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2008年05月02日(金)更新

カレーショップに見る今日的なPRとは?(私的PR2.0論?)

ソーシャルニュースサイト、「Newsing」でも昨日来しばらくトップ
を走っていた注目記事。
こういう記事を読むと、今日的なPRの成功事例だと強く思う。

いままでは、企業がおおよそ一方的に
「うちの会社でこんな商品出したよ」
って告知(ニュースリリース)を出して、メディアに取り上げてもらって
いた。いわゆるメディアリレーションだ。

でも、今ではみんな新聞は読まない。テレビも見ない。
ウェブの広告はRSSフィーダーでスキップされたり。
オンラインのニュースリリースフィードは認知向上にこそ寄与するものの、
それに対する信頼度(情報価値依存度)は米国ではすでにかなり低い。
どちらかというと人々は個人のブログやコミュニティ(ミクシィのような
SNS)でのコメントを優先する。
じゃあ、次世代のPR(2.0)はどういうものかと考えると、単に
ネット対応するってコトだけでなく「今の世の中、情報は誰にどう渡
すと、どう伝わって、結果的に理解と関係性を構築できるか」を実現
することだ。

しかしそれは、一部のハイレベルなソーシャルコミュニケーション・
エージェンシー(カタカナばかりで舌噛みそうだが)でないと関与
できないことなのか?

そんなことはないぞ。という例を見たようだ。
ほとんどPRの意識がない中小企業でも、顧客との間でしっかりと
した「価値の提供・共有」ができていれば、、、
しかもその人がジャーナリストだったら!!

こんなインパクトのあるPRができるのだ。
(今回は前置きが非常に長かった)
http://wiredvision.jp/news/200805/2008050121.html

このコメント最高!
「ヘロイン中毒者がヘロインを注射するのが大好きなのと同じように、私は日本の
カレーを愛している。ヘロイン中毒との唯一の大きな違いは、ヘロイン中毒は長期
間ヘロインを断てば中毒でなくなる点だ。」

本職のジャーナリストだから読ませる文章だというのはわかるけど、それにしても
ものすごい「愛」と「理解」を感じる。
こういう文脈をユーザー側に作れるかどうか、がこれからの企業の(広報の)価値
になるんだと思う。

やはりせっかく(?)カレー専門店とか行くのなら、やはり「チーズ+カツ」
とか体に悪そうなもの頼みたくなる。

来週は大阪に行くので友人のオススメのインディアンカレーに行って
「ごはん・ルー大盛り、ピクルスつき」を食べてこよう。
http://www.indiancurry.jp/menu.html

みなさん、よい休日を!

2008年05月02日(金)更新

New Communications Forum 参加記(その2)

今日は会の概要をお話しよう。

今回参加した「New Communications Forum」は今回で開催が4
回目。わたしは一昨年に続き2回目の参加だ。

http://newcommforum.com/2008/

ncf2008
このフォーラムは「Society for New Communications Research」
というNPO団体が主催しており、企業コミュニケーションに関わる
企業のプロ(広報、マーケティング、宣伝)とそのサービスベンダー、
ジャーナリストたちで作られている。
企業コミュニケーション業界の純粋な発展のために研究、発表、
交流を行っており、ベンダーサイドが参加しているからといって、や
みくもに営業っぽいことをしないところが非常にこなれている。

http://sncr.org/

セミナーは3日間、200人程度の参加者でホテルを貸切り、早朝、
昼食時、夕方と3回のキーノートスピーチに各界の著名人や同団体
の研究員による発表が行われる。
間の午前中2コマ、午後の2コマはそれぞれ企業コミュニケーション、
マーケティング、ジャーナリズム、政治と社会、グローバルトレンドと
いう5つのセクションごとに分科会が開かれ、どのセッションに誰が
参加しても自由だ。
通常1時間のワークショップでは、誰かが目いっぱい話をしておしま
い、というようになりがちだが、問題定義は20分程度、多くの時間を
「意見を聞く」ことに割いているところが素晴らしい。みな「聞く」ことに
真剣なのだ。

ncf1

今回のテーマは

”企業に求められるのは「コミュニケーション」から「カンバセーション
(対話)」”

というものだ。

世の中の変化に対し、わたしたちはどう対応すべきか、という内容を
ツール適応中心ではなく、あくまで顧客や社会との関係性構築(エン
ゲージメント)や実施するためのプロセス、組織論、結果をどうビジネ
スに還元するかに特化している。

ほぼ同時期にやはり同じくサンフランシスコで開催された
「Web2.0EXPO」
と内容は類似しているが、こちらはオライリーが主催
していることもあり、ややツールや技術志向が強いようだ。

参加200人のうち、パネルやスピーカーなどが約3分の1。またジャ
ーナリストやパワーブロガーも20~30名いる。一昨年のときからそう
なのだが、彼らはコンファレンスの最中にビデオや写真を撮り、その場
で印象やコメントを加え、ほぼ同時刻にブログにアップしているのだ。
昼休みにポッドキャスティングしている人もいた。
話題はテクノロジーよりではない、といいつつもかなりハイパーなのは
確かだ。

ncf2

さらに驚かされるのがトゥイッター(Twitter)だ。ノートPCを持ち込んで
いるほとんどの人間がトゥイッターを使っていて、挙手して質問するま
でもないけどちょっと自分の気持ちを表したい、という時にこのツールは
ぴったりだ。
しかしこれは恐ろしい。もはや聴衆が同時に無言でつながって意見交
換しているという状況なのだ。

実際、キーノートスピーチで黒のスーツに派手な柄のシャツ、そろいの
派手なソックスを履いたおしゃれなスピーカーがいたのだが、誰かが
「あのソックス、先週のイベントでも履いていたぞ」とコメントしたとたん、
カメラを持った人間がその写真を撮り、WIKIにアップされてしまったの
だ。(笑)

socks

自分もセミナーを行う立場なだけに、ソックスにも気が抜けない時代が
そのうちに来ると思うと少々頭が痛くなる。

次回は具体的なセッションの様子をレポートしたい。

2008年05月02日(金)更新

雑誌「PRIR」に寄稿

昨日5月1日発売の「PRIR」(株式会社宣伝会議)6月号の特集
「広報も過ぎれば無礼!?」に寄稿した。

タイトルは
「テクノロジーを使えばやった気になる?オンライン広報の落とし穴」

編集者の方がかなりアグレッシブで元気な方だったのでそれに乗せ
られた感もあるが、私にしては刺激的で面白く提示できたと思う。

http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/prir/

prir6
企業コミュニケーションについて、平行してレポートしている米国の状
況を見ても理解していただけると思うが、テクノロジーの活用で悩む
状況は日本とさほど変わらない。
しかし彼らは、一つ一つ、前向きに捉え、チャレンジし、失敗し、反省
し、そして自分のものにしていく。

翻って私たちの周りでは「いや技術には弱くて」とか「どこから手をつ
けて良いか」とか「常々気にはしているのですが」といいながら、一向
にアクションの取れない広報担当者も少なくないように思える。

この差はどこにあるのか?

背景にあるのは、広報における業務意識の持ち方だ。
90年代の初頭、ネットの活用が始まる前夜に彼らが直面していた全
社的な業務プロセス改革。その波に一度もまれることで自分たちのプ
ロフェッションは何なのか、そのためにどうすればよいのか、突きつけ
られたのだ。
その意識が根付いたときに現れたインターネット。新しい技術や表現
に迷うことはなく、まずは面と向かって取り組んでみよう。そこから得
られたものを経営や社員、ひいては顧客にフィードバックしていこう、
という姿勢があったのだ。

それに比べて勢い代理店やテクノロジーベンダーに押されたまま10年
過ごしてきた日本企業。今はそのギャップの臨界点にあるのかもしれな
い。

後戻りはできないが、一度足元を見直す機会を持っても良いのではな
いだろうか?
担当者にとっては短期的なキャリアの足踏みになるかもしれない。
しかし会社にとってのコミュニケーション価値を生み出すきっかけとなれ
ば数年でリカバリーは可能だ。
しかもその経験を欲する企業はとても多い。キャリアアップのチャンスも
増える。(独立の可能性も増える)

今回の記事は、そんな意識を持っていただくきっかけとなれば幸甚だ。
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