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2007年10月31日(水)更新

宣伝会議札幌:編集ライター講座

10月は姫路、金沢、札幌と、ほぼ毎週末アウェイのセミナーがあり、
その間を東京のセミナ-がつなぐ、という状況だった。まるで旅芸人
のような状況で、ホテルでは乾燥によって喉を痛めないように、携帯
の加湿器まで持参している。喉を酷使し、風邪をひきやすい季節だ
が、なんとかしのいでいる。

アウェイのラスト、先週末の札幌は、実はピンチヒッターで急遽決ま
ったものだが、通常おこなっているようなインターネット広報などの
ウェブ関連の講義ではなく、一般的な「編集・ライター」向けのシリ
ーズだった。そういうこともあって内容を変更し、聴講生の興味に応
えるように調整した。
sapporo

実際、一般の人がブログを持ち、社会にも企業にもメディアにも対等
以上にものが言える世の中だからこそ、受けてたつ社会や企業、
メディアにとって「プロの編集ライター」の必要性が高まってきている
のだ。

特に企業のウェブの内容は
「アクセシビリティやユーザビリティに長けてはいるが内容はつまら
ない」
というものが少なくない。

なぜか?
それは、いまだに年次で出している印刷物の会社案内やアニュア
ル、CSRレポート、入社案内などを元にデジタル(HTML)化ではな
いのか?
そのような定量的な情報や型にはめられた文章に、もはや「感動」
や「共感」を感じられなくなっているのだ。

企業のコミュニケーションは、いままでそういうタイムスパン(年次
対応)で事足りていた。あとはせいぜい事あるごとに出していたニ
ュースリリースぐらいだった。

先日の続きだが、なぜ不祥事が顕在化するかというと、このような
対応の準備しかしていないためで、社会の興味は事が起きた後、
どのように継続的に追求される責任に対応していくかにあるのだ。

それがほとんどの企業がやっているように、記者会見に加えてウェ
ブではPDFの謝罪書面一枚の対応では納得し得ず、火に油を注ぐ
のは目に見えている。

今後、企業のコミュニケーション担当者は、一層恒常的かつ定性
的な情報発信・対応をおこなう必要がある。
だからこそ、企業のコミュニケーション部門をサポートする編集ライ
ティングのプロのサポートが必要不可欠になる。

事後、懇親会にも招かれ、直接話を伺えたのも良かったが、このよ
うな可能性を感じていただけたのであればありがたい。

宴が明けてひとつやり残したことがあった。それは前回食べられな
かった「うまいラーメンを食べる」ということだ(笑)。
もちろん夜10時以降ではメタボリックリスクが高いのも承知の上、
果たして飛び込んだ店のオススメは「ホタテのソテー入りコーンバ
ター味噌ラーメン」。
一杯5000キロカロリーぐらいありそうな重戦車だ。

おかげ翌日は朝食が取れなかった。。。
しかし札幌はすでに凛とした空気の中、街全体が針葉樹の香りで
包まれ、紅葉がまぶしく、とてもきれいだった。良い時期に機会を
いただいたことを感謝しつつ、少し街歩きをして空港に向かった。

2007年10月29日(月)更新

21世紀のリエンジニアリング革命

年初の不二家に始まって、「白い恋人」の石屋製菓、最近では個人的に
大ファンだった赤福まで。この数年で企業の不祥事発覚がかなり顕在化
してきた。

以前にも書いたが、その理由は紛れもなく「内部告発」である。

先週末、宣伝会議のセミナーで札幌に行ってきたが、懇親会で新聞社に
勤めていたフリーライターの方と話したが、やはりひと月に数十件の告発
が届くそうだ。(北海道地元メディア1社だけで!)

もちろんその中には、たんなる不平やグチに近いものもないわけではなく、
メディアとしてもすべてすぐに取り上げるわけにはいかないので、内容を吟
味し、本当かどうかの確認にかなり時間をかけ、そのうえで社会的影響力
の大きいものを取り上げていくのだそうだ。

特に中小企業やオーナー企業などでは、競争の激化から利益優先でコス
トカットやプロセスカットを行い、結果、一線を踏み越えるところも少なくない
のだろう。
今、石屋製菓や赤福の報道を見て、冷や汗をかいている企業は意外に多
いのではないだろうか。
米国の巨大エネルギー企業、エンロンが不正経理の告発で破綻したのが
1991年だ。破綻まで行かなかったが国内金融大手でも10年前に相次い
で大掛かりな不正利益供与事件が発覚したことがある。
しかしこの3年は明らかに不正発覚がスピードアップしている。その原因が
ブログやSNS、コミュニティサイトの充実によるものだということは間違いが
ない。今まで告発を行う個人の力は弱かった。仮に掲示板に書いたりメディ
アに持っていっても、確証をとることが難しかった。
しかし現在はソーシャルメディアの特性(相互検証性)により、ネット上でそ
の確を取ることも比較的容易になってきたのだ。

これも以前書いたが、昨年参加した米国のコミュニケーション関係の会議で
盛んにみんなが言っていたのが「透明性」という言葉だ。
多くの企業トップ、または従業員がブログを書く中で、それらのブログの華燭
や創作(いわゆるフェイクブログ)がばれたおかげで反論が集中し、ブログの
閉鎖からサービスの終了、ブランドの消失にまでつながる例が多かったから
だ。もちろん企業の不正の告発に端を発したものもある。

いずれにせよ、コンプライアンスやCSRの観点からも、企業は正直な経営を
(当たり前だが)徹底しないとあっという間に足元をすくわれかねない時代だ。

これを解決するためにはどうしたらよいか。

経営者が正しい経営をする。ごもっともだ。しかしそのためには根本的に「勝
てる」ビジネスモデルが必要になる。そうでなければ続かない。
また、従業員が「勝てる」ビジネスモデルを理解することが重要だ。
最後は、企業が顧客の意見を聞く耳を持つことだ。

ここまでは教科書的なことだ。
しかし多くの企業が悩んでいるのは、この問題をどのようなプロセスでそれを
実現していくか、ではないだろうか?
(弊社への相談もこの点が多くなってきた)
何しろ旧来の広報ブには新しい問題を解決する予算も経営の理解もない。

「リエンジニアリング」は15年前のビジネスプロセス見直しの理論だ。
本もベストセラーになったが、今ではブックオフで105円だ。

しかし、当時の日本企業は製造開発にしか、これを取り入れなかったような
気がする。この本の真意は、事業全体で業務プロセスを見直すところにあっ
たはずだ。
米国と日本のウェブサイトがどうしてもうも違うのだろう、と思うとき、米国は
リエンジニアリングプログラムの延長線上でタイミング良くネット戦略を考え
てスタートしたという気がしてならない。10年過ぎても、「骨」があるから余り
おおきな変化がなく、「コミュニケーションの積み上げによるコーポレートブラ
ンディング」が実現できているからだ。
例外的な危機があったとしたら、皮肉なことだが2000年のSIPSブームの
ときだったかもしれない。このころはいくつかの企業がSIPSによってテクノ
ロジーエンターテイメント化していた。

話を戻すと上記の問題のブレイクスルーには、日本企業でも、もう一度間接
部門を中心にしたの「リエンジニアリング革命」が必要なのではないだろうか?

目先で小手先の対処をしても、手に余るほど、問題は大きくなってきている
気がするのだ。
手探りだが、今年の仕事のほとんどがこのようなアプローチに近づいている
のが証左だ。

2007年10月24日(水)更新

日本PR協会「PR大学」

昨日は日本PR協会の「秋季PR大学」に参画してきた。

PR大学そのものに参加するのは3度目だが、今回は春に協会
加入したということも手伝ってか、なんと基調講演とパネルのモ
デレーターをおおせつかった。

今回のテーマは「WEB広報の現状と課題」ということで、通年に
ない多くの方々が参加された。
また、事務局の方に言わせると「いつもと顔ぶれが違う」というこ
とで、興味の幅が広かったことも特筆すべきことだった。


準備段階から他の講演者の人選などの相談を受けたが、企業
からはニフティの執行役員で、以前広報部長時代に社長ブログ
の炎上を乗り越えてきた津田さん、メディア側からは、いつも辛
口で本音をぶつけてくれる時事通信の湯川さん、そしてサービス
プロバイダー側からは今年起業されたアジャイルメディア・ネット
ワークの坂和さんをお招きした。

私にとっては鉄壁の布陣で、内容構成は各自にお任せだったが
狙ったように各人が持ち味を生かしたご講義をしてくれた。

いくつか面白いコメントを紹介したい。

ネットが出てきてから、今までの広報の仕事の基準でしか判断
できない先輩社員は組織改革ができない。先輩のノウハウに
頼らず、自ら新しく仕事を作るつもりでいろ。

もはや「マスコミ」対策を前提としたメディアリレーションに価値は
ない。

今までの広報は評価基準を持ちにくかったがそれに甘んじていた
のではないか。ネットは効果測定しやすい。

20世紀の企業は製品改良や品質改善によって伸びた。
21世紀の企業はコミュニケーション力で伸びる。
広報は宣伝やマーケティングなどと協力し、その中心的な存在に
なるポテンシャルを持っている。ぎゃくにそのような変化対応を看過
すると仕事はなくなる。

今日は参加された方々からメールもいただいた。
会場でも、企業広報担当のみならず、代理店の方からも共感の
コメントをいただけたのがとてもうれしかった。

主題は企業広報に向けた「業務変革の提案」だったが、世の中を
変えるためには、企業担当者のみならず、サポート側やメディアと
三位一体で行動しなければならないということだ。

2007年10月18日(木)更新

ReuseとCreativity

約10年ほど前、まだウェブサイトを持つこと自体がステータス
だった時代、ある雑誌のインタビューでシーナ&ザ・ロケッツ
の鮎川誠さんが自分のウェブサイトについて語っていて、とて
も感心したことがある。久しぶりにひょんなきっかけで思い出
した。(細部表現は忠実ではないかもしれないが容赦)

インタビュアー(以下・イ):素敵なデザインのウェブサイト
ですね。

鮎川誠(以下・鮎):まあ、ファンと直接対話ができるメディ
アをもてるということはすばらしいことだよね。
イ:音楽活動でも精力的に世界中を走り回ってお忙しいと思い
ますが、ウェブサイトの構想はどのようにして考えられたので
すか?

鮎:言いたいことや伝えたいことがたくさんある、それだけだ。

イ:デザインも相当凝られているようですが、これは奥様のご
意見なども取り入れているのですか?

鮎:いや、まったく。実際のところ、デザインなんて自分には
できないからネットを見ていて気に入ったサイトのデザインや
ボタンなどのパーツをそのまま拝借して使っているだけなんだ。

イ:えっ?著作権の問題など、そういうことをするのは鮎川さ
ん自身、アーティストとしても問題があるのではないですか?

鮎:そりゃあ、まったくないとは思っていないけど、これでだれ
かの権利を奪っているとは思えないな。だいたいあなたはイン
ターネットの雑誌のくせにインターネットのことがわかってい
ないのではないか?そもそも回線もコンテンツもみんなとシェ
アするためにやっているのではないか?みんなが行き過ぎた権
利主張したらネットは味気のないものになってしまうだろ?
第一、突き詰めてみたら、本当にオリジナリティのあるものな
んてそんなにないはずだ。
人からインスパイアされたものを、もがきながら自分のものに
する、それがロックンロールなんだと思う。
要はオリジナルに対するリスペクトがあるか、ないかだ。

      ◇      ◇      ◇

オリジナルは博多弁だったので、もっとケンカっぽく伝わった
が、写真は笑っていた。多少理論展開に無理があるとは思うも
のの、96年当時にこういいきる鮎川誠はかっこよかった。

そして「ひょんなことで思い出した」きっかけは以下のブログだ。
とても共感した。

株式会社ヘッドストロング・ジャパン
北添 裕己さんのエントリーです。
http://blogs.itmedia.co.jp/torapapa/2007/09/reuse_creativit_a251.html

(抜粋ここから)
コンサルタントには創造力が求められる、とは思いますが、じゃあ単純に
Creativeに富んでいればそれが効率的かというと、必ずしもそうでもなく、
どっちかというと高い「再利用」能力があるかどうかの方が、はるかに戦
略コンサルタントとして大成できそうだし、実際、個人がCreativeをうたう
そのコンテンツ自体は、かなりの割合、いろんな過去の資産、他者から
得た知識・知恵の「再利用」で構成されていることが多いそうです。

「ReuseはCreativityに勝る」
Creativeだといわれる人は、その過去の秀作を上手にReuseする能力に
たけているのだと思います。
(抜粋ここまで)

鮎川誠のインタビューの真意とは少しずれるかもしれないが、彼自身の
楽曲の真意はまさに「最高のReuse」だ。

2007年10月17日(水)更新

パソコンはある日突然

壊れる。

月曜日の朝、スイッチを入れ、メールをチェックしている最中
のことだ。
いきなり「ストン」とハードディスクをたたく音が聞こえたと
思ったら画面が真っ黒に。
幸いなことに業務データは常に同期を取っているので問題はな
いし、サブのノートがあるので業務にはそんなに支障がない。
(画面が狭くて作業がやりにくいぐらいだ)
PCを開けてみると、マザーボード上のサブのプロセッサの上の
ヒートシンクがずれ落ちている。きっと過熱が原因だろう。
ハードディスクは取り外して確認したら問題なかった。

迷う時間ももったいないないので、オンラインで代替機を注文
した。明日には届くだろう。
今回のマシンは短命だったな、と思っていたらスタッフに「こ
のオフィスにあるクライアントマシンの中では一番古いですよ」
といわれた。
そこで調べてみたら面白いことに気がついた。
98年に独立して、今まで使っていたパソコン、すべて寿命が
2年半だったのだ。

ちなみにスペックは以下の通り。

1号機:PentiumII 200Mhz 97年ー99年 35万

2号機:PentiumIII 800Mhz 99年ー02年 24万

3号機:PentiumIV 2.4Ghz 02年ー05年 17万

4号機:PentiumIV 3Ghz 05年ー07年 12万

5号機:Core2 Duo 2.66Ghz 07年ー??年 8万 

われながら、浮気をせず昔の会社へのロイヤリティが高いのに
も驚くが(家でもマックでインテルインサイド)性能の向上と
反比例した値段の下がり方も興味深い。

思えば一番最初に自分で買ったパソコンはマックのQuadra700
という名機だが、財形をくずしメモリーをフル実装したら価格
は3桁だった(涙)。くやしくていまだに本体を捨てられない。
それを考えると今、パソコンの価格は本当に安くなった。でも
家の電子レンジが20年もっている事を考えると、もう少し耐
用期間が長いとありがたいな。
週末はまたソフトのインストールと設定で一日つぶれるのだ。
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