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2006年07月06日(木)更新

外国人の名刺

よく、ビジネスで海外の方と英語で話をするときに
「つたない英語で申し訳ない」と日本人的な謙遜を述べることが
あると思いますが、
「何言ってんの。ここは日本でしょう?本来は僕らが日本語しゃ
べらなければならないのに。それに僕はアリガトウぐらいしかし
ゃべれないよ」
といわれたりします。
昔、サラリーマン時代に米国本社に出張に行ったとき、おもしろい
エピソードがありました。

プロジェクトマネージャーのみアメリカ人で、あとは
デザイナーの日本人、
生産現場の会社の台湾人、
マーケティングは南米系
ヨーロッパマーケティングはフランス人

というラインナップでミーテインングをしたのですが、場所はテキサ
ス州のダラスです。

2時間ぐらいの大ミーティングで盛り上がり、議論は白熱し、最終
的に良い結論にまとまりみんなハッピーでした。

よし、じゃあ、みんなでビールを飲みに行こうか!と話をしていたとき
そのアメリカ人のプロジェクトマネージャーが僕に寄ってきて耳元で
こう囁きました。

「カズ、今のミーティング、良くわかったか?」
「うん。良い方向にまとまってよかったじゃない」
「いや、結論は良いんだが、どうも俺一人だけきちんと内容がつかめ
ていないようだ。悪いんだけど、明日までにミーティングのレポートま
とめて俺にメールくれないか?」

どういうことかというと、ネイティブで英語を話すのは彼一人で、あとは
全員ブロークン。
みんなは、ブロークンなりに「お互いのつたない英語を理解する」能力
に長けていたのです。
他者理解の姿勢がないと、一番アドバンテージがあると思われる人間
が足をすくわれる、ということかもしれません。

本社の人間は反省したのか、次回日本に来るときにとんでもないものを
作ってきました。

それは日本語の名刺です。
何が書いてあるかというと、自分の肩書き、名前、米国本社の住所が
すべてカタカナで書いてあるのです。

マーケティング・マネージャ
リチャード・XXXXXXX

郵便番号76XXX
米国テキサス州ダラス市コイト通り440XXX-XX

といった感じです。

彼らとしては「これだけ気を使っているんだ」という気持ちを日本のお客様
に見せたかったのでしょうが、これでは却って正確なスペルもわからず、
使い物になりませんでした。

それから10年立ちましたが、ますますコミュニケーションの重要性が謳わ
れているのに、洋の東西を問わず状況はあまり変わっていないような気が
します。
進化する情報テクノロジーの理解も大切ですが、逆にシンプルな他者理解
が置き去りになっているのではないでしょうか?
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