大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2010年12月24日(金)更新

日本経済新聞夕刊「フォーカス」に掲載されました。(フォーカスされました、ではない

12月22日の日本経済新聞9面、「フォーカス欄」に

”広報マンの国際団体の日本支部設立に奔走”~企業の「伝える力」磨く

と題し、現在わたしが仲間と行っているIABC(International Association of Business Communicators) の紹介を掲載していただきました。

「ネットの時代」といわれつつも、コミュニケーションクライシスが顕著になり、人の気持ちが荒んでいくのは何故?と思うところがその22日のブログでしたが、実際、夕刊のコラムにもかかわらず、既知の方、この記事を見てコンタクトくださった方含めて、かなりの反響をいただき驚いています。やはり、新聞の力はまだまだ侮れないものがありますね。
また、インタビューしてくださった記者の方のまとめ方が上手でびっくりしました。「短く的確に伝える」こと、これまた一番難しいことでもあります。

20101222nikkei

*著作権の関係でぼかしてあります。記事参照されたい方はぜひオフィスに遊びに来てください。記事以上に詳しくご説明いたします。
実際、IABCのジャパンチャプターはまだ立ち上がったばかりで本格的な活動は来年からとなりますが、多くの方、特に30代前後の若い世代の方々が「何か出来そうだ」という期待でコンタクトしてきてくださっているのが嬉しいです。
そもそも、時代の変化に対応するため職能や職域を越えてビジネスの課題を解決していこう、というのがIABCの主旨のひとつでもありますので、「何をしてくれるの?」ではなく「何が出来るだろう?」というメンタリティは可能性が広がります。

世の中は「ジャパンパッシング(通過)」から「eX-Japan(日本以外)」とすらささやかれるようになって来ています。もう一度日本企業やそのサービス、そこで働く人の良さを「伝える力」を磨いていきたい、と、そんな気持ちでいます。

記事が出た日は自宅に帰ると、子供たちから
「パパ、一体何やったの?歌舞伎役者殴ったとか?」
などと揶揄されましたが、普段裏方として企業や団体のパブリックリレーションのお手伝いをしている身として、自分が出るのは、やはり少し変な気分です。
来年はこの場から飛び出した日本の個性を世界のメディアやカンファレンスで取り上げてもらえるようにしていきたいと思います。

*IABCジャパンチャプターの活動については以下のサイトをご参照ください。
http://www.iabc.jp/

2010年11月12日(金)更新

日本広報学会発表会に参加してきました~その2【京都】

さて2日目は京都駅前にある「キャンパスプラザ京都」で行われたのですが、私自身は観光シーズンのため京都に宿が取れず、大阪との中間にある都市からの通勤となりました。
とはいえ、急行で15分程度ですのでそれほど悪い条件ではありません。
生活習慣で朝は目覚しいらず、6時半に起床しますのでホテルのそばで朝食をとり、ゆっくりとオフィスを空けた間の仕事をこなしても余裕がありました。

この日は午前、午後それぞれテーマごとの分科会が4コマずつセットされています。
【午前】
教材バンク構想
ケーススタディバンク構想
自治体・地域の広報コミュニケーション
CSRとコーポレート・コミュニケーション

【午後】
人材バンク構想
知識ネットワーク構想
地域と中国
インターネット

私はそれぞれ「ケーススタディバンク構想」と「知識ネットワーク構想」に参加しました。

「ケーススタディバンク構想」では、

パナソニック、村田製作所、JICA、味の素、の事例をそれぞれのご担当者からうかがうことが出来ました。
私がマイとh資産化しているIABCでもたくさんのケーススタディを聴くことが出来ますが、やはりご担当者の経験や考えを伺えるメリットは計り知れないものがあり、とても貴重な機会だと思いました。
モデレーターの駒橋先生(東京経済大学)からも、このようなケースをもっと企業の方が持ち寄る、語ることが必要だ(足りない)という話が出ましたが、本当にその通りなのです。(前日の”広報は黒子”参照)

20101107kyoto1

企業担当者がケーススタディを発表するメリットについて、このセッションで面白い意見を伺うことが出来ました。

担当者が自社の広報活動をまとめ、他者に伝えるということは、自社の事業に関わる様々な部門の人にストーリーを共有する良い準備となる、とも言えるのではないか?むしろそのような社内へのフィードバックを行うことで社員の意識変革を促すことにも繋がる。また、そのサーベイをとるのが(学会的にも)重要だ。

ケースから学者が理論を組立て危機管理と海外広報に向けて企業にフィードバックさせ、産学協働を実現させていきたい。

これらは学会ならではと思いましたが、企業広報担当者の役割の一面(ストーリーをまとめ、社内で共有)をあぶりだしていました。

午後の「知識ネットワーク構想」は主に「コーポレートコミュニケーションの効果測定」に焦点をあて、さまざまな企業、大学が独自の視点を展開していきました。

このポイントは、やはりIABCでも人気のあるテーマですが、海外の企業は意外と細かい所からアプローチし、小さな改善を重ねるところから経営改善へとベクトルをあわせていくような印象がありました。
普段「戦略的」というような言葉を多用しそうでいて、確実に定量化できるところから積み上げていく繊細さもヒントになることが少なくありません。

そういう思いを持っているせいか、今回の発表では前提やステータスがいまいちの見込めていないせいもあり、発表の相関やゴールがつかめず、消化不良なまま終わってしまいとても残念でした。

また、全体に発表と比較してディスカッションの時間が少なく感じました。


さて分科会が修了し、最後はまた全体で集まり、総括と閉会のコメントを伺いました。

20101107kyoto3

広報や企業コミュニケーションを「経営への寄与」という視点から常に考えている自分にとって、広報学会は「社会学」というアプローチ(客観視点)をとっているというところが一番の魅力と感じました。

他にも参加したかった分科会があったので、事後に分科会で共有できなかった話を共有するための仕組みや機会がもう少し欲しかった、というのが本音です。

ぜひ今後も勉強していきたいと思います。

帰りはそのまま新幹線で東京へとんぼ返りでしたが、京都駅、すごい空間になっていてびっくりしました!今度はゆっくり、観光で訪れたいと思います。

20101107kyoto4

2010年11月09日(火)更新

日本広報学会発表会に参加してきました~その1【京都】

秋晴れの週末の京都、紅葉の映える山並みに囲まれた京都産業大学に訪れました。

20101106kyoto1

日本広報学会の発表大会に参加するのは初めてでしたが、IABCの立ち上げでお世話になっている淑徳大学の清水先生や、一緒にトロントに行った花王の下平さん、経済広報センターでお世話になっている佐桑さんなどが参加されるということで気後れすることなく勉強に行くことができました。

京都はちょうど観光シーズンであったことに加えAPECの国際会議があり街中はかなり人が溢れていました。
さて、大会は広報学会賞の表彰に始まり、特別講演として縁のある上賀茂神社の宮司であられる田中安比呂さんから、「賀茂の文化」としてお話をいただきました。

20101106kyoto5

義務教育で我が国の成り立ちは教えられていないという現状から、地域の語り部として、また、心の拠り所としての神社の役割から神話や祝日の意味などをお話してくれました。

田中宮司は飽きることなく、あっという間の1時間でしたが、特に最後(結び)の話が秀逸でした。

「結びの話」
結ばれて出来たものが息子、娘
日本の食べ物の基本は、手塩にかけて握るおむすび。
古来より私たちは「縁(えにし)を結ぶこと」を大切にしてきました。
これもコミュニケーションなのでしょうね。

これ、結婚式のスピーチなんかにも使えそうですね。

お昼は京都らしい可愛いお弁当をいただきました。

20101107kyoto2

午後はマイアミ大学のコミュニケーション学部の
Don Stacks教授の基調講演として「米国でのコーポレートコミュニケーション教育」という話を聞かせていただきました。

20101106kyoto3

多くのアメリカの教育機関では、コーポレートコミュニケーションはビジネススクールで扱われており、大学院で選択科目レベルにあるということでした。

なぜなら

1.コミュニケーションは関係性のマネジメントである
2.関係性を構築するのはビジネスを維持発展させるためである

という背景があり、より論理的、定量的にみる必要があるためだからです。
現代の企業コミュニケーションモデルでは、ビジネスの数字と定性値との因果関係を見る事が重要であり、それを可能にしている点が優れていると感じました。

最後は「国内でのCC専門人材育成と情報集積を推進する」
としてパネルディスカッションがおこなわれました。

長くなるので以下は私が拾ったキーワードです。

トヨタのリコール問題は半分以上コミュニケーションの問題。企業はドメスティックCC(コーポレート・コミュニケーション)からグローバルCCの意識が必要

企業の広報は黒子的性格の方が多く自分の成功事例には謙虚であまり話をしない。海外は失敗した事例から学ぶことに対するリスペクトが大きい。

コミュニケーション・プロフェッショナルの専門人材に対するニーズは高いが、業容や組織体により要求水準がまちまちなのでボトムライン(最低限必要な条件)から固めて行くことが肝要。

日本企業の課題はコミュニケーション人材教育-これからの人材をどう取り込むか。

米国はより戦術的で、個人レベルでコミュニケーターの資質が備わっているため、ソーシャルネットワークとのエンゲージ(関係構築)の方が高いが、日本企業は社内にロールモデル(学べる先輩)がなく、社員が直接社外とのコミュニケーションや関係構築をするには腰がひけている。

多くの場合、エンジニアは成功例ではなく失敗した事例から学び、改善する。
しかしコーポレート・コミュニケーションを学問として学んだ人は失敗の現場になかなかいかない(企業もなかなか開示しない)。それはとても重要なことなので人脈形成がケースを学ぶポイントとなっている現状は否めない。

アウトプット(コミュニケーション)を受け取ったオピニオンリーダーや編集者、社会市民がどういう意見や評価をもつか。それを受けてどのような測定可能なアウトカム(成果)を見ることが出来るかを把握することが重要。
報道分析は露出の数や広告換算だけでなくその意見の質を見る、中身を抑えるのが重要だ。

この日はAPECで多忙であろうにもかかわらず、懇親会には京都市長も参加され、盛り上がりました。

20101106kyoto4

ただ、日頃IABCなどグローバルな会議に参加する機会があるせいか参加者が年齢層の高い男性中心(逆に言えば若い人、女性が少ない)なのが少し気になりました。

2010年10月05日(火)更新

キャリアの成功者とそうでない人の差は何か

拙ブログでも何度も紹介差し上げている友人にベンチャーの経営支援、大企業のコンサルティング、研修・講演を行っている小杉俊哉さんがいます。
専門は人事・組織変革、人材開発、キャリア開発、リーダーシップ開発などです。

私が関わっている企業コミュニケーションも根本は「人」マターですし、組織変革やキャリア、リーダーシップももちろんそうです。常日頃から、ビジネスに寄与するコミュニケーションを考えていても、それらはもはや単純に「人事」や「広報」として割り切れる問題ではなくなってきています。

そういう意味で、小杉さんとは接点が多く、実際いくつかの会社で前後して一緒にお仕事をさせていただいた事もありました。
その小杉さんがあらたにオンラインメディアで連載を始められると連絡をくださいました。

「キャリアの筋トレ」とは面白いテーマです。
理想論で「誰でも頑張れば夢をつかめる」的な話は一切ありません。
ご自身が実践され、そして指導される立場で何千人ものビジネスパーソンを見てきた小杉さんならではのリアルなコメントにうならされます。

2010年10月5日より毎週火曜日の12回連載だそうです。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20101001/247107/

ぜひ御一読ください。

2010年10月04日(月)更新

「シャドーサイトを作る意味」広報会議2010年11月号

セミナー等でお世話になっている宣伝会議さんが出版されている広報向けの雑誌「広報会議」2010年11月号は「転ばぬ先のリスクマネジメント」という特集です。
その中で、企業のウェブ対応について、「シャドーサイトを作る意味」として38ページより2ページ、寄稿させていただきました。特集自体も得がたい内容がまとまっているので企業広報担当の方、もしくは経営の方もぜひご一読ください。

kohokaigi20100930
自身が広報出身ということもあり、私は企業や団体のウェブサイト活用の支援をする中でも、危機管理については強い興味があります。
過去10年以上、目立つ企業の不祥事、事故、経営危機などが起きると、新聞やWebのニュースに加え、企業のオンライン対応をクリッピングするようにしています。そういう意味ではかなり事例研究を重ねました。

「シャドーサイト」は一般的に企業や団体が有事の際、そのウェブサイトのトップページの一部、あるいは全部、もしくはそれ専用の構成にして対応するページを指します。しかしここ数年は、このようなクリッピングをしてもあまり特徴的な事例が少なくなってきました。すなわち、企業の対応が「形骸化」してきているといえましょう。

ここでも重要なポイントは「作っておしまい」にせず、経過や反応にあわせて改善(更新)していくところにあるのです。もしくは自社のステークホルダーに合わせた分化や対応といったところでしょうか?

オンラインコミュニケーションの特徴は「記録が時系列で残ること」、そして「対応の変化を時間軸との兼ね合いで評価される」ということです。

昨今、オンラインマーケティングのキーワードとして使われることの多い「クロスメディア」ですが、わたしが12年前に登記したとき、この言葉に託した思いは、上記のようなオンラインコミュニケーションの特徴と、それを実現するために必要な相乗の基盤となるコミュニケーション戦略、もしくはそれをつかさどる人材や組織の確立が必要だと考えたところにあります。

「シャドーサイト」もデザインや構成の問題だけではすみません。
対応を見直すからにはそのような相乗に働きかけられるところまでの価値を見い出せるよう、もう一歩踏み込んで考えなければ本当の「転ばぬ先の杖」とはなりません。ましてや「こんな対応で済まされるのか」という批判の矢面にすらなりかねないという事も知っておくべきだと思います。
«前へ 次へ»