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2007年01月11日(木)更新

電卓と半導体

昨日のニュースで目に留まったのは、

「カシオ、電卓の累計販売台数10億台突破」

というものだ。

電卓の歴史も面白く、普及期として初めてでたのが72年にカシオが出した
パーソナル電卓「(答え一発!)カシオミニ」。
大卒初任給が4万円程度の時代に1万2800円だったそうだ。

創成期は日本でもほとんどの電機メーカーが市場に参入し、30社以上が
電卓を生産していた。

今ではほとんど淘汰され、日本ではカシオ、シャープ。キャノンもやめちゃっ
たからあとはシチズンぐらいかな。

なぜそんなに電卓に思い入れがあるのか?といわれれば、僕は元々、
工業デザイナーで電卓を中心にデザインしていたからだ。

僕のマネージャーは元、自動車メーカーのカーデザイナーだった人。
なので、電卓ひとつでも造形に異常なこだわりを持っていた。
それによくこんなことを言っていた。

「雨宮君、電卓は見るところ(ディスプレイ)、触るところ(キーボード)、それに
手に持つ(ボディ)の3つの要素がそろったミニマムな製品だから、電卓が
しっかりデザインできればなんでもデザインできるよ」

確かに要素としてはノートパソコンとほとんど一緒だ。

当初は高いもの(プログラム機能搭載)だと10万以上していた電卓だが、
基本機能は携帯にも備わっているし、ほとんどコモディティ製品になって
しまっている。

発展して、そして収束するまでの10年間、一番おいしいときにその製品の
デザインが出来たのは本当にラッキーだ。

そして、実はその会社の母体が半導体メーカーだった、というのもこれまた
奇遇。(わたしに半導体の話をさせると長い)

半導体もまた、「ICの父」と呼ばれるジャック・キルビーがテキサス・インス
ツルメンツで、1958年に開発して以来、50年近い間に急速な発展と、そし
て企業の栄華と衰退があった(いまだに繰り返される)ダイナミックな業界
だ。
わたしが入社したとき(1983)、その会社は「世界最大の半導体メーカー」
だったが、3年で転落、10年後にはぎりぎりトップ10だった。
この5年は動きが少なくなったが、トップ3にまで盛り返した。そして大きな
ポイントは日本企業がかなり落ち込んだことだ。
それは汎用品の大量生産(産業の米)から、付加価値製品に特化した企
業が強みを発揮するようになったことにも起因している。

今週の経済誌にはその当時の副社長(現在、国産半導体メーカー社長)
のインタビューが載っていた。

彼に限らず、当時お世話になった方々が、さまざまな企業や分野に移り、
いまだ活躍しているのを見ると、半導体産業もまた、「基礎」なんだなあ、
と感じる。
半導体の話が理解できると、ほとんどのエレクトロニクス産業のことが
理解できる、というのも面白い事実。

いま、独立してさまざまな業態の企業とお付き合いする上で、これほど
楽なことはないと思う。

なぜ工業デザイナーなのに入社した会社が半導体メーカーだったのだろ
う?その答えがそろそろ見えてきたようだ。

2006年12月28日(木)更新

今年の10大ニュース

本日は(一応)仕事納め、ということでオフィスの片付けや
年賀状など、雑務をこなしつつ、本年度最後に残った仕事
の動向を見守っている。

ブログへのエントリーも今年は最後になりそうだ。

ここは、縁者でもあるメルマガの大家、平野さんからいた
だいたメールマガジンがさすがに秀逸だったので、そのフ
ォーマットをお借りして締めくくることとしよう。


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皆様、
今年1年間、ありがとうございました。
会社が1年間、大過なく過ごすことができたのも、ひとえにご縁を
いただいた縁者の皆様、そしてお仕事の機会をくださったお客様、
そしてがんばってくれたスタッフ、無理を支えてくれたそれぞれの
家族のおかげだと思います。

本当にありがとうございます。

今年は変化に富んだ年でした。
それは、来年、大きく飛躍するための準備ともとることが出来ます。
会社の規模は少しずつですが、大きくなってきました。

なによりセミナーや講演など、皆様の前でお話しする機会がすごく
増え、そこからの反応も確実に見えるようになってきました。

今回は、年末最後のお知らせとして、今年1年どんなことがあった
のかを10大ニュースとしてお届けいたします。

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【クロスメディア・コミュニケーションズ:今年の10大ニュース】
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☆1位 「日本経団連」デヴュー(笑)

     日本経団連・社内広報センターのセンター長からお声がけを
     いただき、寄稿やセミナーの機会をいただきました。
     今までも色々な講演やセミナーをやってきましたが、さすがの
     集客力!また、反応から、参加される皆さんの意識の高さに
     驚きました。

☆2位 「アメリカでの勉強会参加」

     ビジネスコミュニケーションに関わる人たちが部門や立場を
     超えて話し合えるような機会があれば良いのに、と探してい
     たら米国にぴったりのコンファレンスがあり、思い切って参加
     してきました。広報、広告、マーケ、ジャーナリズムの4極の
     人たちがオープンにネットテクノロジーの適用について語り
     あう。とても刺激的でした。

☆3位 「ミクシィ採用」

     実は昨年2名、今年1名。弊社の最近の採用はすべてミクシィ
     経由のご縁です。お互いの背景がはっきり見えるのでとても
     良いです。

☆4位 「セミナー数の増加」

     今年はコマ数で38回でした。1時間半を1セッションとして
     数えれば50回を超えます。これも目標どおりでした。
     来年は100セッションを目指します。
     とにかく色々な人と出会えることが喜びです。
     生の声は何物にも変えがたいリアリティです。

☆5位 「自主セミナーも好評」

     せっかく12名ぐらい入れる会議室持っているんだから、もっと
     活用しよう、ということで秋ぐらいから自社セミナーを数回開催
     しました。
     ミクシィで参加しているPRプロフェッショナルのコミュニティでの
     セミナーは、21名が参加してくれました。熱気で酸欠状態でし
     た。

☆6位 「宣伝会議PRIR」寄稿

     これもセミナー同様、雑誌のほうでもお世話になりました。
     来年は雑誌から書籍に出世できるか?ネタは仕込んでいます。

☆7位 「社内広報関連業務が増える」

     もう、今年後半はイントラネットや社内コミュニケーションがらみ
     のご相談が急増です。
     ひとえにご担当者の意識の高まりの表れです。
     ツールの選定の前に、課題と目的意識の整理が求められている
     のだと思われます。
     もう、きちんと経営の理解を得なければ行動に移せない規模に
     なってきているのです。

☆8位 「制作を伴わない仕事の依頼の増加」

     9年我慢してやっとこういう仕事が出来るようになってきました。
     しかしまだまだこういう業務の価値を伝え切れていないと思って
     います。

☆9位 「ブログの活用」

     この経営者会報ブログは4月からスタートして167エントリー。
     ミクシィの日記は年間215エントリー。
     これまた久米さんにお誘いいただいた日経ベンチャー経営者
     倶楽部SNSのエントリーは10月から36エントリー。
     多くのご意見やご縁をいただきました。
     マイミクが急増したのも今年でした。

☆10位 バランスボールに座って仕事~2年間に終止符。

     バランスボールに座っての業務。おかげで腰痛とおさらばでし
     た。
     3000円ちょっとで買ったボールは2年間持ちました。最高の
     コストパフォーマンスでした。優秀です。
     しかしこの度、フィンランド製のバランスチェアに変更。これまた
     とっても具合がよろしい。健康維持と集中力アップに最適です。


守秘義務の多い仕事が増え、業務ない世をお話できないのが残念で
すが、業務の変化に富んでいました。チャレンジが多く、充実した1年
でした。

来年はもう、変化の多い1年になるようなプランを立てていますので課
題は健康管理でしょうか?
そうそう、番外としてはスポーツクラブ通いが続いていることも自分とし
ては良いトピックのひとつです。

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【年末年始の営業について】
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年末年始ですが、12/29(金)~1/4(木)までお休みをいただきます。

その間もメールチェックはしますが、対応が出来ないことが多いと思わ
れます。ご了承ください。

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【お知らせ】 面白い企画を考案中
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不定期で行っている自社セミナーですが、これ以外にも弊社のセミナー
ルーム(会議室)の有効活用を画策しています。

いままで、
「声楽と電子ピアノのプチコンサート」
「おいしいパンを食べるパーティ」
「映画&ワールドカップ鑑賞会」
など、ユニークな企画を開催してきました。

机で12~15名、着席(椅子)なら20前後、立ちでしたら30名ぐらい
はOKです。

一緒に何かやってみたい、という企画があればぜひお問い合わせくだ
さい。

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【終わりに】
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年末年始は、ゆっくり、と思っていても、なんだかんだあっという間です
ね。
やらなければいけないことはたくさんあるのですが、まずは、マッピング
して思考の整理。基本です(笑)
それでは、来年もよろしくお願いいたします。


縁者の皆様

雨宮 拝


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経営者ブログスタート!: http://crossmedia.keikai.topblog.jp/
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クロスメディア・コミュニケーションズ有限会社
代表取締役 雨宮 和弘
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4-3-6B1
Tel: 03-6418-0336 Fax: 03-6418-0337
URL: http://www.crossmedia.co.jp/
e-mail : amemiya@crossmedia.co.jp
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2006年12月11日(月)更新

伊東豊雄「新しいリアル」展

企業コミュニケーションの世界も、20年前から始まるOA化、そして
この10年のインターネットの出現の影響で、かなりの変化が現れ
てきた。

それは単にメディアやツールの進化で便利になった、というようなも
のだけではなく、仕事の方法や考え方をもう一度見直さなければな
らない時期に来た、ということ。
もっと端的に言えば、ツールの導入で便利になった結果、いままで
看過してもなんとなく吸収できたこともきちんと対応しなければ、コミ
ュニケーション溝はよりいっそう深まってしまう、ということだ。

しかし人間そのものは、そんな急激な変化の流れの中でも、とてつ
もない対応力を発揮する。だからこそ、日々の営みを通じ、変化する
ものと変わらないもの、両方を見据えることが大事なのだろう。

この週末、そんなことを思い返させてくれる展覧会を見に行ってきた。

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伊東豊雄「新しいリアル」
Toyo Ito : The New "Real" in Architecture
期間 2006.10.7[土]─ 12.24[日]
会場 東京オペラシティアートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/exh77/
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ここ10年の建築会の話題といえば、ヘルツォーク・ド・ムーロン設計の
「プラダ ブティック 青山店」に代表されるような、今までの垂直・水平
(柱と床)の構造体としての建築物の概念を打ち破るような「自由な」
設計の建築物だ。
http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/guide/115.htm

現在、ロンドンを初め、欧米の多くにこのような建築が見られるが、日
本でも、伊東さんがさらにユニークな建築を数多く手がけている。

日本では、設計中からかなり多くの批判を浴び、それに根気良く議論し
実現した「せんだいメディアテーク」が有名だ。
http://www1.linkclub.or.jp/~ida-10/miyagi01.html

通常、建築の展覧会というと、模型や完成した建築の写真と図面など、
というイメージが多いが、この展覧会は、床が地形そのもの(有機的)
になっていて、その中で彼の設計意図を感じ取れるようになっている。

「人が建築をどう見るか?」

という他者理解に努めたプレゼンテーションになっている。

彼の提案する、均質な格子をゆるめて、有機的で複雑な空間をつくり
出す方法を
「エマージング・グリッド」と呼ぶ。
たしかにテクノロジーの進化のおかげで、このような三次元の複雑な形
が実現可能になったのだが、通常、

「人は残らないが建築は残る」

といいそうなものだが、伊東さんは、あえて、

「建築は残らないけれど、人は残る」という。

それは、

「建築はつくるプロセスに大きな意味があるの。どれだけの人が関わり、
どのような議論をしたかということがとても重要。人間が育っていくのと
同じように、建築をつくること自体が建築を育てるということかもしれない。
さらに、建築は完成した後も、使う人によって育てられ、つくられていく。
そういうプロセスを大事にしたい。」

と述べている。

私自身が企業コミュニケーションを考えるとき、なぜそのようなプロセス
が(特に日本で)根付いていないのか?ということがいつも頭をよぎる。

優秀なWEB開発業者やデザイナー、ツールがどんどん出てくるのに、
ほとんどが、3年程度で「償却」され、消えていく。
ようは企業側が確固たる意思を持たず、それらのプランやクリエイティブ、
テクノロジーを理解しきれないままでいる事が大きい。
企業が、それらを積み重ね、残していくための体制作りをするには、どう
したら良いのだろうか?

帰りの道すがら、ずっとそんなことばかり考えていたら、夕飯のお好み焼き
を作るとき、危うく卵を入れるのを忘れ固まらないお好み焼きを焼き続ける
はめになるところだった。。

「パパ、わたし玉子割る係りやりたい」

と言った子供に救われた。

2006年12月01日(金)更新

企業コミュニケーションに必要な要素

米国で発達した企業コミュニケーション。
日本で根付かせるためには、単にコミュニケーションをとる目的を明確にし、
ふさわしいツール(オンラインツールやブログ、グループウェアなど)を選ぶ
だけではうまくいかないようだ。

そもそもツール以前の問題として、ビジネスプロセスの見直しを徹底し、「
マナー」や「プロセス」、あるいは「時間をどう使うか」というところまでも詳
細に取り決めている企業もある。

簡単な話、会議を招集する際に「終わる時間を宣言する」だけでも社内は
変わる。少し勇気のいることだが、会議の運営方法をルール化し、徹底す
るだけで実現は可能だ。
コミュニケーション系のサービス企業を調査していると、色々なサービスが
あるなあ、と感心する。
日本でも、EQやコーチングなど、社員教育に取り入れる会社も増えてきた
ようだ。

米国の会社にいたとき、思いもよらぬことに気を使って、大変疲れたことが
ある。

それが「ユーモア」だ。

「You have to maintain your sence of humor」

といわれたら、それは相当重症だ。

まず議論するうえで「冗談の通じないやつとは話せない」というわけだ。

良く、日本の漫才で「つかみはOK」というが、米国社会でのスピーチやプレ
ゼンテーションで、冒頭のジョークが受けるか受けないか、というのは大きい。
そこでプレゼンターの心の広さ、洒脱さ、信頼感までもが評価されてしまうの
だ。

米国人だってまじめで固い人たちはいっぱいいる。だからこそ、寝ずに悩んで
ジョークを考え、そしてとても疲れている(笑)。
人を笑わして信頼を勝ち取るのも大変なことなのだ。

と、思っていたら、そういうサービスをみつけた。

「Powerfully Funny」
http://www.powerfullyfunny.com/index.html

ユーモアの有効活用を通じてマーケティングやコミュニケーションを改善する
(コーチングアドバイザリー、調査、ワークショップなど)という会社です。

すごいなあ。。

日本だと吉本あたりが真顔で事業化しそうだなあ。

2006年11月28日(火)更新

プロフェッショナルとは何か?

数日前の日経新聞のコラムで、日本ラグビー協会理事の平尾誠二さんが
「プロフェッショナルとは何か」について語っていた。

氏によると、

鍛え上げた技能の表現だけでなく、「客観性」が不可欠

という。

そもそもプロフェッショナルの語源は「前もって宣言する」ということで、
サービス精神とも言える相手への配慮が潜在する。

たとえば料理人だとすると、自分の料理の良さがなぜわからないのか?
と価値観を押し付けるのはアーティストであってプロではない。

プロは一定のルールに沿いながら、相手に自分や自分のアウトプットの
魅力をわかりやすく伝えられる人を指す。

いくら技能に卓越していても気遣いできない人は孤立し、独りよがりになる。

短い一つ一つの言葉の中に、一プレイヤーで終わらない見地の広さが感じ
られる。

企業コミュニケーションの現場にプロはまだまだ少ない。
情報テクノロジーでも、マネージメントテクノロジーでも、解決しきれない、
最後の溝を埋めるのが、コミュニケーションではないかと考えている。

プロの仕事として、体系化が急がれる。
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