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2008年07月26日(土)更新

「コミュニケーション」の意味(2)

最近名刺をいただくと「コーポレート・コミュニケーション部」
とか「コミュニケーション部」という名称の部署名が目に付くよ
うになってきた。これはとてもよい兆しだ。
対外的なリレーション中心だった旧来の広報から、社内も含め
企業全体のコミュニケーション(「関係性」や「相互理解」)を
考える部署として捉えようとしている。
しかし実際はCCO(チーフコミュニケーションオフィサー)と
いう肩書きで企業の情報通信技術化の責任を持つ人はいても、C
CCO(チーフ企業コミュニケーションオフィサー)を置いてい
る会社はまだ日本では稀有だろう。
わたしたちクロスメディア・コミュニケーションズは、社名から
やはりICT系企業とよく誤解される。しかし行っていることは
「関係性」や「相互理解」の意味での「コミュニケーション」の
改善サポートだ。
わたしたちは多くのヒアリングを通して企業のビジネスプロセス
や現用の課題を把握し、様々な調査を通してその企業独自のコミ
ュニケーション特性を知る。その上で「オンライン」から「社内
報」まで、メディアプランに落とし込み、その運営方法について
コミュニケーション担当者と一緒に考える。

ウェブサイトのリニューアルやイントラネットの新設についても
ほとんどの企業が行っているのは、まだまだ「情報通信技術化」
の面のみだ。
「関係性」や「相互理解」の意味での「コミュニケーション」を
改善、促進するプロジェクトは、やりたいがなかなか予算化しづ
らい、とも言われるが、結果として「情報通信技術化」の効果測
定に結びつくものなのだ。

「2つのコミュニケーションをひとつに」

私自身が10年前に「クロスメディア」と名乗った真意はここに
あり、現在大手代理店が展開しているアプローチとは一線を画す。

「ウェブをリニューアルしても何も変わらない」
「ICT化は充実しているが、社員の意識やビジョンの浸透は
低いままだ」

と感じる企業担当者の方は、いままでとは別のアプローチで解決
の糸口をつかむことができるはずだ。米国では数多くの企業が本
格的なサービスを始めているが、日本ではまだまだ十分にその価
値が浸透していない状況だ。そういった意味では私たち自身もま
だまだパイオニアのひとつといったところだが、興味をいただけ
れば具体的なアプローチや実績を説明さしあげるし、セミナーと
いう形での導入も効果的で良く行っている。気軽に連絡をいただ
けるとありがたい。

2008年07月26日(土)更新

「コミュニケーション」の意味(1)

これだけ一般的に使われている外来語でありながら「じゃあその
意味を定義してみて」というと答えに詰まる言葉のひとつに「コ
ミュニケーション」がある。

近年の入社式の社長訓示でも多くの大企業で「コミュニケーショ
ンを大事にしよう」と言っている
。しかしそれを聞いたほとんど
の新入社員はこう感じたはずだ。

「具体的にどういうこと?」

人事や広報ならこう思ったはずだ。

「イントラネットを整備しよう。社内ブログなんて今日的で良い
のではないか?社長が期待しているのはそういうことだ。」

それでもなお、「コミュニケーションの問題はわかりにくい」、
「ツ-ルを導入しても解決しない」という相談はあとを絶たない。
「コミュニケーション」という言葉には実はいくつかの意味があ
るのだが、ビジネスにおいてその定義があいまいになっている、
ということこそが「企業におけるコミュニケーションの問題解決
ができない」元凶なのではないだろうか。

よく「IT産業」とか「IT企業」という言い方をする。
英語でスペルアウトすれば「Information Technology」だ。
日本語にすれば「情報技術」となるのだろうが、最近では「情報
通信技術」、すなわち「Information & Communication
Technology」とする場合が一般的
になってきたようだ。

この「Information & Communication Technology」でいうところ
の「Communication」は、すなわち「通信」のことで、企業がこの
20年あまり推し進めてきた「IT(ICT)化」は、くどいが
「情報通信技術化」なのだ。

具体例を挙げるならば、

人事は人事労務管理や評価制度の電子化、イントラネット
広告はSEO、クロスメディア
マーケはeCRM
財務はオンラインIR
広報はオンラインニュースリリース、インターネット
営業はSFA
総務、購買はSCM
経営、経営企画はERP

この「コミュニケーション(情報通信)」に対して、もうひとつ
の「コミュニケーション」がある。
すなわち
「最近部門内のコミュニケーションが良くない」
という使い方の「コミュニケーション」だ。

こちらは、いうなれば「関係性」や「相互理解」という意味だ。
冒頭で挙げた解決できない問題というのは、この2つめの意味の
「コミュニケーション」にける課題をきちんと把握していないた
めに起こっているのだ。

繰り返すと、情報通信技術化により各部門の業務生産性が高まり、
企業全体でそれらの統合化さえ進んでいる。
逆に部門、あるいは社員ごとの「関係性」や「相互理解」はます
ます孤立、あるいは離れているといっても良い。

(続く)

2008年07月22日(火)更新

進化するプラネタリウム

この連休は来週に家族の行事(バレエの発表会)と夏休みを控えているため
ほとんど仕事(残務整理)に充てていた。
中日の日曜日のみ、家人が所要のため、子供二人を預かることになったのだ
が暑いからといって家の中にこもっているのも何かと思いアイディアをひねる。

クルマで遠出をするのも憚るほどガソリンが高いが、近場なら、ということで多
摩川を渡り車で10分ちょっとのところにある「生田緑地」に遊びに行ってきた。
ここは雑木林の中にある大きな公園で日陰もあるし民家園や岡本太郎美術館
もある。
確かに木陰も涼しいし、池でザリガニ釣りをしている人や岡本太郎美術館の入
り口の噴水階段で水遊びをしている子供もいる。ちょうど良い時間つぶしだと
のんびり歩いていると、奥のほうに「青少年科学館」という建物が見えた。

ここでは川崎の自然と歴史をテーマに、化石や動植物の展示を行っている。
と、その横にはなにやら丸い屋根、プラネタリウムがあるではないか。
見ると大人200円、子供は中学生以下タダ!涼しいだろうし、これは良い!と
余り期待せずに入ってみることに。

ところがこれが大当たり!
約50分のプログラムだったが、ベテラン解説員のお父さんの生解説付きで
これがまたなんとも癒し系なのだ。そのやさしく、ユーモアにあふれた語り口
は親から子供まで瞬時に星の世界に引き込まれてしまう。

で、肝心のプラネタリウム機はベテランのメカニカルなGM II-16-T型の横に、な
にやらスターウォーズのR2-D2のような、ちっこいのがいる。

なるほどこれがうわさの「メガスターII ミネルバ」か。こんなところにあるとは!
昔テレビでコレを開発した方のドキュメンタリーを見たのだけれど、一言で言う
と「深さが違う」。
入口で大きな双眼鏡を貸してくれるのだけれど「いったい何のため?」と思ってい
たが、見てびっくり!
星の等星なんて明るさぐらいで表現しているのかと思ったら、双眼鏡で見ると木
星にはちゃんと木星の模様が見える!
星雲とそこにまたがる星の関係もきちんと立体的に感じられるのだ。

メガスター開発者のウェブサイト

現在の東京の夜空(明るくて星はすこししか見えない)と富士山の頂上から見た
場合のシミュレーションも見せてくれる。
これはコストパフォーマンスの高いエンターテイメントだ。

まだまだ近所にも良いところがあるなあと再発見の一日だった。

写真は携帯で撮影したためぶれたがメカニカルでかっこ良いGM II-16-T型
planet

2008年07月19日(土)更新

IABC参加記(12)

最後はニューヨークで撮った風景写真を紹介して今回のまとめとしたい。

newmuseum
到着翌日に行った「ニューミュージアム近代美術館」。日本人の
設計した新しい美術館だ。上部のカフェは何もない空間で窓いっ
ぱいにロウァーマンハッタンが広がる。
museumtoilette
美術館に行ったら必ずトイレをチェックしろ、とはよく言った
もので、どこの美術館もトイレのデザインまで力は抜かないも
のだ。ここはモザイクが美しく、思わず一枚。

timessquare
タイムズスクエアは本当にキレイで安全になった。夜中まで人が
絶えず、ショッピングバッグを手にカメラを構えて記念写真を撮
っていても何も不安なことは起きない。
それにしても夜だというのに「絵」のような色だ。

subway1
地下鉄ホームの空調の悪さは相変わらずだが、駅も電車もとても
きれい。やはりこちらも危険な感じがしなくなってきた。
写真のお兄さんみたいな人を見つけると、つい演歌を歌いそうだ
と思ってしまう(笑)。

vodka
地下鉄の駅で見たウォッカの広告。モロにロシアンアバンギャルドだ。

housingworks
SOHOにある「Housing Works Bookstore」。ここの在庫は
すべて寄付でまかなわれ、売り上げもエイズ治療やホームレスの職業訓練
の機会創出などに使われている。
ストランドと違い、値段がこなれていない分貴重な本が激安で見つかる
可能性もある。インテリアが美しいのに感動した。

cupcakes
誘惑。アメリカのケーキは大味でまずいと思っていたが、見た目ほど
甘みは少なく、意外においしかった。

   ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

帰国してからレポートや写真をまとめるのに3週間近く掛かった。
多くの気づきと仲間を得、そして企業コミュニケーションに関わる
仕事のチャンスがまだまだいっぱいあることを再認識した。
15年掛かったが、今年参加できたことの意義は大きかった。
これらを会社のサービスの糧とするべく、まとめる日々だ。
夏休み明け頃に、またセミナーを開催し、お世話になった方々に
ご紹介できるチャンスがあると思う。

2008年07月18日(金)更新

IABC参加記(11)

さて、そのH&Hの通りをはさんで反対側にあるのが古本屋の
「Westsider Rare & Used Books Inc.」。
今回は有名な「Strand」をはじめいくつかのユニークな古本屋に立ち寄った
が、期待通り、ここは秀逸だった。
やはり日本の中古レコードショップ(やブックオフ)の質がその町の文化度に
比例するのと同様、この本屋の質もそのままアッパーウェストの文化度と
比例しているのかもしれない。
僕自身が買った本は3冊。

1936年刊の「The Power of print - and Man (ライノタイプ印刷の
未来と印刷業、という感じ)」
power of print
これは、活版からライノタイプへの時代の移り変わりで、これからいかに
印刷業が変化するか、という希望の書だ。実際にはそれから30年もすると
写植、さらにDTPへと取って代わられるのだけれど、
「便利になるがツールに惑わされずコンテンツ(文章だけでなくレイアウト
デザイン)のクオリティを保つことが重要だ」
と書いてあり、メッセージとしてはオンラインツールに振り回されて内容の
無いウェブサイトが多い現代と変わらない。
この本は装丁もバリバリのアールデコで非常に美しく、レジで店主の女性
が「あんた、印刷技術に興味があるの?へーキレイな本ね、え?12ドル?
ウチの亭主は何考えて値段つけてんだか。あんた、得したわね」とウィンク
された。

1937年刊の「シリアスビジネス」
これは戦前のイギリスの絵本だ。子供たちの日常を洒脱なタッチのイラスト
で綴ったもので本当に愛らしく見入ってしまった。
いまだにファンが多いらしく、帰国後ネットで調べても意外に高いので驚い
た。20ドル。
illust

1954年刊の「イギリスの産業年鑑」
これは写真(グラフ)本で、戦後のイギリス産業の興隆を各産業分野ごとに
紹介したものだが、その後のことを考えるとある意味イギリスの「ピーク」
の状態を切り取ったものだ。アメリカのおおらかな50年代と違い、ひたむき
さが伝わってきて興味深かった。
年賀状やウェブサイトへのコラージュ材料としても版権の切れている古い
グラフ雑誌は貴重で面白い資料だ。20ドル。
british industry

今回はこれ以外に初日のフリーマーケットで1932年のフォーチュンマガジ
ンを2冊買うことができた。これは1冊20ドルを2冊で32ドル。
1930年代のフォーチュンは大胆なアールデコデザインの表紙で非常に人
気が高く、米国でもあまり目に触れることが少なくなってきた。

参照:1930年代のフォーチュンマガジン

結局古本屋に座り込んで2時間が経っていた。
明日は朝が早いのでもうホテルに帰ってパッキングしないと、と思ったのだ
が本屋熱が収まらない。ホテル近くに戻ってきて、歩いていなかったブロード
ウェイの東側の路地に向かうとなにやら雑貨屋のような本屋がある。
気になって入ってみてこれまた驚いた。
ファッションやデザインを中心に世界中の雑誌を集めて売っている本屋だった。
もちろん日本のファッション雑誌もあるのだが品揃えはリッツォーリやバーンズ
とは比較にならない。こういうカテゴリーで成り立つのだから面白い。
欲しい雑誌は山ほどあったのだが、パッキングできなくなるのは目に見えて
いたのでメモを取りまくって特に日本でも見たことの無い、興味の高いものだ
けを2冊買った。
東京に帰れば青山ブックセンターがあるじゃないか、と思っていただけに、
最後の最後まで世の中の広さを再認識した面白い本屋だった。
aroundtheworld
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