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2008年05月16日(金)更新

共同PR「広報の学校」

今週は火曜日、水曜日と2日間の全日セミナーだった。

今年でこの講座も6年目。内容もずいぶん変化してきたが、企業広報として
考えなければならない課題はかなり増えてきているので、2日間、合計12
時間とはいえ、十分に伝えきれない所も少なくない。

1.企業コミュニケーションからみたWEBの現在
2.メディアリレーションとソーシャルコンピューティング
3.オンラインツールを活用した社内広報
4.オンラインPRにおけるデザイン、ビジュアル、技術の理解
5.コミュニケーションの変化とオンライン危機対応
6.企業WEBマネージメントの実際

元々は毎週金曜日開催で10回シリーズで始めたものだけに、6コマに縮めて
いっぱいいっぱいなのは否めない。
今回もIRやベンチマークシミュレーション、ワークショップなどは割愛した。
先日の米国のコンファレンスでもテーマは「カンバセーション(対話)」だった
ように、やはり一方的な講師の話だけよりも、様々な業容の参加者の知見や
体験は時に生々しく、示唆に富み、参考になるものだ。

このようなセミナーの機会を通して、企業広報担当者のキャリア形成のお手伝
いがしたいと申し上げているのだが、そのキモは「どんな仕事をどのようにすれ
ばよいか」ではなく、「カンバセーション(対話)能力」にあると感じる。

確かにセミナーは一期一会かもしれないが、必ず何人かは後日メールや電話
などで質問や報告をくださる方がいるのだ。
しかしそういう人には助言に留まらず「こんな人がいるのであってみたら?」とい
うような引き合わせまでできる。さらにご本人の興味に合うようなトピックのセミナ
ーがあればパネルやケーススタディ発表の際に参加願うこともあった。
当初は「私が発表なんて」と臆する方もいたが、それがきっかけでより交流が深
まり、PRIRなどの雑誌でインタビューを受けているのを拝見するととてもうれし
い。

今月はさらに来週、九州で宣伝会議、再来週大阪で日本経営協会と続く。
ぜひ活発な「カンバセーション」へとつなげていきたい。

2008年05月08日(木)更新

New Communications Forum 参加記(その3)

今日は具体的なセッションの話をしよう。

会議はキーノートスピーチ、ワークショップ、パネルディスカッション
だけでなく、中庭のオープンテラスでのランチョンやカリフォルニアワ
インのご当地だけあって、ワインテースティング親睦会まであり、交流
を深める機会も盛りだくさんだった。

やはり会のテーマが「カンバセーション」だけあって、とにかく意見を
ぶつける機会にあふれている。大半の人間がブログやSNS、トゥイッ
ターなどのコミュニケーションツールを持っているから会話もその場で
終わらず、ネットへ引き継がれ、そこでまた第3者の意見が加わる。
今回は旅行前から本を読み、ぜひあって話がしてみたいと思っていた人
ともあっという間にコンタクトできた。
その方はこのようなソーシャルコンピューティングの時代だからこそ、
戦略的な社内コミュニケーション(しかもアナログ)が重要だ、と唱え
ている人で、さすがにコンサルタントとして有名なだけあってスピーチ
もプレゼンテーションもとても魅力的だった。

また、こんな人(具体的には同じような考えでビジネスをしている人)
と会って話がしてみたい、と思ったら、2日目の朝食のときに隣に
座ってきた人がまさにそうだった。私がたどたどしく自己紹介をし始
めるとにやにやして、「僕も同じ仕事をしているよ」といって右手を
差し出してくれた。ラッキーなことだ。

ここで一言添えると、15年外資系でもまれたこともあり、私自身は
ある程度の日常会話であれば英語でも何とか大丈夫なのだが、専門領域
の話を、しかも議論の応酬というスピード感の中で完全に把握するのは
なかなか難しい。なおかつ、これらの今日的な会議はレジメのプリント
アウトは環境の問題もあり配布しないことが多い。
しかし前述のように参加者専用のWIKIやディスカッションボードが
用意されているばかりでなく参加者のブログを見ればどう感じたかまで
あとでフォローできるのでとても楽だ。

いくつか、参加したセッションのタイトルを記しておこう。

・ステークホルダーとの「対話(カンバセーション)」を求められる
企業(スピーチ)
・ソーシャルメディアコミュニケーションの評価指標(ワークショップ)
・ブランド形成の為の社内コミュニケーション(ワークショップ)
・オンラインコミュニケーションを通じた顧客との信頼形成(パネル)
・オンラインプレスリリースの投資効果(ワークショップ)
・インフルエンサーマーケティングの実情(スピーチ)
・ソーシャルメディアがカスタマーエクスペリエンスに与える影響(ワークショップ)
・ソーシャルメディア・エージェンシーが考える「PR3.0」(ワークショップ)
・PRのプロフェッショナリズムはどう変化していくのか(ワークショップ)

すばらしいのは、ほとんどのセッションが具体的な事例や数値ベースで
定量的に語られていたことだ。

日本でもこのような議論ができれば、広報職のキャリアモデルも違って
繰るのではないかと考える。

刺激的だったいくつかのフレーズをあげると、


「もはやグーグルの検索結果を持ってして”これが御社のブランド”
とは言い切れない」

「広告費に莫大なお金をかけてもステークホルダーと会話しないために
ブランドを築けない(価値を下げている)企業が出てきている」

「人事の採用担当者が採用コミュニケーションを企画する時代は終わった」

「広報は、もはや企業を代表してコミュニケーションを司る部門ではない」

「消費者はただ企業に文句を言いたいだけではない。不満があっても彼ら
はカスタマーサービスには行かない。彼らが欲する対応は一部門がまかない
切れるものではない。社員全員が目を向ける必要がある。その体制をどう
作るかがコミュニケーション部門の課題だ」

これらの内容に具体的な事例を加えて、ご紹介する機会を6月半ばごろに
設けようかと考えている。
近々このブログかメールマガジンで告知したいと思う。

2008年05月08日(木)更新

大阪宣伝会議デヴュー

本日は夕方から大阪宣伝会議さんにおいて初のセミナーをおこなう。
議題はインターネット広報だが、今まで5年近くお付き合いしてきて
東京、札幌、福岡では複数回リピートでお世話になっているのだが、
大阪ははじめてだ。
もちろん大阪自体は某大手広告代理店のセミナーやお客様の業務案件
で何度も伺ったことはあるのだが、オープンセミナーでは意外にも
はじめてなのだ。
外野はやれインディアンカレーを食べろ、くいだおれパフェを食べろと
うるさいが、これでも仕事、初めてとなればいささか緊張もしている。
PCも何があるかわからないのでUSBメモリーに加えてオンライン
ストレージにもバックアップを置いてある。

さらに企業名は出せないが、セミナーが終わった後は、昔、仕事でお
世話になった東京の外資系企業から大阪の外資系企業に転職された方
と久しぶりの会食も予定しているし、翌朝は某有名外資系ホテルのバ
ッフェで別の方と朝食ミーティング(パワーブレックファースト)だ。
それらをこなして気持ちに余裕があったとして、大阪はおいしいもの
が多いので、はたして「カレーにパフェ」で済ませられるか。。。
まずはえべすさんに相談してみよう。

米国レポートは週末にアップさせていただく予定だ。
かたじけなし。

2008年05月02日(金)更新

カレーショップに見る今日的なPRとは?(私的PR2.0論?)

ソーシャルニュースサイト、「Newsing」でも昨日来しばらくトップ
を走っていた注目記事。
こういう記事を読むと、今日的なPRの成功事例だと強く思う。

いままでは、企業がおおよそ一方的に
「うちの会社でこんな商品出したよ」
って告知(ニュースリリース)を出して、メディアに取り上げてもらって
いた。いわゆるメディアリレーションだ。

でも、今ではみんな新聞は読まない。テレビも見ない。
ウェブの広告はRSSフィーダーでスキップされたり。
オンラインのニュースリリースフィードは認知向上にこそ寄与するものの、
それに対する信頼度(情報価値依存度)は米国ではすでにかなり低い。
どちらかというと人々は個人のブログやコミュニティ(ミクシィのような
SNS)でのコメントを優先する。
じゃあ、次世代のPR(2.0)はどういうものかと考えると、単に
ネット対応するってコトだけでなく「今の世の中、情報は誰にどう渡
すと、どう伝わって、結果的に理解と関係性を構築できるか」を実現
することだ。

しかしそれは、一部のハイレベルなソーシャルコミュニケーション・
エージェンシー(カタカナばかりで舌噛みそうだが)でないと関与
できないことなのか?

そんなことはないぞ。という例を見たようだ。
ほとんどPRの意識がない中小企業でも、顧客との間でしっかりと
した「価値の提供・共有」ができていれば、、、
しかもその人がジャーナリストだったら!!

こんなインパクトのあるPRができるのだ。
(今回は前置きが非常に長かった)
http://wiredvision.jp/news/200805/2008050121.html

このコメント最高!
「ヘロイン中毒者がヘロインを注射するのが大好きなのと同じように、私は日本の
カレーを愛している。ヘロイン中毒との唯一の大きな違いは、ヘロイン中毒は長期
間ヘロインを断てば中毒でなくなる点だ。」

本職のジャーナリストだから読ませる文章だというのはわかるけど、それにしても
ものすごい「愛」と「理解」を感じる。
こういう文脈をユーザー側に作れるかどうか、がこれからの企業の(広報の)価値
になるんだと思う。

やはりせっかく(?)カレー専門店とか行くのなら、やはり「チーズ+カツ」
とか体に悪そうなもの頼みたくなる。

来週は大阪に行くので友人のオススメのインディアンカレーに行って
「ごはん・ルー大盛り、ピクルスつき」を食べてこよう。
http://www.indiancurry.jp/menu.html

みなさん、よい休日を!

2008年05月02日(金)更新

雑誌「PRIR」に寄稿

昨日5月1日発売の「PRIR」(株式会社宣伝会議)6月号の特集
「広報も過ぎれば無礼!?」に寄稿した。

タイトルは
「テクノロジーを使えばやった気になる?オンライン広報の落とし穴」

編集者の方がかなりアグレッシブで元気な方だったのでそれに乗せ
られた感もあるが、私にしては刺激的で面白く提示できたと思う。

http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/prir/

prir6
企業コミュニケーションについて、平行してレポートしている米国の状
況を見ても理解していただけると思うが、テクノロジーの活用で悩む
状況は日本とさほど変わらない。
しかし彼らは、一つ一つ、前向きに捉え、チャレンジし、失敗し、反省
し、そして自分のものにしていく。

翻って私たちの周りでは「いや技術には弱くて」とか「どこから手をつ
けて良いか」とか「常々気にはしているのですが」といいながら、一向
にアクションの取れない広報担当者も少なくないように思える。

この差はどこにあるのか?

背景にあるのは、広報における業務意識の持ち方だ。
90年代の初頭、ネットの活用が始まる前夜に彼らが直面していた全
社的な業務プロセス改革。その波に一度もまれることで自分たちのプ
ロフェッションは何なのか、そのためにどうすればよいのか、突きつけ
られたのだ。
その意識が根付いたときに現れたインターネット。新しい技術や表現
に迷うことはなく、まずは面と向かって取り組んでみよう。そこから得
られたものを経営や社員、ひいては顧客にフィードバックしていこう、
という姿勢があったのだ。

それに比べて勢い代理店やテクノロジーベンダーに押されたまま10年
過ごしてきた日本企業。今はそのギャップの臨界点にあるのかもしれな
い。

後戻りはできないが、一度足元を見直す機会を持っても良いのではな
いだろうか?
担当者にとっては短期的なキャリアの足踏みになるかもしれない。
しかし会社にとってのコミュニケーション価値を生み出すきっかけとなれ
ば数年でリカバリーは可能だ。
しかもその経験を欲する企業はとても多い。キャリアアップのチャンスも
増える。(独立の可能性も増える)

今回の記事は、そんな意識を持っていただくきっかけとなれば幸甚だ。
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