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2008年03月13日(木)更新

危機管理広報セミナー

今日は宣伝会議さん主催の「危機管理広報セミナー」だった。

午前中はハーバーコミュニケーションズの五十嵐さんによる危機対
応の基礎の話。非常に具体的なプロセスのお話が聞けた。
午後の前半が私の担当でオンラインにおける危機対応の事例の話。
そして最後が危機管理コンサルタントの田中さんと不二家の広報室
長だった小林さんの対談。まさに本日の目玉だった。

このような多面的で包括的な危機管理広報のセミナーは意外にも
初めてかもしれない。かなり広い会場だったが、私の座る席すら余裕
のない状況だった。

また、内容的にも危機の当事者であった企業のご担当者が直接話を
するというのはとても画期的なことなのだ。
PRIR編集長の田上さんもおっしゃっていたのだが、通常、このような
機会で「ぜひ事例としてお話していただきたい」といっても、ほとんどの
企業のご担当者の方はお断りされることが多いのだ。

以前も別のPR会社主催の勉強会で同様の企画があり、そのPR会
社の社長自ら数十社の企業の広報部長に声をかけたがひとりも賛同
を得られず、結局大学の先生2名にご登壇いただいたぐらいだ。それ
では参加者の溜飲を下げるにはいたらない。

内容の公表は差し控えるが、今日の不二家の方は時系列に沿って
非常に丁寧にお話してくださった。それだけでも臨場感があり、メデ
ィアで見聞きした背景にどんな現場があったのかが良くわかった。
110名を越える参加者の数からも注目度が推し量られるが、やはり
勇気を持ってご登壇いただいた不二家の小林さんに感謝したい。

多くの企業広報の方は孤独で、とくに危機管理に関してはなかなか
生の事例を聞く機会は少なく、手探りで対応している場合が多い。

私自身も、先進的でユニークな広報事例をいつも探しているが、一昨
年には米国のコンファレンスに参加しに行ったぐらいだ。そこでは
「広報」、「宣伝」、「マーケティング」、「ジャーナリズム」など、いわゆる
企業コミュニケーションに関わるプロフェッショナルが、企業側とメディア
側、合計8種類の立場で集まり、ブログや新しいネットツールの活用、
あるいはそのリスクやメリットについてオープンに意見交換をしていた
のだが、参加表明をしたときに米国の主催者に「勉強に行く」と言った
ら「とんでもない!この会はみんなで経験をシェアするための機会だ
からあなたは日本での知見や経験を伝えに来るのよ」と諭されたくら
いだ。

日本でもこのような機会が少しずつ増えてきたとはいえ、参加する
みなさんのメンタリティはそのときの私と同様、まだまだ「勉強させて
もらう」というものではないだろうか?

きっとPRIRでも宣伝会議さんのセミナーでも、同様の事例はこれ
からも渇望されていると思われる。ぜひ積極的に声をかけていただ
き、次回の盛会につなげてもらえれば、と思う。

もし本日参加されていた方でこのブログに目を通される方がいらっし
ゃれば主催者や講師の方に積極的にフィードバックコメントを投げて
欲しい。感じたことや経験談、質問など。それをまたみんなで共有
することが皆さんそれぞれの会社、ひいては日本の広報全体の
底上げにつながるのだと思う。