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2008年08月11日(月)更新

富士山エコツアー

大月に住む友人から誘いを受けたのは夏休みに本州を離れる計画
をしている最中だった。

「夏休み明けすぐで申し訳ないのだけれど、面白い企画があるので
家族で参加しないか?」というものだ。

この「富士山エコツアー」というのは、富士山だけでなく周辺の青木ヶ
原なども含め、多数存在するようだ。要は清掃しながら富士山の自然
や史実に触れ、見識を高めよう、というもので、その背景には地域や
行政が一体となって2年後に世界遺産登録を目指している、という状
況がある。

つい先日も友人が富士登山を経験し、夜中から休み無しで登ったもの
の、軽い高山病でほとんど楽しめずの大変な思いをして帰ってきたと
聞いたばかり、あまり乗り気はしなかったのだが、清掃登山は1合目
から5合目。行程は登りだがゆっくり歩いて2~3時間。宿泊するのは
6合目で帰りは30分程度の歩きでバスターミナルという説明を聞き、
これならリスクは少ないし、子供には良い経験になるだろうと申し込み
をした。
お盆休みの初日ということもあり、富士吉田の浅間神社に11時に集
合といっても、東京からだと時間が読めないので無理を言って金曜日
の夜に出て大月の友人宅に泊まらせてもらうことにした。これが正解
で金曜日の夜は中央高速もまだ混んでおらず、大月まではほんの1
時間ちょっとで到着した。

翌日は天気も良く、浅間神社前には90名近くの人が集まっていた。
このエコツアーは今年で5回目だそうだが、終着点の山荘ではおにぎ
りと吉田のうどん(名物!)が振舞われるほか、マンザイやジャズの
コンサート、星座の鑑賞教室まで開かれるとあって、かなり人気を
集めているようだった。

http://www.seikanso.jp/eco.html


ともあれまずは浅間神社に道中の安全を祈願し、一行はスタートした。
出だしはまだまだハイキング気分、それが一転したのは、1時間して
ちょうど2合目に到着した頃だった。
下から見る見る雲が伸びてきたと思ったら雷が鳴り始め、やがて大粒
の雨が降ってきた。みな銘々に廃屋となった古い山小屋で雨宿りをし
ながら握りメシに食らい付き、雨具に着替えてそそくさと出て行った。
雨そのものはたいしたことはないのだが、間近で鳴る雷はやはり怖い。
実際にはまだ距離が離れているとはいえ、娘(9歳)は今にも泣き出
しそうだ。頼もしいのは5歳の息子で、「パパと手をつないでいると勇
気が出る」と泣けることを言いつつ、一番ペースが落ちない。

fuji1

fuji2

結局ゴミひろい所ではない状況で3時間後に無事、里美平星観荘
たどり着いた(実際にゴミは思ったよりも少なかった)。

なんとも拍子抜けする話だが、宿に入ってカッパを干して、一息ついた
ら雨が上がり、下界の雲海の合間に河口湖まで見えるようになってい
た。くたくたなはずの子供たちもまかないのうどんに舌鼓を打っていた。

fuji3

fuji4

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マンザイの「流れ星」の2人も30分以上の大熱演。間近で見る生の
演芸は迫力があった。それにもましてすばらしかったのは清水靖晃&
サキソフォネッツ
のコンサートだった。
宇都宮にある大谷石採掘場の巨大地下空間でJ. S.バッハの「無伴奏
チェロ組曲」を、テナーサックスで演奏したアルバムは衝撃的で気に入
って聞いていたこともあり、こんなところで聞けるのも奇縁だ。
聴衆は100人ちょっとだったが、標高2400メートルの夕暮れの山小
屋の前庭にひびくサックスの音色は本当に幻想的だった。

fuji6

しかもあれだけ雨や雷に当たっていたというのに夜空はすでに満天の
星だった。子供たちはすっかり元気を取り戻していた。

私たちはエコツアーなのでここで予定終了。しかし山小屋に宿泊する
大半のお客さんはこれからが本番。すなわち、夜中に出発して頂上
目指し明け方にご来光を拝むことが目的なのだ。
お気楽な私たちは入れ替わるように就寝。文字通り泥のように寝入っ
てしまった。

翌朝もすばらしい天気で、あいかわらず足元に雲海を眺め、7合目付
近まで1時間ほどハイキングに出かけた。
周囲のほとんどが頂上登山を目指す人、あるいはその帰りという中、
異質(妙に明るく笑顔)な集団と映った事だろう。岩場の中ほどでおや
つを食べながら見た光景は、さながら賽の河原を行く集団のようだった。

fuji7

何でこんなに苦しいのに行くの?そして帰りはすでに歩けなくなって
馬に乗って下山する人、後ろ向きに体を支えられてい歩く人、立てず
に寝転んでしまう人など、様々だった。

頂上を目指すだけが登山じゃない、と思えば、富士山は結構楽しめる
と思うのだが、「やってみたけど2度と行かないだろう」と思うようなら
それはすこし寂しいことだ。
もっとも北アルプスや八ヶ岳など、本格的な登山ルートにはスニーカー
やジーンズ、Tシャツのような軽装者はほとんどいない。ある意味富士
は意味も価値も特殊だと言う背景も大きな理由のひとつだろう。しかし
死亡者はまれだとしてもかなりの人が怪我や病気で担ぎ出されている
ようだし、絶対的にこれだけの人数が限られたルートで歩いているとす
れば「自分のペース」などと言っていられなくなり、無理をしてしまうの
は仕方のないことなのかもしれない。

fuji8

雨や雷は怖かったけれど、子供たちは多くの自然(動植物や昆虫、空
や星、雲、日の出)に触れ、満足そうだった。
fuji9

下山して友人の推薦する「麺’ズ冨士山」で吉田のうどんをいただき、
川口湖畔の名湯「野天風呂 天水」で暖まって帰った。
充実の2日間だった。

fuji10

2008年08月07日(木)更新

赤福の経営改善

昨日は名古屋にあるクライアントとの打ち合わせで新幹線で日帰り
出張だった。

無事ミーティングも終わり5時の新幹線の切符を買って、さて家族
(甘党)へのお土産に赤福でも買おうとギフトエリアに行くと、、、

「売り切れ」!
(写真は「入荷待ち」だが今日はもう入荷しないとのこと)

akafuku
赤福といえば昨年末の消費期限及び製造日、原材料表示偽装事件が
記憶に新しいが、長年のファンだっただけにこれはとても残念だっ
た。

たまたま昨日だけだったのかもしれないが、夏場で痛むことも考慮
すれば生菓子なので本来は夕方5時には売り切れるのが正直な所だ
ったのではないだろうか。
今年の春に販売が再開され、それ以来久しぶりの出張だったので、
買えなかったのは残念だけど、ちょっと安心した。

しかしほんの半年前のこととはいえ、顧客が支持し逃げていないと
いうことは凄いことだ。

昨今、企業の不祥事があれば魔女狩りのごとくメディアは飛びつく
が、事後に対してはほとんどレポートしていない。
すべてではないが、その後をしつこく調べていくことを旨としてい
る私にとって、対応の差が意外に小さくないのも興味深い。
社内規定を見直し、結果として自分の価値観に正直な顧客をきちん
と取り戻している企業もあれば、あいからわず「侘び状」のpdf
を並べて済ましている企業もある。

企業にとってはその場、その場、なのかも知れないが、消費者は経
年の対応の積み上げでその会社がどう変化しているかを冷静に評価
する。

企業ウェブサイトはそうやって企業活動の経過(考え方と行動)を
長い目で見られるメディアなのだということに気づかないと、いく
らデザインや機能の面のみでリニューアルしたところで、ブランド
や信頼を築けるものではないということを担当者やマネジメントは
理解できないだろう。

赤福、、、食べたかった。

2008年08月05日(火)更新

クチこみに惑わされない判断力も必要

先週、一足早く夏休みをいただき、沖縄に行ってきた。
出張にしても家族旅行にしても、パッケージツアーのほうが安
済む場合があるのはわかっているのだが、やはりホテルにし
ても訪問先にしても、今はネットのクチコミを参考にするし、そ
れにまったく影響されないといったらウソになる。
今回も事前にネットで旅館やビーチを入念に調べ、旅程を組ん
だ。
その中には、はっきりとネガティブなコメントを書かれている場
所もあったのだが、いくつかのコメントから客観的に判断して
よほどのことがない限りは自分のインスピレーションを信じた。

そして、それが間違っていることはなかった。
ひとつの例として、本部半島の西端に、瀬底島という島がある。
ここのビーチは本島でも屈指の美しいビーチだ。

sesoko2

昨年行ったときは、水の透明度、魚の豊富さに驚き、今年もま
たぜひ行ってみたいと思っていたのだが、さらにネットで調べる
と地元の人の評判は二つに割れていた。
すなわち、ビーチはオープンなはずだが、ほぼ業者に独占され
ており、ビーチに行きたい客(すなわちほとんどの人がクルマで
訪れる)は専用の駐車場で1日1000円取られることに不満を
感じているようだった。
私たち東京人の感覚からすれば、そこからビーチまでの送迎は
あるし管理されたシャワーやトイレが使えるのであれば駐車場
代は割り切れると思っていたのだが、今までの経緯を知る人に
とっては、というところが大きいのだろう。

「それよりはこじんまりとしているが同じ瀬底でも橋のそばにある
アンチ浜も良い」という意見もあり、今回はそちらを訪問してみた。

こちらは内海に向いているせいもあってさらに波がなく、人も少
ないので子持ちで魚を観察する程度であれば最適だった。
駐車場は無料でビーチのすぐそばなのでパラソルやベンチがな
くても不自由がなかった。逆に温水シャワーが家族4人で800
円なので結果はそんなに変わらない。

沖縄の8月は日光が強いので海に入るとしても早朝か夕方でな
いと子連れには危険が多い。今回のアンチ浜も宿から10分と
いうこともあり、8時過ぎに到着した(当然誰もいない)。
ビーチハウスの人は9時ごろにやってきて色々と準備をしていた
のだが、すでに一泳ぎした私は、オーナーらしき人とデッキで雑
談をした。

「昨年裏の瀬底ビーチに行ったのだけれど、色々書かれていた
ので今年はこちらに来たんですよ」
というと、
「ネットはね、本当にひと時の主観でかかれることが多いので
まいることが多いですよ。裏も色々書かれていますけど、こちら
だってあること無いこと良く書かれていて、確認の問い合わせを
もらって驚くことも少なくないんですよ。
たとえば、今、バイトが打ち上げられた海草を熊手で掃いている
でしょう?あれだって別に汚くもなんともない自然のもので、潮
が変われば無くなるんだけど、”汚いビーチ”って書かれちゃうん
ですよ。
珊瑚のかけらで足が痛いっていうなら裸足で海に入るな、って言
うことですよね。あくまで自然の良さを味わって欲しいわけで、
リゾートホテルのプールやプライベートビーチに無い良さを判っ
てくれって、そこから言わなくちゃなんないほど、感覚がずれて
いるんですよ」
と話してくれた。

ウィキペディアではないが、多くの人の意見を通してでないと、な
かなか本当の姿が見えてこないのかもしれないが、まだネットが
10年そこそこ(意見の吸い上げやブログなどが一般化してまだ5
年)とすれば、サンプルの質にばらつきがあるのが前提だとして
自己判断すべきだ。

たしかにちょっと沖までおよぐとモンガラ(カワハギの一種)がア
タックしてくることもあった。しかしそれは彼らも子供を守るために
やっていることだし、産卵期という時期的なことでもあるし、さらに
深くなれば追ってこなくなるばかりか餌付けに寄って来さえする。

相対的に見ればアンチ浜も安全で清潔で美しいビーチだ。
私たちにとっては昨年も今年もやはり瀬底はすばらしい、という
印象に変わりない。
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