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2009年07月02日(木)更新

IABC2009参加記(9)

滞在も5日目、コンファレンスはあっという間に最終日になってしまい
ました。

この日も早朝からセッションがありましたが、最終日ということもあり、
こころなしか朝からロビーに集まる人も多く、情報交換に精を出して
いました。

私たち日本チームもルーマニアから来た参加者の方々と情報交換を
しました。
ルーマニアもまだ支部が出来ておらず、認知もこれからだといってい
ましたので今後の活動を相互報告することでお互いをベンチマークで
きるようにしましょう、と話がもりあがりました。

2009iabc27

こうやってさまざまな国の方と話をするのは大変なことだ、と思いませ
んか?
実は逆なのです。

お互いに母国語でない英語で話し合うので語彙も限られているし、平
易な文法で話をするから、母国語の方と話をするよりもとても理解しや
すいのです。
そう強く感じたのには伏線があります。(笑・以下最終キーノート参照)

さて、最終日の朝のセッションは「オールスターセッション」といい、やはり
人気の高いスピーカーが集まりました。

2009iabc29

今回のコンファレンスでは、昨年ほど具体的な企業の事例が多くなかった
ような気がします。私が着目していたテーマも、こころもち「インナーコミュ
ニケーション」から「コミュニケーションリーダーシップ」に寄っていたせい
もあるかもしれませんが、経営の関与の重要性や、その理解を取りつけ
るための努力やプロセスなどの話が少なくありませんでした。
(これらは非常に濃い話でした。日本ではなかなか聞くことが出来ない
内容ですね)

そしてお昼前になるとまた全員がオーディトリアムに集まりました。
最後のキーノートスピーチはイギリスのケン・ロビンソン卿によるもです。

2009iabc28

ケン・ロビンソン卿は「ビジネスと教育に関する創造性」に関して世界
的に知られる方で、先に行われたTEDジャパンでもスピーチをされて
いました。

「急速な世の中の変化、そして不安に対し、かつてないほど個人のアイ
ディアやクリエイティビティが大切なものとなっている。」
「そして、それが受け入れられ、物事を新しい、正しい道へと導くには”伝
える、理解する、受け入れるコミュニケーション”が大事だ」というわけな
のです。

ユーモアを交えて話す卿のスピーチに会場は爆笑、拍手、そして喝采の
嵐。

なのですが、実は私にとっては非常に辛い一時間だったのです。
というのも、この方の英語がブリティッシュアクセントで非常に聴きづらく、
その場では2割程度(後半のわりとまじめな話の部分だけ)しか理解
できなかったのです。
(私の英語力はテキサス=南部なまりというかなり偏った地場で育まれた
ものなのです)
特に前半のジョークたっぷりのところがわからないというのは「置いていか
れた」感が強く、ショックでした。。。


その場でつかめたポイントは、

「常識」として固定化された思考のもたらす弊害として、世代間の考え方
の相違(若い世代は携帯やPCなどがあるので腕時計のようなシングルタ
スクの機械を腕に巻くというのは理解できない)や、文化の違いからくる
物事の捉え方の相違(東洋人は見たものを「関係性」から捉えるが西洋
人は「対象物」から捉える)などを挙げ、その柔軟性を失わないためにも
「創造性」を育む教育が重要だ。

というあたりです。

以下は先のTEDxTokyoのスピーチですが、幸いなことに日本語のキャプ
ションがついています。私自身もこれですごく救われました。

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子供は比類なき創造性と才能を持って生まれてきているが、間違えることを
許さないような画一的な教育によってそれらがスポイルされていくのだ。

間違えることと創造的なことは違うが、間違えることを恐れていたら決して
独創的なものは思いつかない。
間違うことは最悪だという教育システムが創造性を殺していく。
会社もそのように運営されているから答えが出ないのではないのか?
==========================================================

振り返ってIABCでの彼のスピーチでも根幹は同じようなところにあったように
思います。

「企業のコミュニケーションをよくするためにはどうしたらよいのか?」

この問いに対し、さまざまな答えがあるでしょう。
(ロビンソン卿に言わせれば「あなたの創造性次第」)

「コミュニケーターは組織の中でより柔軟な思考と創造性を持つことにより
非常に重要な役割を担うことができるのではないか」

といわれたような気がしました。

ロバート・スワンさんのスピーチもそうでしたが、このような市況の中でみんな
苦しんでいる状況を見据え、IABCは私たちに「勇気を持って臨め」という
メッセージを送ってくれたのだと思いました。

仕事の状況も決して楽では有りませんでしたが、無理をして参加した価値が
ありました。

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振り返ってみると本当に中身の濃い4日間でした。
知り合った沢山の人たちと「また来年会いましょうね」と声を掛け合い、会場
を後にしました。
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