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2007年06月05日(火)更新

「射出成形機」フェチ

「射出成形機」とは、プラスチック製品を作るとき、型(オス型とメス型を
合わせたもの)の中に溶かしたプラスチックを流し込む機械のことだ。

工業デザイナーだった頃は、自分が設計する製品の型はどうあってほし
いか、まで考えさせられていた。
なので、ニュースなどで「射出成形機」と聞くだけで、いまだにワクワクし
てしまうのだ。

プラスチック製品の出来は、型や射出成形の方法によって、まったく変
わる。
端的に言うと「精度」、「組成(やわらかさ、てざわり)」、「美しさ」だ。

例えば、黒いプラスチックは流し込みの跡が見え易かったり、色が安定
しなかったり、塗装なしで品質を出すのは難しい。

ドイツのブラウン社などは抜群にうまく、現役の頃はブラウンの電卓やひ
げそりを何台も分解し、研究したものだ。
日本が誇る精度の高いプラスチック製品の代表に「プラモデル」がある。
「プラモデル」という趣味はかなり減退しているというのが事実だが、それ
でもマーケットを牽引する「売れ筋」が「ガンプラ」と呼ばれる「ガンダムの
プラモデル」だ。

最近のものは、ダブルモールドという成形技術で、やわらかいプラスチッ
クを芯(骨)にして、硬いプラスチックで覆い、指の関節が動くものまであ
る。

そんなことに感心していたら、なんと、ガンプラを作っているバンダイが、
そのガンプラを成形している「射出成形機」のプラモデルを作ってホビー
フェア「ガンプラEXPO」で発表したのだ。
http://www.parco-shizuoka.com/web/07gundam/
「射出成形機」のプラモデルなんて、楽屋落ちのようなネタだが、ちょっと
欲しくなってしまった。

驚いたことに、これが人気なのだそうで、オンライン限定で発売されると
いうから見逃せない。
http://bandai-hobby.net/
さらに驚いたことは、まさか、とおもって検索してみると、以前にも「射出
成形機」のプラモデルが出ていたのだ。(非売品らしいが)
http://www.geocities.co.jp/Playtown/4937/models/syasyutu.htm

どうやら長野県の日精樹脂工業に工場見学に行くともらえるらしいのだ
が、今年の秋ぐらいに子供づれで行ってみようかと思う。
もちろんプラモデルは子供にもらうように見せかけて親が搾取する。
http://www.nisseijushi.co.jp/

プラモデルについては以前にブログでも書いたことがあるのでこちらも
参照してほしい。
http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/118/10000605.html

2007年01月16日(火)更新

国立新美術館

来週1月21日、六本木に国立新美術館がオープンする。

防衛庁跡地の東京ミッドタウンとともに、六本木ヒルズの森美術館の
展望階から建築中の姿が見え、すごいなあ、と思っていたところで、
建築としてもユニークなのでオープンしたらカメラもって遊びに行こうと
思っている。
http://www.nact.jp/index.html
あたらしいホームページですが、かなり抑揚を効かせて作っているの
はわかるんだけど、もう少し色気があっても良かったんじゃないかな?
と思うのはわたしだけだろうか?
アクセシビリティなどには気を使っているようだけど、ロゴのセンター配
置など、けっこう権威的な感じが強調されすぎじゃないかなあ、と。

主旨としてはそういう権威から解き放たれたいのでは、と思うのだが。

そのロゴは佐藤可士和さん。
「彼らしさ」がかなり出てしまっているのが、長い目で見るとどうか、
判断の分かれ目だとおもう。
デザインする上でもう少し自分を殺せると「大物」なんだけどなあ。
というのが僕の印象です。(偉そうですみません)


好きな美術館

金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/ja/index.html

庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/

東京国立近代美術館工芸館
http://www.momat.go.jp/CG/cg.html

茨城県陶芸美術館
http://www.tougei.museum.ibk.ed.jp/

2006年06月14日(水)更新

趣味の効用 その3

先月24日のブログで、大学時代からバンドをずっと続けていると
書きました。
そもそも音楽をやってみたい、と思ったのはやはり育った環境が
大きかったのです。

私は男3人兄弟の末っ子で、兄2人とは少し年が離れています。
兄はモロにビートルズ世代だったので、私が小学生で物心がつき
はじめたころには、応接間にビートルズを始め、キンクス、ストー
ンズ、などが揃っていました。

それでも自分のお小遣いで初めて買ったレコード(ドーナツ盤シン
グル)は泉谷しげるの「春夏秋冬」でした。

それを何回も繰り返し聞いていると、突然兄が部屋に入ってきて、
「和弘、これをきいてみな」といって数枚の大きなレコード(LP)を
手渡ししてくれました。

1枚は大きな岩肌に5人の男の顔が彫刻されているイラスト(ディ
ープパープル:インロック)、2枚目はおじいさんが薪を背負っている
もの(レッドツェッペリン:IV)、3枚目は銀色のジャケットに青でメ
ンバー3人のイラストが書いてあるもの(ブルーチアー:Vincebus
Eruptum)でした。

フォークを聞いているいたいけな小学生になんという荒治療!と
思いましたが、このときを境に兄のレコード棚をひっくり返し、ハード
ロックばかり聴くようになりました。今思えばなんと的確なチョイス!
と感謝に耐えません。

自分でLPを買うようになってから聴き始めたのは、いわゆるプログレ
というジャンルで、ピンクフロイドやクリムゾン、イエスなど、変拍子に
頭をがくがくいわせていました。

最近はその当時のアルバムが紙ジャケットのCDで、デジタルリマス
タリングで再発されることが多く、つい買わされてしまうことがありま
す。
何よりうれしいのは、その当時のアーティスト(ほとんどがすでに60
代)が今でも活動を続け、新しい音楽を創り続けていることです。

キング・クリムゾンの初期のドラマーだったイアンウォーレスが昨年
出した「The Crimson Jazz Trio : King Crimson Songbook, Vol. 1 」
は昔のクリムゾンの曲をピアノ、ベース、ドラムスのジャズトリオで演
奏しています。
軽く流してかけていると普通のピアノジャズですが、変拍子にツーバス
ばりばりだったりしてなかなか楽しめます。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000B865DM/249-3117510-3469104?v=glance&n=561956

クリムゾン、なつかしいけど、さすがに重い。という方は試してみてくだ
さい。

2006年05月24日(水)更新

趣味の効用 その2

気がついたら生まれてから学校を卒業するまで費やした時間を
就職してから今に到る時間が追い越してしまいました。

先日も久しぶりにバンドの練習があり、一緒に演っている仲間も
音楽も、20数年前とまったく変わっていないことに愕然とする自
分です。

なんら精進せず続けている、ただそれだけのことなのですが、本
当に驚異だとおもいます。

昨日に続いてし趣味の話になりますが、大人の趣味というのは
結構お金がかかる(かける)ものだったりしますが、音楽は本当
にお金がかからず、楽しめる趣味だと思います。
ドラムをフルセットもてる環境ではないにしても、自分の楽器(ス
ネアドラムとキックペダル)だって、充分良いものを買っても10万
でおつりがきますし、僕自身もそれを20年使い続けています。

ギターだって同様です。本当にコレクションレベルのものでも、
100万ぐらい、とすれば、(直接価値の比較はできないけど、額面
だけでいえば)車やファッション、旅行などに入れ込むことを考えれ
ば比べて格段に安いのではないでしょうか?

先日も子供をつれて閉館間際の交通博物館に遊びに行った帰り、
御茶ノ水の楽器屋さん街を久しぶりに歩いてきました。

きらきらした目でギターを見上げている同世代の人たちの顔はみんな
素敵でした。

2006年05月18日(木)更新

日本プラモデル興亡史

本屋さんを覗いていて思わず手にとってしまいました。

小学校から中学校にかけて、私の青春はプラモデルとともにあった、
といっても過言ではありませんでした。
高校に進学し、将来何を目指すのか、決めあぐねていた私に、工作
やものづくりが好きなら意匠設計にすすんだらどうか?と勧めてくれ
たのも、そんな私を見ていた(あきれていた)母でした。
ベッドの下は未制作のプラモデルのストックでいつも埋まっているよ
うな状態でした。

これはそんな時代に一瞬でフィードバックさせてしまうような本です。
当時、スケールモデル(特に戦車)などの改造ばかりやっていたの
ですが、「タミヤニュース」という田宮模型から出されている小冊子
を目を皿のようにして見ていたのですが、特に開発者や金型設計者
のインタビューなど、琴線に触れるものが少なくありませんでした。

単にプラモデルを作る、それで遊ぶ、というだけでなく、このころは
「ものづくりの思いに触れる・伝える」という楽しみがあったような気が
します。

その頃読んだエピソードで、いまだに忘れられないのは(この本の中
では触れられていませんが)、こんなコメントでした。
「本物を計測したり、本物の設計図面が有ったとしても、それをスケー
ルダウンすればよいというわけではないんですよ。35分の1にしてみ
たとき、堂々と見える、大きく見える、強そうに見える、早そうに見える、
などの感覚値を盛り込んでディフォルメしていくんです」

最近は超精密に彩色を施した食玩がコンビニで売られていて、つい
手が伸びそうになりますが、このような思いを引き継いでいると思うと
少しうれしくなります。

日本プラモデル興亡史―子供たちの昭和史
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