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2009年04月07日(火)更新

記憶に残るコミュニケーション

 毎年4月の第1週のクリッピングは日本経済新聞や日経産業、日経流通各紙に
発表される、各企業の入社式における社長訓示です。
これも毎年続けているとコミュニケーショントレンドが見られてとても興味深い
ものがあります。企業不祥事が続出した年は倫理観の引き締め、企業合併や業界
再編が盛んだった年は柔軟性や適応性、そしてプロフェッショナル意識を持て、
というようなメッセージが多く見受けられました。そしてここ2年ほどは業界を
問わず「コミュニケーションの重要性」を取り上げていたのが特徴です。

 今年の各大手企業の社長訓示のテーマは、市況の流れから「危機の捉え方」に
関するものがほとんどでした。

いくつか取り上げてみると、

「難局を乗り切るために意欲的に挑戦する社員には協力を惜しまない(大成建設)」
「現状維持では破滅、との問題意識で挑戦と創造に努力する(三井物産)」
「嵐を生き抜き、強固で身軽な体質に変革しなければならない(ソニー)」
「試練は次代に飛躍するチャンス。苦境で人は磨かれる(三菱マテリアル)」

といった具合です。
その中でも他社とは少し違い特徴的だったのがエーザイの内藤晴夫社長がおっし
ゃった、

「患者と家族の喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上に貢献するのが理念。
そのための組織やプロセスの転換を図っている。新人の皆さんは患者や生活者の
潜在的な欲求を共有し、その願いを実現することを志して欲しい」

というコメントでした。
上記のコメントも記事の要約ですが、短いセンテンスの中に社員が具体的に想像
し、行動に移しやすい「思い」がしっかり詰まっています。きっと、とてもコミ
ュニケーションに長けた社長さんなのでしょう。(ウェブサイトを拝見しても、
そのあたりが伝わってきます)


 トップのスピーチは社長自身が考える場合と広報で用意する場合があると思い
ます。いずれにしても忘れられがちなのは「その後」。すなわちその内容を租借
し、現場レベルに落としていく作業です。もちろんそれは企業広報などコミュニ
ケーションに関わる部門の担当者の仕事なのですが、意外に忘れられている場合
が少なくありません。この時期の社内報や社内コミュニケーションのテーマとし
て単に入社式の写真やコメントを掲載・伝達するだけでなく、このようなところ
から始められれば、せっかくの社長のコメントが一過性のものにならず、社員の
心へと根付いていくことでしょう。

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2009年04月06日(月)更新

「経済広報 2009年4月号 No.356」に掲載されました

繰り返しですが、先にもお伝えした2月の経済広報センターのセミナーの内容は
センターの会報誌「経済広報356号」にて、なんと巻頭4ページに渡り、お世話
になった国内広報部主任研究員の子安さんより紹介をいただきました。

keizaikoho356←詳しくはクリック

同日ご一緒した東京海上日動火災保険の広報グループ、宮内敦夫さんのプレゼ
ンテーションの内容も紹介されています。東京会場日動さんではコーポレートサイ
トにも様々な工夫が施されており、「トータルアシスト」のテーマに基づいたインタ
ラクティブなコンテンツに加え、消費者啓発やキッズ向け、CSR的なコミュニティコ
ンテンツなど、とてもバランスよく、内容も充実しています。
じかにお話を伺って強く感じたことは、ウェブサイトが「継続していくことで信頼
を築くメディアだ」ということを会社が良く理解している、ということでした。
「広告と比べても、ウェブは全体コストがかからない上に費用対効果が高いので
予算を削るようなことはしない」ともおっしゃっていました。会社としてここまで見切
っていらっしゃると、ご担当者としても仕事のやりがいも相当高いでしょう。
非常に闊達にお話されている姿が印象的でした。

基本的には定期購読いただく冊子ですが、安価で内容の濃いハンディな機関誌
です。ぜひ手に取る機会を持ってみてください。弊社ご訪問の際には積年のバック
ナンバーがそろっております。

http://www.kkc.or.jp/pub/period/keizaikoho/index.html

2009年04月02日(木)更新

「広報会議」5月号に2月の経済広報センターフォーラムのレポートが掲載

4月1日発売の宣伝会議「広報会議」誌136ページに、2月16-17日に
御殿場の日本経団連研修センターで実施された「経済広報センターフォー
ラム:インターネット次代の企業広報」セミナーの様子がレポートされていま
す。ご参照ください。

kohokaigi200905

http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/kouhoukaigi/
また、この号では複数の友人・知人が取り上げられています。

最初の「新任広報の10に基本」の特集では、いつも私のセミナーに参加し
てくださる、日本ケロッグの広報室長で、栄養学博士、日本PR協会認定PR
プランナーでもある井出留美さんが普段持ち歩く7つ道具やデスク周りの整
理のコツなどを詳しく紹介されています。

この時期は日本PR協会でも「新人広報担当者のためのトレーニングセミナ
ー」
を実施しますし、まさにタイムリーでわかりやすい特集ではないでしょう
か。

「海外PRの実践テクニック」の特集では、ニュースワイヤサービスのトップ企
業のひとつ、ビジネスワイヤー・ジャパンの輿水さん、櫛田さんが「海外メディ
アの最前線」と題し、ウェブや紙媒体のメディアについて欧米のみならずアジ
ア、中東もカバーしてそれらの特徴を詳しく紹介しています。

以前のエントリーでも「ジャパンミッシング」と書きましたが、日本企業の海外
での認知や信頼構築はまだまだ手薄だと思います。
多くの日本企業の海外向けのウェブサイトをみると、まだまだアニュアルや
会社案内の英語版の情報を列記しているのみ、というところも少なくありま
せん。

「広報会議」誌は旧「PRIR」から誌名変更を受けて以来、内容の充実が進み
読みやすく、且つ内容が充実しています。
今まではなかなかなかったことですが、社会や企業の中で「広報」の認知や
重要度が増してきた現われだと思います。

2009年03月25日(水)更新

「Design IT!」に見る秀逸な編集デザイン

弊社ではオンラインPR(企業コミュニケーションのウェブ活用)を中心に
仕事をしていますが、ご相談を受けている上で、紙媒体に話が及ぶこ
とは少なくありません。

何度も書きましたが「紙の社内報をやめてイントラに一本化したい」
というようなものです。単に読まれないからやめる、ではなく、読まれる
ための「価値化」を見直すようアドヴァイスしています。

本当は紙媒体の企画編集も(相当)好きなのですが、いまは会社の規模
やフォーカスもあり、できるだけウェブに特化したサポートを心がけていま
す。

しかし、ウェブを考える上でも、紙媒体はとても重要になります。
すなわちインターフェイスを考える上でも編集デザインは人にモノを伝える
画面構成の基礎となっているからです。
この編集デザインに(数百年に及ぶ印刷の歴史から見れば軽い)変革が
訪れたのが約20年前、マッキントッシュコンピューター(ATMフォント)の
普及とDTPの一般化です。

しかし簡便に誌面構成ができるツールの登場と裏腹に、基礎の鍛錬に
時間をかけることができなくなってしまい、残念なことに若手レベルのデ
ザイナー編集デザイン能力はなかなか上がりません。

「これが新しい編集デザインなんだ」といわれても、本文がゴシック体で
文字間の調整もなくくまれた「流行通信」を見たときはちょっと残念な気持
ちになりました。

ウェブの画面構成を見てみても、ただでさえ画面で文字を読ませる苦痛を
考慮して作られているサイトが意外に少ないのに驚かされます。
特に第3階層以下のコンテンツレイヤーでは「流し込み」されているに過ぎ
ないページが多く、これではコンテンツ以前に読む気が失せてしまいます。

良いサイトをいっぱい見て勉強するのも良いですが、手っ取り早いのは
編集デザインの質の高い雑誌を手にとって見ることです。

「Casa Brutus」や「AXISマガジン」は目次のレイアウトから気を抜いていま
せん。
http://magazineworld.jp/casabrutus/
http://www.axisinc.co.jp/publishing/

以前も紹介しましたが、メルセデスベンツのオーナー向け雑誌「Mercedes
Magazine」は間の取り方も秀逸です。

また、最近のオススメはリックテレコムさんから出されている「Design IT!」
という雑誌です。
http://www.designit.jp/

たまたま編集に関わる方に伺ったところ、レイアウト編集はかなり若い方が
やっていらっしゃると聞きましたが、構成、色、文字組み、どれをとってもハイ
レベルです。
ウェブに関わる方でしたら内容もぴったりです。ぜひ書店などでお手にとって
見てください。良いヒントにあふれています。

2009年03月24日(火)更新

成田空港での貨物輸送機事故に対する危機管理報道

昨日の朝、朝食を採りながらニュースを見ていると、とてもショッキングな
映像が目に入ってきました。
フェデラルエキスプレスの貨物輸送機が着陸に失敗し、炎上、大破する
一部始終でした。

出勤してウェブで調べたところ、フェデラル・エキスプレスの日本法人の
ウェブサイトでは、未対応(丸一日たった今でも)のままになっています。
http://www.fedex.co.jp/welcome.html

ただ、本社の米国のサイトでは事故から3時間後にはきちっとステータスを
表明していました。
http://news.van.fedex.com/narita
帰宅して日本のスポークスパーソンのメディア対応を見ていましたが、記
者の(日本語の)質問に対し、英語での返答の場面だけが写されており、
その内容はほとんどが

「現在調査中でプライバシーの問題もあるので死亡したスタッフの経歴や
積荷の内容も今は公表できない」

というものでした。

これだけみると一般の人の印象は複雑です。

しかし本社の副社長が特別機で夜中の2時半に日本に来ている点など、
本社の危機対応は徹底されているように思うので、きっと日本のスポーク
スパーソンには昨晩の時点でそれ以上の発言権はなかったのではない
でしょうか。これも理解できます。

メディア対応の難しい点は、社会的な責任をわきまえた上で会社の立場
をきちんと守らなければならないところにあるのですが、その上でメディア、
ひいてはその先にある社会に対しての共感や理解を取り付けられるか否
か、が、その後のブランド、さらにはビジネスの復旧に影響を及ぼします。

ご苦労されている当事者の企業の方には恐縮ですが、危機対応はこの
ように経過を観測するとその企業の「コミュニケーション姿勢」が見えてき
ます。
最近はリリース打って記者会見やっておしまい、という企業が多いので
あまり危機対応の参考になる事例は少ないのですが、今回のフェデックス
の事例は(また渦中ですが)、対応に見るべきものがあるような気がします。

ちなみに上記で紹介した米国本社のニュースのページは良く見るとかなり
できのよい「プレス対応サイト」になっています。

リリースそのものへの評価機能に加え、FAQやトゥイッターでの意見交換、
会社の諸元データの一覧など、とても使いやすいつくりになっています。
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