大きくする 標準 小さくする

2006年07月03日(月)更新

うまくかこうなんてとんでもない

6月26日に奈良美智さんのことを書いたら、日本実業出版社の吉田さんから
コメントをいただきました。

ありがとうございました!

美術の話で思い出すのは「熊谷守一」という画家です。
熊谷さんは1977年に97歳でお亡くなりになりました。
わたしはちょうどお亡くなりになった年に高校生で、通っていた図書館に小さな
油絵が一枚あり、「なんて心の穏やかな絵なんだろう」と見入っていたのを覚え
ています。
大学1年ぐらい(没後2年ぐらい)に東京で大きな回顧展があり、まとまってみる
のはそのときが初めてでした。

最初期は黒田清輝の指導を受けただけあって、深い写実の油絵を描いていま
した。

50を過ぎた頃から線や面が単純化して行き、切りえのような絵を多く残してい
ます。

「絵で文字でもうまくかこうなんてとんでもないことだ」

という言葉どおり、以下に作為を感じさせない絵を描けるか、を追求していました。
ちょっとでも「うまく」描けると気に入らず破ってしまったそうです。

かつて、昭和天皇が「この絵を描いた子は何歳?」
と聞いたそうで、そのときほどうれしいことはなかったのだそうです。

昔、出張のついでにニューヨーク近代美術館に立ち寄ったことがあるのですが、
そのとき、マチスの素描展をやっていて、鉛筆描きのスケッチを数百点展示して
いましたが、そのとき、熊谷守一さんにすごく似た印象を持ったのを覚えていま
す。


熊谷守一美術館
http://www.kumagaimori.jp/
<<  2006年7月  >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31