大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2007年02月06日(火)更新

丸い半導体に挑んだ男たち

私自身のキャリアは工業デザイナー→広報→ウェブマスターだったので
直接業務に関わったわけではないにしろ、在籍した会社が2社とも半
導体メーカーだったので、半導体には格別の思いがある。

いまだに半導体メーカーとお付き合いがあり、とても不思議な感じだ。

最初の会社、テキサス・インスツルメンツは、そもそも「ICを発明した会
社」でもあり、その後も数多くの発明や技術革新を重ねてきた。

その中でも面白いのが、「DLP」という、半導体素子のうえに微細な鏡を
何十万個と組成し、その鏡の向きをデジタル制御することで反射画面に
結像させる、というもの。
簡単に言うと、「PCプロジェクターで液晶じゃないもの」のひとつです。
元々は社内ベンチャーで、最初に見たときは驚いたものですが、こんなに
普及するとは思わなかった。

もうひとつ、私がお世話になっていた当時の社長だった石川明さんが、
米国本社の副社長になり、その後リタイヤされてはじめたのが

「ボールセミコンダクター」

という会社。その名の通り球状半導体です。

球状ということで素子の中の回路の距離が均等だったり、クリーンルーム
なしの環境下で作れるなど、革新的です。

このベンチャーがどこまで伸びるかわかりませんが、人間の脳にだってIC
が入っているわけではないので、まだまだ可能性があると思います。

この創始者の石川さんは数年前に志半ばでお亡くなりになりましたが、
同じく石川さんとともにボールセミコンダクターを立ち上げ、サポートされ
てきた仲野英志さんもまた、数日前に急にお亡くなりになった、と報告を
受けた。

奇しくも石川さんのレクイエムとして本を書かれたばかりだったと聞き、
とても残念でならない。

日本人にオリジナルな発想は珍しい、といわれることもあるが、そんな技
術革新のストーリーにご興味があれば、ぜひこの本を手にとって見ていた
だきたい。

ITの先駆者 丸い半導体(ボール・セミコンダクター)に挑んだ男たち

2006年12月27日(水)更新

グーグルは従業員を子供扱いしている?

面白い記事を見つけた。

「グーグルが従業員を子供扱いすることでつなぎとめている」とする
アメリカの記事で、それを翻訳した人のサイトだ。


http://www.yamdas.org/column/technique/googlifej.html
正直、なんか米国のベンチャーはいまだに相変わらずバブル繰り返して
いるなあと思う。
これに比べると僕のお世話になった外資企業は非常にバランスのとれた
大人の会社だったす。

こういう会社を社会的に醸成させるのはカリスマではない。
ビットバレーのときもライブドアのときもそうだけど、企業文化を創る
って、社員総「躁」状態からはできないと思う。

クールヘッド、ウォームハート。そしてウェルコミュニケート。

みなさん、よいお年を。来年もよろしくお願いします。

2006年11月30日(木)更新

日本でインターネットが情報基盤として根付かない理由

きわめて簡単である。

1.「何を得られるの?」という「自社の得」という視点からしか
  考えられない。金を出さない。

2.「自分はこれをもっている。それを人と共有するところから
  得るものがあるはずだ」という意識がない。

3.情報を出さないことで起きる「危機」に対する意識が低い。
  これも、「使っていないからわからない」という言い訳による。

事は思ったよりも深刻で、この数年に起きた終身雇用の崩壊
や人材の流動化と同じく、「ぎりぎりにならなければアクション
を起こさない」体制のままだと、文化ですら「他所にみんな持っ
ていかれる」ことになりかねない。
今日は論旨をコミュニケーションの領域に持っていくのはよそう。
その代わりわかりやすい例をひとつ。

「映画」や「音楽」について。

米国ではインターネットのスタート時点から、最初はボランタリー
ベースで、その後にスポンサーを募りながら脈々と構築してきた
パブリックデータベースがある。

特に音楽(All music guide)は、タイトル、作者、曲名、どれから
でも検索ができる。
あるアーティストが好きなら、そのひとが誰の、どんな作品に関
わったかもすべてわかる。しかもオンラインCDショップに紐づい
ているので、そのまま購入も可能だ。
(おかげでずいぶん散在したが・笑)

アマゾンは確かに便利だが、時々検索に盲点を持っていることが
わかる。たとえば、「The band」というバンドのCDを探そうと思うと
とてつもなく苦労するのだ。

映画のデータベースも、充実している。とても探しやすい。
こちらに入ると散在の規模が変わるのでセーブしているが。

http://www.allmusic.com/

http://www.imdb.com/

翻って、日本の状況。

以下の代表的な「日本映画のデータベース」を見てほしい。

日本映画データベース
http://www.jmdb.ne.jp/

日本映画情報システム(文化庁)
http://www.japanese-cinema-db.jp/

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%98%A0%E7%94%BB

個人だけの情熱でも、国に任せてもだめ、ということ。
一番ましなのがウィキペディア。でも、検索性や閲覧性、2次利用がしにくい。

この事業計画書はそれほど複雑ではない気がする。
ベンチャーではなくNPOモデルで誰かやってくれないかなあ、と思う。

企業がネットリテラシーを挙げるために、こういうパブリックな情報基盤を
共同参画して作る、というのは意味があると思うのだ。

政府(と顧問の堺屋太一 さん)が2000年を迎えるにあたって行ったのが
「インパク」。当時、何社かから、企画支援の要請を頂いたが、すべて断った。
企業のエゴを集めて何になるんだろう?という疑問が払拭できなかった。

2010年に、また政府が「インパク2」なんていいだす前に、アクションを起
こさないとアジアにおけるコミュニケーションの「日本抜き」はますます進ん
でいく。

2006年11月29日(水)更新

情報処理の行方

ほとんどの情報がインターネット、またはオンライン上にアップされる。

強力な検索機能(およびSEO)とRSS機能により、必要な情報が
フィードされてくる。

そのような傾向は、今後ますます進んでいくだろう。

iPODや家庭のハードディスク付きDVDプレイヤーには、RSSリーダー
が内蔵されるのは時間の問題だ。
好みのアーティストやタイトルを登録しておけば、内容が更新されたり
新譜が発売されると勝手にダウンロードされるようになるだろう。

そんな中、面白い記事を読んだ。(出典ど忘れ。すみません)
いわく、

集まる情報は最適化された自分の興味のある情報。
それは結構だが、集まった情報を見たり読んだり、それだけでおなか
いっぱいになり、やがて思考が均質化してしまうのが怖い。
その反動か、最近新聞をよく読むようになった。

新聞には経済面から社会面、文化面まで、自分が恣意的に探そうと
している以外の情報があふれている。

そして、そういう意図から外れた情報がもたらす刺激が創造性をよび
おこすのだ。

と。

そう考えると、便利になる傾向は良いけど、とても危険な傾向だ。

来るべきソーシャルコンピューティングの時代にこそ、個々の持つ創造
性がものをいう。

大丈夫。
新聞や雑誌はなくならない。(ビジネスモデルは変わるが)
せいぜい教養(無駄な雑学?)を磨こうではないか。

そういえば、アマゾンを使っていても、
「この本(CD)を買った人はこんな本(CD)も買っています」
という推薦機能を見ていると、ほとんどが「さもありなん」だが、ときどき
まtたく見当の違うものを出されると、「何でだろう?」とつい見てしまう。

ひょっとすると、近いうちにそのようなゆらぎ幅まで管理されるのかも。
終わりのない勝負だなあ。。

2006年11月16日(木)更新

ビジネスブログアンドSNSワールド

今日、明日は大手町に終日セミナー聴きに来ている。
今、注目のビジネスブログやソーシャルネットワークのツールベンダーが
一同に会し、数々の事例セミナーを行っている。

無料の、いってみれば営業セミナーでもある訳なので、ある程度は予測
していたものの、どのセッションもベンダーが一方的にしゃべり、一切質
疑応答の時間がないのはさすがにどうなのだろうか。
少なくとも朝一番に基調講演を行った米国シックスアパートの社長は、
質疑を望んでいたのに。。。
各ベンダーのセッションは、製品紹介や事例商会が中心だったので、話は
おおよそ予想はついていたのだが、やはりオンラインコミュニケーション
ツールとして「Blog is the Best」という感じだった。

ただ、最後のパネルディスカッションの時に、ドリコムの社長が、
「経営者の方はすぐビジネス管理ツールをROIの視点で定量判断するけれ
ど、ブログツールは社員のモチベーションを維持・高揚させる役割のほう
が大きい。」
と言っていたのが印象的だった。
背景にはグーグルの言う「Structured Chaos」の思想に共感している、と
言う事実があるからだろう。

参照URL(トラックバック不調により)
http://satoshi.blogs.com/life/2006/10/googlestructure.html
«前へ 次へ»