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2006年09月14日(木)更新

判断力とスピード

10年前に1年間ほどお世話になった会社。
そのときの同僚たちと(二人は現役。もう一人は私とほぼ同時期に退社して
今はビジネスパートナー)4人で久しぶりに集まりました。

この4人は当時の社長秘書、副社長秘書、広報マネージャー、そしてオンラ
イン広報マネージャーで、しょっちゅう会っているわけではないのだけれど、
当時から不思議な仲良しチームでした。

なにしろ、辞めて10年にもなるのにいまだにこうやって声をかけてくれるのは
とってもうれしいことです。

今回も集まるのは約3年ぶり。
しかしそれぞれが持っている情報量の濃さは半端じゃない。もちろん社外秘は
絶対に話はしないけど、業界の動向や変化、今後の可能性など、さすがコミュ
ニケーションマネージャー。まるで会社の中のCIAとFBIとKGBとMI6が集ま
ったようでした。
しかし現役の彼らはいつもとても謙遜しています。退社して外に出てみればわ
かるのですが、あれほど組織変更が多く、その対応力に優れ、しかも仕事の
スピードの速さにも対応できるビジネスパーソンはなかなかいないでしょう。
「働かされている」という意識はほとんどないのですが、すごくよく働きます。
(本当のことを言えば、力の抜き方もうまいのですが)
しかもお茶目なぐらいよく遊びます。

この会社のすごさを語れ、といわれたら2時間ぐらい話できる気がします。
(お金も取れそうな気がしますが、誰か呼んでいただけますか?・笑)

この会社で学んだことはとてもいっぱいあります。
そのひとつが「判断力とそのスピード」です。

なんでもすぐ決断する。そして動く。
間違っていても人より先にその地点に戻ってリスタートすればよい。
失敗の経験も引き出しの数になりますし、その相乗がスピードの
速さにつながる、というわけです。

久しぶりにパワーをいっぱいもらいました。

2006年09月13日(水)更新

奇異なキャリア(その5)

私が企業のWEBサイトを通じて企業(コーポレート)コミュニケーションを
考えるようになったのは、ひとえに当時お世話になっていた外資系企業
の立ち上げに関わらせていただいたからです。

当時はまだプロフェッショナルと呼ばれる制作会社もほとんど存在してお
らず、

「まず自分たちがきちんと把握しなければ何も始まらない」

という状況でした。

「技術」、「デザイン」、「コンテンツ」の3つのバランスをもってコミュニケーシ
ョンを作っていく。
また、当初より既存コミュニケーションメディアとのメディアミックスを考えたり
ブランドやメッセージを統一する視点、そしてコンテンツ管理からセキュリティ
、データ保護の視点からもしっかり考えていました。
立ち上げから約1年後に同様の外資系IT企業に転職したのですが、そこで
おこなっていたWEB管理およびチームの活動は前職とほとんど同じだった
ので、「ああ、これはベストプラクティスなんだな」と思いました。

こういう場に立ち会えたことは本当にラッキーでした。
しかし日本では、周りの理解も少なく、わたしはまだまだ孤立していました。
ですので、ほかの企業の広報や同様の仕事(WEBの管理)をされている方
にアポをとり、他社はどんなことをやっているのか、情報交換をしようと思い、
良く会いに行きました。

ただ、現実的には、私以上に孤立している担当者、というよりも、
1.上司や経営者はほとんど理解していない
2.とりあえずお前やれ、といわれたが自分も良くわからない
3.「少なくとも他社と同じ体裁にしてくれ。材料はこれ(会社案内)」と、業者
  に丸投げ。

というような状況でした。

そこから先は、戦略性など持ちえるはずもなく、逆に制作会社や代理店に
とってみると「新しい商圏」となるわけですからばんばん営業をかけてくる。

そのときからいままで、企業のWEBサイトのベンチマークをずっと続けてい
るのですが、日本の企業は芯がないまま、積み上げてしまったジェンガの
ような状況です。
インターネットは2~3年おきに技術革新があり、その適応を迫られますが、
最初にコミュニケーションツールとしての指針をしっかりと持っている欧米
企業はこれらに対する適応もスムーズで、過去のコンテンツの管理もあまり
破綻がありません。
翻って多くの日本企業では、新しい技術を適応しようとするとフルスクラッチ
(1から作り直し)、もしくは過去のものはそのまま放置して部分最適化、と
いうのがほとんどです。
10年追い続けて、積み上げた数千ページをどうしようもなくなってきた、とい
うのが実情ではないでしょうか?

「どこから手をつけてよいか、わからない」

良くこんな相談を受けます。
もちろんきちんと調べれば、道筋は見えてきます。
しかし多くの担当者は、他社のサイトをじっくり見たことも少なく、自社サイト
すら全容を把握していない人もいます。
ましてや、他社がどんな管理方法をとってやっているのかなど、直接の競合
でなければ、会いにいって話を聞くことはいくらでもできると思うのに、そのよ
うな自助努力をされている方が非常に少ない。

時々いただくセミナーの機会に、よく「わたしとだけでなく、参加者同士で名刺
交換をして情報交換できるネットワークを作ったら?」とお話します。
あるセミナーではすぐにメーリングリストを作り、いまだにメールベースで意見を
交換しているところもあります。

企業に勤め、ビジネスパーソン時代に何年かWEBに触れ、近い将来独立する
ときのイメージがかなり固まりました。

それが「WEB制作会社」ではなく「オンラインからコーポレートコミュニケーショ
ンを考える会社」です。
そこに差別性と将来性を感じていました。
しかし現実には思ったよりも大きな壁がありました。

(つづく)

2006年09月12日(火)更新

芸術起業論 (単行本) 村上 隆

芸術起業論 (単行本)
村上 隆

現在は企業コミュニケーションのお手伝いをしている私ですが、元々は
美大のデザイン科を卒業して最初の10年は工業デザイナーをやってい
ました。

同級生には絵画科や彫刻科も多く、当時ほぼ100%大手企業に就職
できた工業デザイン専攻とはちがい、彼らの多くは教職につくか、日銭
を稼ぎながら年に数回個展や展覧会を開く、といったライフスタイルでし
た。

その中で一人だけ、非常にマーケティングセンスに優れた女性がいて、
彼女は積極的に現代美術ビエンナーレ等の活動をやっていました。

うがった見方をすれば、自分を売り込むために何でもやるのか、というよ
うに見られなくもありませんでし、友人の間では少々浮いた存在に見られ
ていましたが、現代美術を取り巻く世の中がどうなっているのか?その中
で自分が生きていくためには何をすればよいのか?
考えれば至極当然のことを彼女はやっていただけでした。

逆に自分の芸術だけを信じ、「いつかは認められるときが来る」と思って
続けている友人も、30代半ばを過ぎてのフリーターライフはきつく、ひ
とり、また、ひとりとそれぞれ仕事を持つようになって行きました。

村上さんのこの本はとても明快でした。
現代美術を志すひとだけでなく、なにより働く価値の転換期にある現代
においては、すべての人に共通する「知っておくべきこと」が書かれてい
るような気がします。
もはや終身雇用の時代ではなく、企業は自分の人生をゆだねる寄る辺
にはなりえません。
自分が何をやりたいのか?そこで成功するためのアプローチとは?
そんなヒントが書かれています。

特に、
「なぜ日本の芸術家が世界に通用しないのかというと、文脈の設定に対
する理解不足と人間と人間の勝負に弱い」
という文章には、
単に作品の芸術性そのものだけでなく、自分の表現やアートにどういう価値
があるのか、ということを相手に伝えるコミュニケーション能力(プレゼン
テーション能力)が重要だということが伝わってきます。

それは芸術だけの話ではありません。

「そんなこと、言わなくても常識だからわかってくれるだろう?」ということで
はビジネスは成り立たなくなってきているのです。

「好きなように生きる」と「自分の興味を究明する」は違う、と説きます。
文脈の歴史の引き出しを開けたり閉めたりすることが新しい価値を生むので、
引き出しを知らずに作られた芸術作品は「個人のものすごく小さな経験則の
ドラマに過ぎない。そんなものは小さな浪花節だ」といいます。
歴史を学習して始めて自由な表現ができる。とも。

私たちはもっと伝達(コミュニケーション)能力をみがかなければ、いつまで
たっても世界共通の土壌で戦えない。

私は仕事で、主に企業のオンラインコミュニケーションを見ています。
「インターネット」といいながら、真にインターナショナルなコミュニケーションを
している企業はまだほとんどいないといっても過言ではないでしょうか。
まだまだやるべきことはいっぱいあります。

全編勇気のみなぎる本でした。
自分が学生のときにこの本を読んでいたらどれだけ勇気付けられたことだろう。
こんなに明快に伝えることのできる先人は皆無でした。

これから社会に出る学生の方から、経営者の方まで、ご一読をお勧めします。

2006年09月11日(月)更新

日本経団連主催イントラネット活用セミナー

先週の金曜日は代々木のオリンピックセンターにて日本経団連さんの
主催のセミナーを行ってきました。

夏休み明けということもあって、当初は集客も心配していたのですが、
やはりイントラネット関連は関心が高かったようで40名を超える大手企
業の広報、人事、経営企画の方々が参加してくださり、熱心に聴いて
いただくことが出来ました。
朝から夕方までの4部構成、5時間に及ぶ講義ですので、単にツールや
事例の紹介だけでは間が持たないと考えました。

ましてや、イントラ成功(活用)の鍵はツールそのものよりも、その企業の
一人一人、もしくは部門、もしくは経営にかかわる方の、コミュニケーショ
ンに対する意識の問題が握っていることが多いと感じています。

それで、まずは企業がどうネットを使ってきたのか、その経緯を知るところ
からはじめ、社内コミュニケーションの実情とケース、そしてお昼をはさんで
具体的なツールなどを紹介しました。
最後はちょっと冗長になってしまったかもしれませんが、企業のコミュニケ
ーションを活性化させるための基礎ファクターとして、メールや会議など
から考え直す機会を持ちました。

私がこのようなセミナーをやる場合、よく今後のアクションについてご相談
をいただきます。
その場合、いきなりコンサル契約、というよりも、以下のようなプロセスを
とる場合がほとんどです。

1.セミナーの感想から課題や解決方法についてのご質問をいただく。

2.セミナー内容を社内で共有したい、ということで広報部など関連部門の
  方をあつめて、企業にてもう一度同様のセミナーの機会を持つ。
  (共通認識を持つ)

3.認識の共有が出来ると課題が浮き彫りになってくるので、その課題に
  対して調査のご依頼をいただく。

4.調査結果からプライオリティ(優先度)を導き出し、ご提案を行う。

5.提案事項に関し、実施要望のある場合はお見積もりをとって実施フェイズ
  に移す。

というような感じです。

営業くさくなるのでやめますが(笑)、弊社はバイリンガル対応です。
外資の本社対応も含めてご相談に預かる場合も少なくありません。

2006年09月07日(木)更新

企業コミュニケーションにおけるビジュアルの重要性

ひょんなことで防衛庁航空自衛隊の方と知り合いになりました。
今度、入間基地で行われる自衛隊のCH-47JヘリコプターやC-1
輸送機の試乗会に誘っていただきました。
(CH-47は燃費リッター200メートルだそうです)
10月に行われるので今から楽しみです。

で、なにが関心したか、というと航空自衛隊入間基地のWEBサイト。
航空自衛隊入間基地
http://www.dii.jda.go.jp/asdf/cacw/index.html


いろいろな場面で働いている人たち(自衛官)を紹介しているのですが
ここで使われている写真がとてもすばらしい。
自衛隊は、一般企業ではありませんが、思わず、入隊したくなるような
ドラマチックなものがたくさんあります。
官公庁関連の中でも出色の出来です。
WEBの場合、写真やビジュアルのアートディレクションまできちんと
気を使っていない企業が多いので、写真ひとつでこれだけ差がつく
という見本になるのではないでしょうか。

海外ではビジネスの現場やそこで働く人、経営者などをどうドラマチッ
クに見せるか、ということに腐心します。
写真にも「コーポレートフォトグラフィー」とか「インダストリアルフォトグラ
フィー」というジャンルがあるぐらいです。

いったいどんなもの?というよい例が、雑誌の「Business Week」です。
ここで扱われている写真は、まさに上記のようなカテゴリーの王道を
行くものです。

私自身は長年この雑誌の写真を切抜きでスクラップブックに集めており、
企業コミュニケーションでビジュアルが必要になるときに参考にしてい
ます。

私はプロのカメラマンではないので、具体的にどんなレンズでどう撮影
してくれ、とは指示できませんが、スクラップブックを見ながら、こんな
雰囲気で撮影するにはどうしたらよいですか?というように相談すると
実現しやすくなります。

ご興味があればぜひオフィスにスクラップブックを見に来てください。
もちろんそういうアドヴァイス込みでアートディレクションをとることも可能
です。弊社ではこのような観点に長けたカメラマンとのコネクションも
あります。
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