大きくする 標準 小さくする

2006年11月30日(木)更新

日本でインターネットが情報基盤として根付かない理由

きわめて簡単である。

1.「何を得られるの?」という「自社の得」という視点からしか
  考えられない。金を出さない。

2.「自分はこれをもっている。それを人と共有するところから
  得るものがあるはずだ」という意識がない。

3.情報を出さないことで起きる「危機」に対する意識が低い。
  これも、「使っていないからわからない」という言い訳による。

事は思ったよりも深刻で、この数年に起きた終身雇用の崩壊
や人材の流動化と同じく、「ぎりぎりにならなければアクション
を起こさない」体制のままだと、文化ですら「他所にみんな持っ
ていかれる」ことになりかねない。
今日は論旨をコミュニケーションの領域に持っていくのはよそう。
その代わりわかりやすい例をひとつ。

「映画」や「音楽」について。

米国ではインターネットのスタート時点から、最初はボランタリー
ベースで、その後にスポンサーを募りながら脈々と構築してきた
パブリックデータベースがある。

特に音楽(All music guide)は、タイトル、作者、曲名、どれから
でも検索ができる。
あるアーティストが好きなら、そのひとが誰の、どんな作品に関
わったかもすべてわかる。しかもオンラインCDショップに紐づい
ているので、そのまま購入も可能だ。
(おかげでずいぶん散在したが・笑)

アマゾンは確かに便利だが、時々検索に盲点を持っていることが
わかる。たとえば、「The band」というバンドのCDを探そうと思うと
とてつもなく苦労するのだ。

映画のデータベースも、充実している。とても探しやすい。
こちらに入ると散在の規模が変わるのでセーブしているが。

http://www.allmusic.com/

http://www.imdb.com/

翻って、日本の状況。

以下の代表的な「日本映画のデータベース」を見てほしい。

日本映画データベース
http://www.jmdb.ne.jp/

日本映画情報システム(文化庁)
http://www.japanese-cinema-db.jp/

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%98%A0%E7%94%BB

個人だけの情熱でも、国に任せてもだめ、ということ。
一番ましなのがウィキペディア。でも、検索性や閲覧性、2次利用がしにくい。

この事業計画書はそれほど複雑ではない気がする。
ベンチャーではなくNPOモデルで誰かやってくれないかなあ、と思う。

企業がネットリテラシーを挙げるために、こういうパブリックな情報基盤を
共同参画して作る、というのは意味があると思うのだ。

政府(と顧問の堺屋太一 さん)が2000年を迎えるにあたって行ったのが
「インパク」。当時、何社かから、企画支援の要請を頂いたが、すべて断った。
企業のエゴを集めて何になるんだろう?という疑問が払拭できなかった。

2010年に、また政府が「インパク2」なんていいだす前に、アクションを起
こさないとアジアにおけるコミュニケーションの「日本抜き」はますます進ん
でいく。
<<  2006年11月  >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30