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2010年06月29日(火)更新

IABC2010トロント参加記(8)

今回のコンファレンスは自身の勉強以外に大きな目標がありました。
それはIABCのジャパンチャプター(日本支局)の設立です。

私自身がIABCを知ったのは20年前、そしていつかコミュニケーション
のプロフェッショナルが職能として企業経営者に認知され、キャリアモ
デルを確立することができるようになるというのが11年前に独立起業
したときのセルフミッションだったのです。

しかしIABCは40年続いている歴史と信頼のある団体、単なる思い付
きで「やってみたけどダメだった」では済まされません。

一昨年にニューヨークに行ったとき、その思いをぶつけ、汲み取ってもら
えたときはとても嬉しかったことを覚えています。今まで他に発起する
人がいなかったことも驚きでした。

そもそも
「世界中さまざまな国から参加者が集まるのに、何故日本だけ認知が
無く、参加も少ないのか?」
という質問を返されるぐらいです。

昨年は景気と自社の業績が厳しい中で「慎重に、賛同者をゆっくり募っ
ていきたい」と申し出させてもらいました。実際に自身もサバイバルモー
ドでした。

今年は4月の香港でもチャプターマネージャー会議に参加させてもらい、
どのようにチャプターを運営していけば良いのか、かなり勉強させても
らいました。さすが40年の経験。非常に建設的な仕組みと経験の共
有をしているなあと感心しました。

20100611o
(40周年を祝う巨大なケーキ!)
前置きが長くなりましたが、そんなわけで今年のトロントは運営側に近い
スタッフが集まる業績報告会議にも参加させていただきました。

やはり一昨年のリーマンショック以来、会員数は大きくダウンしたようで
す。しかし残った会員の活動はより活発になり、会員数のリカバリーも
徐々に起きているとのことでした。

たしかに会員数は会の収益に直結するのかもしれませんが、代表者の
ジュリーフリーマンさんのスピーチでは、量を落とすよりも質を上げること
に集中するという力強いコメントがあり、参加者はそのリーダーシップに
安心と信頼を新たにしていた様子です。

20100611p

感激だったのは、アジア大会でもご一緒させていただいたチャプター開
発マネージャーが、わざわざ代表者のジューリーさんを連れてきてくださ
り、直接紹介してくださったことです。

15000人以上もの団体なのに、非常にオープンでフラットな組織である
ことに驚きます。

20100611q

冒頭のコメントの通り、彼ら中枢部の方も、日本の社会や企業のコミュニ
ケーションにとても興味を持っているのです。ただ現状は「ジャパンナッシ
ング」。発言しなければ素通りなのです。

少しずつ、この期待に応えて行こうと思っています。

このレポートもそろそろ終盤です。

詳細については夏休み明け頃に「IABCトロントレポート」という形で発
表する機会を持とうと思っています。今回は同行した企業の方のお話や、
IABCのジャパンチャプターの取り組みの紹介もしたいと考えています。

興味のある方は気軽にご連絡(メールでも電話でも結構です)ください。

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オンライン(Web)時代のコミュニケーション戦略を創ります。
企業広報担当者をオンラインのプロに育てます。
実はスポークスパーソントレーニング(メディア対応)も売れてます。
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クロスメディア・コミュニケーションズ株式会社
代表取締役 雨宮 和弘
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4-3-6B1
Tel: 03-6418-0336 Fax: 03-6418-0337
URL: http://www.crossmedia.co.jp/
Blog: http://crossmedia.keikai.topblog.jp/
e-mail : kaz.amemiya@crossmedia.co.jp
日本PR協会正会員、IABC( http://www.iabc.com/) 正会員
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2010年06月28日(月)更新

英語じゃなくて「グロービッシュ(Globish)」

ニューズウィーク日本版6月30日号の特集が面白い!

「グロービッシュ」とは「グローバル化に適応した簡易型英語」のことです。
すなわち、英語を母国語としない人口が急速に増えていく中で、お互いに
伝わりやすい、平易な表現を生み出した、というのです。

”かつて正当なイギリス英語から「より民主的な」アメリカ英語に移行し、
今度は世界の誰もが使える新しい道具になるだろう”


nw0630

わたしにも経験があります。

かつて働いていた外資系企業のプロジェクトでテキサスに滞在していたと
き、アメリカ人のマーケティングマネージャー以外、南米出身のエンジニア、
ヨーロッパのマーケティングマネージャはフランス人、品質管理は中南米、
製造担当は台湾人、デザイナーは日本人、という国際色豊かな会議でし
た。
お互いブロークンですが英語で議論は白熱し、そしてひとつの結論を得ま
した。

みんなで握手をして会議室をあとにしたあと、廊下でアメリカ人のマーケテ
ィングマネージャに呼び止められました。

「カズ、お前は今の会議にハッピーか?どうやらオレひとりだけがきちんと
理解してなかったようだ。わるいけど後で簡単に議事のサマリーを作って
メールで俺に送ってくれないか?」

といわれたのです。

私たちにしてみるとグロービッシュそのものは特別な「英語」ではなく、
「出来ることをやってみた」結果であり、それが母国語で英語を使う人に
「これはわたしたちの言語とは違う世界の共用語だ」と気づいた、という
ことなのでしょう。

国際的なニュースに対するツイッターやユーチューブ上でのコメントは、み
な、わかりやすい平易なものです。

もうひとつ、英語のブラッシュアップをせねば!と考えていた自分にとって
も、少し肩の荷が下りるとともに、これでいいのだという自信(笑)にもつな
がりました。

これもネット化によって加速した文化の変化だと思います。
ぜひ読んでみてください。

2010年06月28日(月)更新

IABC2010トロント参加記(7)

IABCのコンファレンスに参加する意義は色々あるのですが、そのひとつは
数多くの企業の事例が聞けることです。
時に危機対応や危機的な状況からのリカバリーなど、マイナスイメージに
関わることが少なくないのです。
今回の例で言えば、GMのコミュニケーション担当者の話が秀逸でした。

倒産に瀕する状況の企業が、どのような社内コミュニケーションをおこない、
この厳しい時期を乗り切ろうとしたか。

この話は夏休みに明けに実施する予定の振り返り報告会でぜひ詳細にお
話できれば、と思うのですが(もったいぶってすみません)、いつも感じるこ
とは日本の企業で広報やコミュニケーションに関わる方から、自社での対
応事例を聞く機会はとても少ない、ということです。
とくにネガティブな状況に関する話題は稀有です。

20100611m

今後、企業内コミュニケーターやコミュニケーションに関わる部署が経営に
認められ、職能としてプロフェッショナルとなるためにも、経験をシェアでき
る方がどんどん出てくる状況を作らなければならないと感じます。なぜなら
ば、広報や企業コミュニケーションを取り巻く役割の変化、価値の変化が
大きいため、社会にも社内にも、改めてその価値を伝える必要があるから
なのです。今までのように粛々と守りの広報をやっていると、更なる予算
や組織の縮小を免れなくなります。
それもこれも、「広報は生涯のキャリア」と位置づけられていない多くの企
業の現状にあるのかもしれません。

かつて宣伝会議さんの主催の危機管理セミナーで不二家の広報の方が
不祥事対応を語ってくれたとき、参加者は予約で満杯、立ち見が出るよう
な状況でした。

みんな聞きたがっているのに、自分のことは話さない。
これは何とかしたいですね。以前、社内広報について、コミュニケーション
担当者の意見交換会を実施したことがありましたが、思いのほか多くの参
加者がありました。改めてまた同じようなことを企画してみても良いかと考
えています。

話をIABCに戻すと、もうひとつ参加して興味深かったセッションも、上記に
関連している話でした。

「企業内コミュニケーターはエージェンシーのように振る舞え」

というタイトルで、プレゼンターの2人は私と同様、企業の広報から独立され
たエージェント(コンサルタント)の方々です。

20100611k

コミュニケーションエージェンシーのアプローチとして、社内コミュニケーター
に欠けている点は、

1.経営視点、特にコスト意識
2.プロジェクトマネジメントスキル
3.戦略思考、特にアウトプットよりもアウトカム(成果)

と、それらに対する強力なコミットメントと述べています。

このセッションのポイントは以下の2つに集約されます。

1.
社内コミュニケーターとしてエージェントの強みを有効活用する。そのために
も上記の理解に務め、エージェントからタクティクス(具体的なアイディアや
対処法)を引き出すのではなく、成果を最大化すべくより戦略的なアプローチ
に助言を求める

2.
社内のコミュニケーターがエージェント的な思考やアプローチを吸収すること
により、経営や他の事業部に対し貢献度の高いコミュニケーション活動を実
施できるようになる

20100611l

最後にビル・ゲイツさんの言葉を紹介していました。

「社内に自分と違うスキルセットを持ち、共感力があり、コミットメントがある
信頼できる仲間がいることはとても重要なことだ」

こういう理解を社内で取り付けること、これこそがコミュニケーション職の
価値化なのではないでしょうか?

2010年06月24日(木)更新

IABC2010トロント参加記(6)

IABCコンファレンスは4日間のうちに、レギューラーコンファレンス以外の
イベントがあります。

たとえばアジア、ヨーロッパなど地域ごとに分化したパーティー、表彰式、
ゲスト講演、ネットワーキングパーティなど。

今年は4月に香港でアジアのコンファレンスがあったせいか、今までのア
ジア地域のパーティーに比べるとインド、ニュージーランド、中国の方が少
なかったのかもしれません。
ここでも特徴的なのはアジアのメンバーだけが集まるのではなく、アジアに
興味があったりビジネスで関係しているヨーロッパやアメリカの方々も顔を
だすところです。すなわち、セクショナリズム的ではなくビジネスオリエンテ
ッドなのですね。

20100611h
3日目のお昼前には全員が集まる大きなオーディトリアムで基調講演が
ありました。
「フリー・ザ・チルドレン(Free The Children)」という国際協力NPOの設立
者であるクレイグ・キールバーガーさんのスピーチです。

毎回必ずこのような社会活動家のゲストが呼ばれるのですが、彼がこの事
業をスタートしたのは12歳!
つまり、「子どもが子どもを支援する」国際協力を合言葉に活動しているの
です。

20100611h

事業の目的として、
「貧困や児童労働から子どもを解放する」

というのはわかりやすい、ありがち(といっては失礼)ですが、

「子どもには社会や世界を変える力がない、という考えから子どもを解放する」

というのが特徴です。彼は現在20代後半ですが、すでに15年の社会活動経
験から、企業や社会に対し、大きな影響力を与えています。

よって講演のテーマは「これからの企業文化のあるべき姿」というとても示唆
に富んだものとなっていました。

CSR活動を活性化させるものの、CSRはCSRとして割り切っておこなっている
企業は少なくありません。

彼はCSR活動を通じて社員のスキルアップや業務の質の向上、その底上げ
によって事業の継続性が高まり、評判やブランドの向上につながると述べてい
ます。

そのために活動の意義を社員にしっかり伝え、地域、社内外をつなぐコミュニテ
ィを形成、そのなかで企業と地域がプロアクティブに動く(行動なきところに成果
は現れない)基盤を作っていきます。

20100611j

事例として紹介された米国ソニー・エレクトロニックス社のサンディエゴテクノロジ
ーセンターの「Star Class」奨学金プログラムでは、学生に施す、という一方的な
ものではなく、社員と高校生との複数年の交流が行われ、相互がコミュニティー
の底上げと活性化のために協力していくとうもの。

「わたしとあなた」という関係から「わたしとわたしたち」という関係へのシフトが
大きいのだ、とくくりました。

環境やCSRなど、今後の日本の企業コミュニケーションにおいてますます重要
視される話題ではあるものの、ただやっている、という状況を脱し、このように芯
のある考えをもった活動、企業が評価される時代になってくるのでしょう。

フリーザチルドレンには日本支部があり、活発に活動されているようです。
http://www.ftcj.com/index.html

2010年06月23日(水)更新

IABC2010トロント参加記(5)

2日目~3日目の主だった参加セッションのなかから、いくつかご紹介
します。

変化のはげしい時代における企業の社内信頼形成
(エンプロイコミュニケーションの重要性)
===========================================================
エンプロイコミュニケーションはIABCにおいてもトップトピックのひとつです。

しかし社内報やイントラの活用法など、ツールレベルの話題はほとんどありま
せん。
今風の言い方をすれば「戦略(社内)広報」となります。

金融危機、景気後退、企業の不正やスキャンダルなど、後ろ向きな話題が続
くこの時代、社内コミュニケーションにおいては「関係構築」とともに、もうひとつ
の重要なトピックが「信頼形成」なのです。

20100611f
特に国際的な企業や団体の経営およびコミュニケーションに携わる人は地理
的条件、文化、国籍も違う海外オフィスと本社間で社内外の「信頼」をどのよう
にリードしていけばよいか。

ロンドンのビジネススクールの教授によるセッションですが、机上論など皆無。
以下のトピックにおいて非常に具体的な説明がなされました。

・ なぜ信用が今重要なのか
・ 職場では金融危機、景気後退後、誰が誰を信じているか
・ 失われた信用はどのようにしてリカバリーできるか
・ コミュニケーターとしてどのような役割を負うべきか

論旨のポイントは良い意味でも悪い意味でも「感情論」ではなく、それを維持発
展させることがビジネスに反映する(非効率的な業務が無くなる、営業利益の
増加につながる、社員の精神的な健康状態により退社や医療費が減る)こと
を統計的かつ論理的に追っています。

20100611g

現実的に金融危機や景気後退に際し、マネジメントはリストラやさまざまな変革
モデルを取り入れざるをえませんが、社員がそのまま真意を理解することは難し
いのです。(感情として受容するのはかなりステージがあと)

トップやシニアマネジメントが直接対話の機会を設けるのは大事かもしれません
が現実的には余裕がなく、十分な時間はとれません。

プラクティカルな方法として、ここではミドルマネジメントとコミュニケーション担当
者が「通訳」としてその間に立つ、というアプローチを紹介していました。

当然ここには部署やヒエラルキーを越える施策が必要となります。
「社内通訳者」の役割の重要性に着目し、それを活用している企業やシニアマネ
ジメントは、日本においてはまだ皆無に等しいのではないでしょうか?

多くの場合、日本でコミュニケーションが良い、と言われる企業はシニアマネジメ
ント自身の積極性が目立つ場合がほとんどです。

「双方向の仕組み」(聞く耳を持ったふり)は入れても、それを「下意上達」
する機能、あるいは役割は足りていない気がします。

社内コミュニケーションの相談は近年増えています。しかもツールだけでは解決し
ない問題がほとんどなのです。このセッションは経営レベルの人に対しても説得
力のある内容でした。

2010年06月22日(火)更新

IABC2010トロント参加記(4)

2日目~3日目の主だった参加セッションのなかから、いくつかご紹介
します。


アイディアジャム
===========================================================
これは2日目の朝1晩のセッションです。7~8名がひとつのテーブルを囲み
みんなで意見を交換するセッション。

私が参加したのは「エンプロイコミュニケーション」。

このワークショップはファシリテーターがIABCチェアのマークシューマンさん
だったのですが、進行がとてもユニークで上手でした。

20100611d
(持参したポメラが写っています。今回はメモは全てポメラでタイプインし
とても重宝しました)

「不況、業務縮小、などから尾を引いている社員のネガティブな感情をどのように
ポジティブに変えていくか?」というテーマでスタートしました。
まず最初に社員や担当者が持つ「感情値」を出しあいました。

「怖れ」、「阻害」、「怒り」、「不安」、雇用の不安定さや仕事に対する「認知
の欠如」など、いくつかのキーワードが出てきました。これをテーブルごとにひと
つだけテーマとして選びます。

次にこれから6ヶ月でそれをどうリカバーするか、みんなでプランを考えます。

最後にそのプランを実施するためのバリアの認識とそれを回避する方法を考
えます。

アクションプランは理想論ではなく、コミュニケーションのプロとして組織をファ
シリテートするための具体的なアイディアでなくてはなりません。また、ネット
ツールなどに頼らないこと!という制約もありました。

ポイントは、
「それを達成するために自分たちはどう変化するべきか認識して行動する」
というところにありました。理解と等身大の働きかけが必要なのです。
「俺がやってやる」的な視点だけではダメだということは、洋の東西を問わ
ないのですね。
このあたり、今求められている「リーダーシップ」のプロファイルとも近いものが
あるなと感じました。

自分から社内に出て行って話を聴いたり、組織の壁を越えた対話の機会を
どう作っていくか、上の立場の人の引っ張り出し方など、ヒントになる意見が
数多く出てきました。

ほんの1時間足らずでぽんぽんとアイディアをまとめるなんて、できるのだろう
かと思いましたが、非常に民主的に会話がまとまっていくのがとても面白かっ
たです。もちろん皆さん仕事も国籍もバラバラ。

20100611e

社内コミュニケーションの場合、仕組みを作ることよりも「どういう結果を見い
出すか」を明確に持つことが重要なのです。

簡単なワークショップでしたが、日本向けには多少アレンジが必要なものの、
ヒントが多く、企業向けのセミナーの機会などで自分もやってみようと思い
ました。
(どちらかの企業でご興味があればお手伝いいたしますよ)

2010年06月21日(月)更新

IABC2010トロント参加記(3)

本格的にコンファレンスが始まるのは2日目の月曜日です。
スタートは朝8時!これもこのコンファレンスのユニークなところかも
しれません。合計3日半で約80ものプログラムがあるのですから、し
ょうがないですね。本当に一日盛りだくさんです。

朝2本、午後2本のセッションは、以下のようなカテゴリーがあります。
1.プロのコミュニケーターとしてのスキル習得セッション
2.参加者で意見をぶつけるアイディアジャム
3.企業事例などのコンファレンスセッション
4.企業やコンサルファームのエキスパートによるパネルセッション
5.業界で有名、あるいは人気のパネリストによるオールスターセッシ
ョン

合計3日半で約80ものプログラムが同じ時間帯にいくつかのテーマで
実施されるので参加者はその中から自分の興味にあったテーマ、プレゼ
ンテーションを選びます。

20100611a

テーマには以下のようなものがあります。
1.チェンジマネジメント
2.コミュニケーションリーダーシップ
3.エンプロイコミュニケーション
4.グローバルトレンド
5.マーケティング&ブランド
6.パブリックリレーション
7.ストラテジー&カウンシル

その間にゲストスピーカーや会長による講演、スピーチ、表彰、各地域の
パーティーなどがあります。

20100611b

初めて参加した2年前のニューヨークはリーマンショック前ということもあった
のかもしれませんが参加者が2000人を超え、その盛り上がりはすごいも
のがありました。翻って昨年。多くの人にとって参加しやすいはずのサンフ
ランシスコでも参加者は1500人。やはり景気低迷の影響は否めませんで
した。今年の参加人数は前年並みでした。

今年は日本からは私を含めて4人が参加していますが、初参加の某企業の
コミュニケーションマネージャの方は

「広報コミュニケーションをテーマにして、いわゆるコンベンション(展示会)で
はない純粋な会議に、世界中(約30カ国)からこんなに沢山の人が集まる
というのに驚いた」

とおっしゃっていました。



確かに単なる勉強の機会として捉えるならば、参加費(海外の場合は少な
くない旅費も含む)はけっして小さいものではありません。

私が参加して常に感じることは、

「プロのコミュニケーターは経営視点、利益意識、活動持続性」

を常に意識しているということです。
すなわち、広報コミュニケーションの仕事が、会社にとって「コスト」ではなく
「プロフィット」になるべく働いているのでしょう。

やはり昨年から今年にかけて、大きなテーマは「エンゲージメント(関係構築)」。
そのひとつはソーシャルメディアの発達による社会や顧客あるいは社員との
「対話」、もうひとつはソ-シャルレスポンシビリティの視点です。

もちろんツイッターなどの新しいツールの話も出ますが、より永続的な観点か
らのコミュニケーション戦略について語られることがほとんどです。

2010年06月18日(金)更新

IABC2010トロント参加記(2)

IABCのグローバルコンファレンスはいつも日曜日の午後からスター
トします。しかしお昼に受付に行くとまだ人影はまばら。

これで本当に1500人も来ているのだろうかと少し心配になりま
すが、セッションが始まるとなんだかんだ、一部屋に数百人が集ま
ります。
toronto0610a

初日は主に初心者向けのスキルアップセミナーがあるのですが、勉
強熱心なベテランの顔も多く、ファシリテーターもすこしやりにく
そうな表情をするときがあります。

toronto0610a
2つのセッションをこなすと夕方にオープニングイベントがあります。
昨年はシスコのコミュニケーションマネージャー(バイスプレジデント)
の女性による、社内コミュニケーション革新の話でしたが、今年は
趣向を変え、ドラムカフェというパーカッションパフォーマンスチー
ムの演奏でした。

toronto0610d

彼らは会場に集まる参加者(1500人強)の人数分のジェンベ(ア
フリカの打楽器)を用意し、椅子においていたのです。すなわち彼ら
のパフォーマンスに合わせて聴衆が全員参加でリズムを作り出してい
く、体験型のパフォーマンスなのです。

1対1では臆してしまうでしょうが、1000を超える数の音、しか
もそれが会場でひとつにまとまると瞬時にすごいパワーを感じること
ができるのです。

toronto0610f

彼らのメッセージは「コミュニケーション」という一見とらえどころ
のない、評価しづらいものも、やりかた一つでわかりやすく、圧倒的
につたえることができる、というものです。

toronto0610g

景気の後退から少しリカバリーが見えたのか、全体的に昨年のサンフ
ランシスコよりも参加者の元気を感じますが、それを後押ししてくれ
るような、勇気の沸く、すばらしいオープニングでした。本当にIABC
はコンファレンスの企画設計がクリエイティブだと感心します。

toronto0610h

チェアマンのマークシューマンさんはさすがに香港のときよりも堂々と
していました。「ちょっとしたことでもみんながすぐひとつになれるこ
とができることを忘れてはいけない」という力強いメッセージを語って
くれました。

本来であればこの後はレセプションパーティーが開かれたのですが、
同行スタッフが体調を崩し、日本チームで軽めの夕食を取り、明日か
らのハードなセッションに備え、早めにホテルに戻りました。

2010年06月18日(金)更新

IABC2010トロント参加記(1)

先週いっぱい、カナダのトロントに行っていました。

IABC(International Association of Business Communicators)
アニュアルコンファレンスで、参加するのはニューヨーク、サンフ
ランシスコに続き3回目です。

カナダに来るのは5年ぶり。前回は仕事のついでにバンクーバーに
住むガラス工芸アーティストに会いに行ったのですが、トロントは
バンクーバーにひけをとらない美しい町でした。

テキサスのダラスのような、ひたすら地平、というところも好きで
すがやはりウォーターフロントの街はなんとなくほっとしますね。
仕事なのでできるだけ疲れたくはないと思うものの旅費の軽減で米
国トランジットの飛行機を取りました。やはり米国入国審査はとて
も厳しく、乗り継ぎはぎりぎりで少しヒヤッとしました。

今回のデトロイトもそうですがアメリカのハブ空港の大きさは尋常で
はなく、さりとて走ると周りの人がパニックになると聞くのでなんだか
競歩しているような感じでした。
比較するとトロントの入国はあっけなく、拍子抜けするようなものでし
た。

ホテル送迎の乗り合いバスで20分ちょっとですから空港と都市の
距離を考えるとトロントは利便性の高い都市だという事がわかります。
(SFは電車で30分、)
成田は都心まで70キロ以上ありますから1時間半。
厳しいものがありますね。

torontobus

いつものことですが会場になるのはヒルトンやシェラトン。
会員価格だとは言えそれでも高いので2ブロックほど離れた安めの
ホテルを取りました。
アメリカにしては小さめのワンルームですがバスタブはあるし、ベ
ッドも大きいので十分です。
なによりここはモダンデザインで室内が木のフローリング、湖が近
いせいとフロアが6階で窓が開けられることであまり激しく乾燥し
ないので居心地が良く助かりました。

strascona

トロントはとてもわかりやすい町でほとんどの通りが縦横のグリッ
ドになっており、センターから10ブロック(徒歩20分)圏内で
ある程度まとまっているので時間があれば歩いても周れる感じです。

torontosky

ちょうど会場のホテルの東がショッピングモール、西側のストリー
トが個性的な店やブティックなどが並ぶエリア、その上が中華街、
イタリア街。まるでニューヨークのようですがあれほど高層ビルが
いっぱいあるわけではないので見通しや日当たりはよさそうです。

到着が夕方なので初日はホテルの周りを散策して終了。

toronto0609night

2010年06月15日(火)更新

Time Magazine 6/14 ワールドカップの一方、アフリカの妊産婦の現

先週、IABCのアニュアル・コンファレンスで、一週間カナダのトロントに
行っていました。
レポートはまとめて数日後に書きます。

さていよいよワールドカップが始まりました。
オープニングゲームの南アフリカ対メキシコはちょうどトロントの空港
で出発待ちをしているときに見られました。

帰国後は時差ぼけが幸いしてか、夜中のゲームは以上に集中して
見られます。(日中の午後にツケがくるのですが)

トロントで書店に寄ったとき、手に取った「Time Magazine」。
もちろん特集はワールドカップ。
しかしページをめくっていくと、そこに驚愕のフォトレポートがあったの
です。

それは、アフリカの妊産婦の置かれている現状。
十分な設備がないまま出産をすることで命を落とす母親が少なくない
というもので、たまたまなのでしょうがその一部始終を写真取材してい
るものです。
命を育むことに現代でもそんなにリスクがあるというのは信じられませ
ん。
帰国してタイムマガジンのウェブサイトに、そのフォトレポートがアップさ
れているのを発見しました。

sierraleone


英語のナレーションは簡単に要約してみました。
ご参照までに。

==========================================================
アフリカ、大西洋岸に位置するシエナレオネ共和国での、妊産婦死亡の
現状のフォトドキュメンタリー


概要

シエナレオネ共和国は妊産婦の死亡率が世界で最も高い国のひとつです。

8月、ジャーナリストが立ち寄った国内最大規模の病院で、ちょうど出産した
女性に出会いました。ところがその女性は、その直後に大量出血を起こしま
した。

ドクターやナースたちが必死の処置を施しますが、間に合わず、女性は生ま
れたばかりの娘がお腹をすかして泣いているすぐ横で亡くなりました。

実はこの病院には医療物資が常備されていません。
そのため親族が輸血用の血液を提供し、点滴用の薬から綿棒といった物ま
で手に入れなければなりません。

生まれたばかりの赤ちゃんは、同じように母親を出産でなくした多くの子ども
たちのように、写真でしかその姿を見ることが出来ず、周囲から話をしてもら
うことでしか、母親の面影を知ることはもうありません。

==========================================================

この状況を少しでも改善しようと働きかけているNGOが日本に存在します。

国際協力NGO ジョイセフ (財団法人 家族計画国際協力財団)
http://www.joicfp.or.jp/jp/


海外支援のNGOは沢山ありますが、日本発、しかも40年続けている団体
というのは稀有だと思います。

伺った話です。
日本も戦前は妊産婦死亡率が高く、お産にもかなりリスクが生じていたそう
です。
そこでジョイセフの創設者であった國井長次郎さんが戦後、民間団体の活動
の中で検便による回虫や鉤虫などの寄生虫駆除から公衆衛生、予防医学、
家族計画および母子保健の普及に努め、戦後復興から高度成長を支えた日
本人の健康改善に大きく寄与したのだそうです。
結果、日本は世界一安全にお産ができる国(妊産婦死亡率が最低)となった
のだそうです。
ジョイセフはその活動を基盤に国際協力という形で日本を代表し、海外に活動
拠点を広げています。

仕事を通じてこの団体の広報に関わらせていただきました。
ウェブサイトをぜひ見てください。
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会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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