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2007年08月29日(水)更新

コミュニケーションのあり方

ちょっと古い話かもしれないが、今回の参議院選挙で自民党が負けた
原因のひとつに、議会制民主主義を踏みにじるような「強行採決 の連
発」というものが取りざたされている。

この状況を、国民は「コミュニケーション能力の欠如」と捉えたのだ。
皮肉にも、このことの重みを、自民党はあとから気づくこととなったわけ
だ。
数の論理で押し切れるのは与党の特権なのかもしれないが、あくまで
議論を重ね、全員の納得はないにせよ、野党の反対意見に「聴く耳」を
持つこと、対応すること、検証することが、あたりまえだが重要なのだ。

このことを企業に重ねてみても、同じことが言える。実際に現場のプロ
ジェクト関与者の同意を100パーセントとりつけて進む、ということは難
しい。
では、それを解決するのに必要なものは何か?
判断力に優れた有無を言わさぬリーダーなのか?

ひとつのヒントを学んだのは、やはり以前お世話になった会社のマネジ
メントスタイルだ。
この会社は会議が多い。ビジネスのスピードが要求される現場において、
常に明確な判断をし、必ず短時間で、時間内に結果を出すことが要求さ
れる。そのための考え方(ルールではない)の共有が基盤にあるのだ。

このことはアンディ・グローブの著作にも詳しい。
インテル経営の秘密―世界最強企業を創ったマネジメント哲学 (単行本)
アンドリュー・S. グローヴ (著)


多くの企業が、このコミュニケーションスタイルを真似ようとするが、ルール
や仕組み、テクニックやノウハウとしか捉えないと失敗する。

単純なことだが、議論のポイントで当事者同士が「お互いに向き合った議論
をしない」ということが重要なのだ。すなわち、議論の落としどころが個々人
の考えの相違の確認ではなく、必ずチーム全体で共通しているゴール(同じ
方向)を見据えて発言しているか、というところだ。

その考え方の具体的な例として有名なのが「建設的対立」という視点と、
「disagree but commit(賛成しないが目標達成は約束する)」という業務遂
行への強力なコミットメント。

詳細は私が語るには冗長なので、日本におけるインテルの歴史を知る代表
者、傳田さんのコラムに譲る。ぜひ参照してみて欲しい。

いま、「コミュニケーションが重要だ」と考える経営者は、ツールやテクニック
に走る前に、「考える基盤」からその会社なりの「コミュニケーション文化」を
作っていったらどうだろうか?

傳田流成功法
第9回 トップダウンの目標設定が必要 / Intelの結果主義とは
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