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2010年11月12日(金)更新

日本広報学会発表会に参加してきました~その2【京都】

さて2日目は京都駅前にある「キャンパスプラザ京都」で行われたのですが、私自身は観光シーズンのため京都に宿が取れず、大阪との中間にある都市からの通勤となりました。
とはいえ、急行で15分程度ですのでそれほど悪い条件ではありません。
生活習慣で朝は目覚しいらず、6時半に起床しますのでホテルのそばで朝食をとり、ゆっくりとオフィスを空けた間の仕事をこなしても余裕がありました。

この日は午前、午後それぞれテーマごとの分科会が4コマずつセットされています。
【午前】
教材バンク構想
ケーススタディバンク構想
自治体・地域の広報コミュニケーション
CSRとコーポレート・コミュニケーション

【午後】
人材バンク構想
知識ネットワーク構想
地域と中国
インターネット

私はそれぞれ「ケーススタディバンク構想」と「知識ネットワーク構想」に参加しました。

「ケーススタディバンク構想」では、

パナソニック、村田製作所、JICA、味の素、の事例をそれぞれのご担当者からうかがうことが出来ました。
私がマイとh資産化しているIABCでもたくさんのケーススタディを聴くことが出来ますが、やはりご担当者の経験や考えを伺えるメリットは計り知れないものがあり、とても貴重な機会だと思いました。
モデレーターの駒橋先生(東京経済大学)からも、このようなケースをもっと企業の方が持ち寄る、語ることが必要だ(足りない)という話が出ましたが、本当にその通りなのです。(前日の”広報は黒子”参照)

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企業担当者がケーススタディを発表するメリットについて、このセッションで面白い意見を伺うことが出来ました。

担当者が自社の広報活動をまとめ、他者に伝えるということは、自社の事業に関わる様々な部門の人にストーリーを共有する良い準備となる、とも言えるのではないか?むしろそのような社内へのフィードバックを行うことで社員の意識変革を促すことにも繋がる。また、そのサーベイをとるのが(学会的にも)重要だ。

ケースから学者が理論を組立て危機管理と海外広報に向けて企業にフィードバックさせ、産学協働を実現させていきたい。

これらは学会ならではと思いましたが、企業広報担当者の役割の一面(ストーリーをまとめ、社内で共有)をあぶりだしていました。

午後の「知識ネットワーク構想」は主に「コーポレートコミュニケーションの効果測定」に焦点をあて、さまざまな企業、大学が独自の視点を展開していきました。

このポイントは、やはりIABCでも人気のあるテーマですが、海外の企業は意外と細かい所からアプローチし、小さな改善を重ねるところから経営改善へとベクトルをあわせていくような印象がありました。
普段「戦略的」というような言葉を多用しそうでいて、確実に定量化できるところから積み上げていく繊細さもヒントになることが少なくありません。

そういう思いを持っているせいか、今回の発表では前提やステータスがいまいちの見込めていないせいもあり、発表の相関やゴールがつかめず、消化不良なまま終わってしまいとても残念でした。

また、全体に発表と比較してディスカッションの時間が少なく感じました。


さて分科会が修了し、最後はまた全体で集まり、総括と閉会のコメントを伺いました。

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広報や企業コミュニケーションを「経営への寄与」という視点から常に考えている自分にとって、広報学会は「社会学」というアプローチ(客観視点)をとっているというところが一番の魅力と感じました。

他にも参加したかった分科会があったので、事後に分科会で共有できなかった話を共有するための仕組みや機会がもう少し欲しかった、というのが本音です。

ぜひ今後も勉強していきたいと思います。

帰りはそのまま新幹線で東京へとんぼ返りでしたが、京都駅、すごい空間になっていてびっくりしました!今度はゆっくり、観光で訪れたいと思います。

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2010年11月12日(金)更新

手のうちの小宇宙~佐藤透「コアガラス」展

今週セミナーでお世話になった銀座の共同PRさんのオフィスビルの1階に「ギャラリー田中」という、素敵なギャラリーがあります。

いつも素通りできず足を止めることが多いのですが、今回も引き込まれてしまいました。

佐藤透さんという、奇しくも同い年の作家さんのコアガラスの展覧会でしたがなかなか素敵でした。
日本人好みのする、まさに「景色」が存在する繊細な作品ばかりでした。
手間や価値から考えれば、決して高くないものですが、一見で手を出すことはさすがにはばかれました。

実はバンクーバーにカナダ人の吹きガラスのアーティストの友人がおり、コレクターではありませんが彼の作品を6本ほど持っています。
会いに行ったときにやってみろといわれましたが、吹きガラスは全身で踊るようにガラスと関わるものなので、もちろん形にすることすら出来ませんでした。

たまたまお客様の切れ目だったため、作家の田中さんと少しお話をさせていただきましたが、件の吹きガラスの話をすると、

「吹きガラスが【動】だとすれば、コアガラスが製法も表現も対極で、まさに【静】」
とおっしゃっていました。

ちなみに「絵付け」された模様も、全てガラスの細い色棒の加工でなされています。いわゆる「絵の具の絵付け→焼き入れ」ではありません。

展覧会は明日13日まで。
もし近所でお時間のある方は、見に行かれてはいかがでしょうか?

佐藤透「コアガラス」展
http://marblepocket.com/blog/index.php?/archives/339-unknown.html

2010年11月09日(火)更新

日本広報学会発表会に参加してきました~その1【京都】

秋晴れの週末の京都、紅葉の映える山並みに囲まれた京都産業大学に訪れました。

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日本広報学会の発表大会に参加するのは初めてでしたが、IABCの立ち上げでお世話になっている淑徳大学の清水先生や、一緒にトロントに行った花王の下平さん、経済広報センターでお世話になっている佐桑さんなどが参加されるということで気後れすることなく勉強に行くことができました。

京都はちょうど観光シーズンであったことに加えAPECの国際会議があり街中はかなり人が溢れていました。
さて、大会は広報学会賞の表彰に始まり、特別講演として縁のある上賀茂神社の宮司であられる田中安比呂さんから、「賀茂の文化」としてお話をいただきました。

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義務教育で我が国の成り立ちは教えられていないという現状から、地域の語り部として、また、心の拠り所としての神社の役割から神話や祝日の意味などをお話してくれました。

田中宮司は飽きることなく、あっという間の1時間でしたが、特に最後(結び)の話が秀逸でした。

「結びの話」
結ばれて出来たものが息子、娘
日本の食べ物の基本は、手塩にかけて握るおむすび。
古来より私たちは「縁(えにし)を結ぶこと」を大切にしてきました。
これもコミュニケーションなのでしょうね。

これ、結婚式のスピーチなんかにも使えそうですね。

お昼は京都らしい可愛いお弁当をいただきました。

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午後はマイアミ大学のコミュニケーション学部の
Don Stacks教授の基調講演として「米国でのコーポレートコミュニケーション教育」という話を聞かせていただきました。

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多くのアメリカの教育機関では、コーポレートコミュニケーションはビジネススクールで扱われており、大学院で選択科目レベルにあるということでした。

なぜなら

1.コミュニケーションは関係性のマネジメントである
2.関係性を構築するのはビジネスを維持発展させるためである

という背景があり、より論理的、定量的にみる必要があるためだからです。
現代の企業コミュニケーションモデルでは、ビジネスの数字と定性値との因果関係を見る事が重要であり、それを可能にしている点が優れていると感じました。

最後は「国内でのCC専門人材育成と情報集積を推進する」
としてパネルディスカッションがおこなわれました。

長くなるので以下は私が拾ったキーワードです。

トヨタのリコール問題は半分以上コミュニケーションの問題。企業はドメスティックCC(コーポレート・コミュニケーション)からグローバルCCの意識が必要

企業の広報は黒子的性格の方が多く自分の成功事例には謙虚であまり話をしない。海外は失敗した事例から学ぶことに対するリスペクトが大きい。

コミュニケーション・プロフェッショナルの専門人材に対するニーズは高いが、業容や組織体により要求水準がまちまちなのでボトムライン(最低限必要な条件)から固めて行くことが肝要。

日本企業の課題はコミュニケーション人材教育-これからの人材をどう取り込むか。

米国はより戦術的で、個人レベルでコミュニケーターの資質が備わっているため、ソーシャルネットワークとのエンゲージ(関係構築)の方が高いが、日本企業は社内にロールモデル(学べる先輩)がなく、社員が直接社外とのコミュニケーションや関係構築をするには腰がひけている。

多くの場合、エンジニアは成功例ではなく失敗した事例から学び、改善する。
しかしコーポレート・コミュニケーションを学問として学んだ人は失敗の現場になかなかいかない(企業もなかなか開示しない)。それはとても重要なことなので人脈形成がケースを学ぶポイントとなっている現状は否めない。

アウトプット(コミュニケーション)を受け取ったオピニオンリーダーや編集者、社会市民がどういう意見や評価をもつか。それを受けてどのような測定可能なアウトカム(成果)を見ることが出来るかを把握することが重要。
報道分析は露出の数や広告換算だけでなくその意見の質を見る、中身を抑えるのが重要だ。

この日はAPECで多忙であろうにもかかわらず、懇親会には京都市長も参加され、盛り上がりました。

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ただ、日頃IABCなどグローバルな会議に参加する機会があるせいか参加者が年齢層の高い男性中心(逆に言えば若い人、女性が少ない)なのが少し気になりました。

会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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