いて「アートの楽し
さ」を感じる場(作品)を提供してくれるようになってきたと感じた。

http://www.mori.art.museum/jp/index.html

展望台も「ひょっとしてカップルばっかりで気後れするのでは?」と
思ったがまだまだ空いていた。(バブルは去った?)

写真はケヤキ坂下のパブリックアートの前で「iPODのCM風にはじ
ける子供たち」と「東京タワー(ハートマーク付き)」。jump1

jump2

tokyotower

2007年12月05日(水)更新

イーコマース2.0

もう20年も前の話になるが、海外(主に米国)出張に出ると暇な時間に
街歩きに精を出していた。
といっても主な目的はレコードハンティング。
あるチェーン展開の古本屋に行くと、ほとんどのLPが5ドル以下。半数は
1.99ドルだった。
現在ブックオフで250円のCDを漁る原型はすでにこのころから出来てい
たのだ。1回の出張で50枚以上のLPを買いこみハンドキャリィで帰国し
た時は成田の税関で笑われたものだ。

さておき、もうひとつ気がついたのはアウトドアショップや本屋に行くと
「通販カタログ」が売られていることだった。
国土の広いアメリカでは昔から通販が必須だったのだ。
細かい英語の文字を読んでいくと、「クレジットカード決済なら海外から
でも注文を受け付ける」と書いてある。
主にアウトドアブランドが多かったが、この時期さまざまな通販カタログを
集めて帰り、日本では手に入らないテントやキャンプ道具を帰国後FAX(
当時はネットも社外への電子メールもなかった)で注文して買ったものだ。
10年ちょっと前、インターネットが使えるようになってもこのときの勘は
役に立った。
あいかわらず時々海外の通販サイトやオークションサイトを調べては日本
で見たこともないものを見つけて喜んでいる。

カナダの造形作家とはそんな縁でしりあい、出張のついでにバンクーバー
まで会いに行ってきたほどだ。

たんなる「モノ好き」だが、デザインやマーケティングを生業にするものに
とってショッピングは重要な市場調査の機会なのだ(大いなる言い訳)。

前振りが長かったが、そんなことを思い出したのは衝撃的なニュースが
新聞の一面に踊っていたからだ。

「ヤフー(ジャパン)、国際ネットオークションでイーベイと提携」

これにより両国のユーザーがそれぞれスルーでオークションに参加出来
るようになるばかりでなく国際間の決済と配送に関するエスクロー(中間
業者)がいるので煩わしさはかなり軽減される。

オンラインコマースが立ち上がって10年見ていて疑問に思ったことは
なぜ大手のネット企業がいまだに国際間のオンラインショッピングに本格
参入しないんだろう?ということだ。

問題は3つある。

1.言語(主に英語)の壁

2.決済(クレジットカードをオンラインで使うことに対する心配)

3.モノは安くても結局配送料が高くついて海外から買う意味がなくなる

逆に言えばこの3つを解決できれば、かなり大きなマーケットがつかめる
はずで、1と2についてはある程度解決する方法は見出せている。
問題は3で、今回の発表でもエスクローサービスに購入代金の15%
をサービスチャージに払わなければならない。
そういう意味ではまだ過渡期かもしれないが、ヤフージャパンが今回の
提携で足場を作り、続けて日本の数10倍とも言われる米国のオンライン
ショッピングサイトと提携したらとても強力だ。

さて、GやR天はどうするのか?
その前に自分の物欲から解脱しておくことのほうが先決のようだ。

会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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