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2007年12月05日(水)更新

イーコマース2.0

もう20年も前の話になるが、海外(主に米国)出張に出ると暇な時間に
街歩きに精を出していた。
といっても主な目的はレコードハンティング。
あるチェーン展開の古本屋に行くと、ほとんどのLPが5ドル以下。半数は
1.99ドルだった。
現在ブックオフで250円のCDを漁る原型はすでにこのころから出来てい
たのだ。1回の出張で50枚以上のLPを買いこみハンドキャリィで帰国し
た時は成田の税関で笑われたものだ。

さておき、もうひとつ気がついたのはアウトドアショップや本屋に行くと
「通販カタログ」が売られていることだった。
国土の広いアメリカでは昔から通販が必須だったのだ。
細かい英語の文字を読んでいくと、「クレジットカード決済なら海外から
でも注文を受け付ける」と書いてある。
主にアウトドアブランドが多かったが、この時期さまざまな通販カタログを
集めて帰り、日本では手に入らないテントやキャンプ道具を帰国後FAX(
当時はネットも社外への電子メールもなかった)で注文して買ったものだ。
10年ちょっと前、インターネットが使えるようになってもこのときの勘は
役に立った。
あいかわらず時々海外の通販サイトやオークションサイトを調べては日本
で見たこともないものを見つけて喜んでいる。

カナダの造形作家とはそんな縁でしりあい、出張のついでにバンクーバー
まで会いに行ってきたほどだ。

たんなる「モノ好き」だが、デザインやマーケティングを生業にするものに
とってショッピングは重要な市場調査の機会なのだ(大いなる言い訳)。

前振りが長かったが、そんなことを思い出したのは衝撃的なニュースが
新聞の一面に踊っていたからだ。

「ヤフー(ジャパン)、国際ネットオークションでイーベイと提携」

これにより両国のユーザーがそれぞれスルーでオークションに参加出来
るようになるばかりでなく国際間の決済と配送に関するエスクロー(中間
業者)がいるので煩わしさはかなり軽減される。

オンラインコマースが立ち上がって10年見ていて疑問に思ったことは
なぜ大手のネット企業がいまだに国際間のオンラインショッピングに本格
参入しないんだろう?ということだ。

問題は3つある。

1.言語(主に英語)の壁

2.決済(クレジットカードをオンラインで使うことに対する心配)

3.モノは安くても結局配送料が高くついて海外から買う意味がなくなる

逆に言えばこの3つを解決できれば、かなり大きなマーケットがつかめる
はずで、1と2についてはある程度解決する方法は見出せている。
問題は3で、今回の発表でもエスクローサービスに購入代金の15%
をサービスチャージに払わなければならない。
そういう意味ではまだ過渡期かもしれないが、ヤフージャパンが今回の
提携で足場を作り、続けて日本の数10倍とも言われる米国のオンライン
ショッピングサイトと提携したらとても強力だ。

さて、GやR天はどうするのか?
その前に自分の物欲から解脱しておくことのほうが先決のようだ。