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2010年07月16日(金)更新

「海外ビジネスにおけるリスクマネジメント」田中愼一氏さん

昨日はお昼から日本パブリック・リレーション協会の特別国際セミナーに
参加してきました。

「海外ビジネスにおけるリスクマネジメント」
~広報はどのような対応をすべきか・最近の事例を踏まえて~

というタイトルでお話してくださったのはフライシュマン・ヒラード・ジャパン
(株)代表取締役社長、田中愼一さんです。

田中さんは本田技研工業(株)の初代デトロイト事務所長として北米地域に
おける同社の広報戦略立案・展開の責任者として活躍されたのち、セガ
エンタープライゼスを経てフライシュマンヒラードに参画され、日本法人の
代表をされています。
ビジネスのグローバル化に伴い、海外で活発な事業展開を行う日本企業
は珍しくありませんが、 パブリックリレーションズの観点からみると後手に
廻っている場合が少なくないようです。

今回は昨今話題になったトヨタ自動車のリコール広報なども踏まえた事例
を中心に、グローバルビジネスにおけるリスクマネジメントについて貴重な
お話を聞かせていただきました。

クライシスコミュニケーションの難しさは企業にとっての正義を振りかざして
も逆襲にあうということです。
ましてや普段の期待値が高い(社会的責任の表明が高い)企業ほど、なに
か起きたときの対応次第で反動が大きくなってしまうという現状から見ても
トヨタさんの例は私には失敗例とは言えないのでは?と思いました。
確かに初動の遅れは社長の公聴会出席要請までになりましたが、ラリーキ
ングにまで出て、訴訟社会といわれるアメリカのマスコミ相手によくやられ
たと思います。
(トヨタ以外の企業であそこまでやれるでしょうか?)

田中さんのお話には興味が尽きません。
締めくくりはこういう時代の広報コミュニケーション組織のあり方に及びまし
た。

すなわち、多くの海外企業(政府組織も)ではコミュニケーション組織がト
ップマネジメント直属になっており、かつ公聴(諜報)にも相当力を入れて
いるということです。

「広報コミュニケーションは今のままではコストセンターであり、期待される
機能を果たしていない」
「そのためには役割、組織(レポート)、職務内容の見直しを図るべきだ」

私がIABCで見聞きする海外企業の事例もほぼ同様です。

結局、広報という組織を「コーポレートコミュニケーション」と横文字に変え
ても、そのトップを「チーフコミュニケーションオフィサー」などとシャレて呼んで
みても、業務変革プロセス無しには何も変わらないということです。

確信と発見に溢れた、示唆に富んだセミナーでとても勉強になりました。
ありがとうございました。
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