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2011年04月28日(木)更新

非常時の企業コミュニケーション(2)

震災から1ヵ月半がたちました。
いまだ心落ち着く日々ではありませんが、この間、春のセミナーシーズンということもあり、いくつかのセミナーでまた、100名近い方々とお会いしました。

連休が明けると、また東京、大阪、広島、とセミナーが続きます。

震災以降のセミナーで、共通して伺ったひとつの質問があります。
それは、

「本日参加されている皆さんの会社、あるいは団体のウェブサイトのほとんどのトップページで、メインビジュアルの変わりに、あるいはその下などに被災地へのお見舞いメッセージが出ていますが、これはどのような目的で掲載し、どのようなタイミングで戻すつもりですか?」

というものです。

もちろんそのこと自体を揶揄するつもりも批判するつもりもありません。

目的に関しては、もちろん弔慰やお見舞いの気持ちを表すのは当然のことです。
私が伺いたかったのは、自社にとってのお見舞いの気持ち、あるいは震災への対応はそれだけで十分なのか?ということです。

いただいた返事の中で、

「うちの会社は、周りの会社を見てそれに揃えただけで、明確な意図はない、なので、実はどのタイミングで戻せば良いか、考え始めていたところでした」

という方が少なくないようでした。
しかし今度の震災とその影響はあと何日で収束する、というようなものではありません。
パナソニックさんやJR西日本さんなどは、全品回収や民事訴訟の終結まで続ける確固たる意図も伝わりますが、意図が明確でないと感じている企業の広報担当の方は、かなり困惑されていらっしゃいました。

そこで改めてお仕事でご縁をいただいた会社や団体、もしくはセミナーなどで名刺交換させいていただいた企業のウェブサイトを片っ端から再訪してみましたが、意識を持ってやっている会社と、そうでない会社の違いが見えてきました。

意識を持ってやっている会社は、「メッセージの受け手を具体的に想定してやっている」

ということです。
すなわち、

1.被災地には、その会社が出来る支援の、体制、数字、金額などの具体的(定量的)な表明。

事例: ジョイセフ(東北地方太平洋沖地震 被災地の女性・妊産婦支援)
http://www.joicfp.or.jp/jp/donation/tohoku_earth_quake/



2.お客さま(ユーザー)には活動を通じて商品やサービスへのシンパシーが伝わる工夫。

事例: ロッテ(キモチつながるプロジェクト)
http://www.lotte.co.jp/info/tsunagaru/index.html#top



3.社員や株主には、社会に向けたメッセージとタイミング(スピード)、そして支援活動の継続性が伝わる工夫。

事例: 三菱商事(震災関連のニュースリリースをまとめる→具体的な活動)
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/


があるのです。

これであれば、その活動タイミングを見て1階層下に「まとめサイト」を作っても良いですね。
今ならフェイスブックで「○○企業震災支援活動」フェイスブックページを作ってそちらにまとめるのも良いかもしれません。

メッセージに具体性があること。積極的かつ有用な活動があること。そうすればトップ画面やエリアをさらに有効活用トすることも出来ますし、かりにはずすとしてもそのタイミングを考えるのは難しくないと思います。

「とりあえずやっておけば良い」だけでは、なかなか通用しないのがオンラインコミュニケーションの世界です。

2011年04月27日(水)更新

企業広報はストレスの高い仕事?(2)

先ほどポストした「企業広報はストレスの高い仕事?」

に少し補足したいと思います。

先日、ある広報関係の権威のある方と話をしていて伺った話ですが、「広報の現場にいる、特に若い世代の方はフラストレーションを抱えている」のだそうです。

その理由は

1.コミュニケーションシフトが起きているのに、特にネットは怖くて対応が出来ない
2.その決断、判断を上司や経営者ができない
3.そのような状況でプロジェクトや企画を興しても「理解されない=実施できない」
4.なので権限も無ければ予算もない
5.仮に自己責任で実施したとしても一切評価につながらない
6.他の社員が勝手にソーシャルメディアを使い始めて事故や炎上が起きた時は責任を取らされる
7.今回のような災害や、見えない企業不祥事、事故などに対する予見(リスクマネジメント)を話し合う機会はほとんど建前レベルでしかなく、後手に回る恐怖はぬぐえない

というようなものだそうです。

私自身の現役当時も同様の不安はたくさんありましたが、社内で解決できない悩みはどんどん外に出て行って他者の方とお会いしたり話を伺ったりしました。
当時も座して待っていても何も変わらないのは同じでしたので。
しかし、その方がおっしゃるには

「そういいつつ、最近広報担当者の横のつながりが弱くなってきたのではないか?」

という印象があるそうです。

彼も講演やセミナーなど、の機会があり、事後に参加者から良く名刺交換を請われるのだそうですが、名刺を渡す割には反応がほとんどないそうです。そういわれてみると、私自身もセミナーなどで名刺交換を良くさせていただきますが、お返事をくださる方はやはり限られています。

でも、そういう方には確実に特徴的なところがありますし、そこに上記のようなフラストレーションを解決するヒントがあるのがわかります。

でもその種明かしをするのはつまらないので、ぜひご自身で積極的なアクションをとって実感してみてください。あるセミナーでは意図的に(私にだけでなく)参加者相互に休憩時間に名刺交換をすることを促しました。たまたまリードしてくださる方がいたせいもあり、あっという間にメーリングリスト、Facebookでのグループページ、オフ会(飲み会)が行われるようになりました。とても良いものです。

行動は解決の一歩ですね!(どこかで聞いたセリフですね)


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2011年04月27日(水)更新

企業広報はストレスの高い仕事?

ビジネスニュースの世界ではリーディングメディアのひとつ、CNBCのウェブサイトに面白い記事が掲載されていました。

「The Best Jobs in America 2011」と「America's Most Stressful Jobs 2011」というものです。

The Best Jobs in America 2011

America's Most Stressful Jobs 2011
















ネタばらし的になり恐縮ですが、以下ににそれぞれのランキングを表記します。


アメリカの2011年ベストジョブ

1.ソフトウェアエンジニア
2.数学者
3.保険計理士
4.統計学者
5.コンピュータシステムアナリスト
6.気象学者
7.生物学者
8.歴史家
9.聴覚学者
10.歯科衛生士


アメリカの最も過酷な仕事2011

1.民間航空パイロット
2.企業広報担当者
3.シニアコーポレートエグゼクティブ
4.フォトジャーナリスト
5.ニュースキャスター
6.広告代理店担当者
7.建築家
8.株式仲買業
9.救命救急技師
10.不動産業者


わたしたち日本の企業社会の感覚からはすこしずれるところもありますが、おおむね納得のいくものだと思います。しかし、この記事を俯瞰してみてみると面白いことに気がつきました。

「ベストジョブ」に選ばれているものはほとんどが専門職(スペシャリスト)なのです。
しかも世の中の変化にあまり影響を受けない基本的な仕事ばかりです。
どんな職業も強みと弱みがあります。
スペシャリストは深い専門性や経験を持てば付加価値として評価されますが、世の中や技術、インフラが大幅に変わったとき、変化対応が困難になることもあります。例えば印刷用の文字組み調節を行う写植業はDTPの普及により、存在しなくなりました。

「最も過酷な仕事」の中にも専門職は少なくありませんが、「業務に、より高いコミュニケーション能力が求められる」仕事が多いように捉えました。
ネットの興隆もその一因として、コミュニケーションのスピードやツール、方法が大きく変化してきていることもあり、ストレスが増えているというのも大きな原因のような気がします。

このような仕事はひとりで完結することが少ないため、殊更に他の専門性を持った人との協働が必要になりますし、思考の柔軟性、他者理解力、相手と向き合って議論するのではなく、ゴールや目的を見据えて一緒の方向を向き遂行する力を持った人が評価されます。

今の時代、企業や団体が求める「プロフェッショナル」とは、上記のような存在ではないでしょうか?
このランクは「職務重要度の高い職業」ということも出来ると思います。

この記事に注目した理由は、もちろん2位に「企業広報担当者」がランクインされていた、ということです。なぜそんなに過酷(ストレスが高い)職業かというと、米国企業の中での広報の役割や責務はこの10年で大幅に変わった(高くなった)からなのです。その背景には厳しいリストラと淘汰、変化対応があります。

日本における広報コミュニケーションの職務は、このような海外の状況に比べるとまだ「夜明け前」だと思います。
「広報の職能の重要度が認められない」とか「社内でキャリアモデルが見えない」という意見をいまだ多く耳にしますが、現在広報に関わっている方、志している方にとって見れば、これから確実にくるであろう世の中の変化は、大きなチャンスだと確信します。

「ストレスフルな世界へようこそ!」とは言いませんが(言っている?)、広報コミュニケーションプロフェッショナルが、アメリカのように職務重要度が高い世の中になるよう、一緒に頑張りましょう。

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2011年04月18日(月)更新

効果的な被災地支援のための画期的なソーシャルメディア活用

ユーザーがコメントを書いたり、お勧めしたり、欲しいものをリストしたりできることから考えるとアマゾンも立派なソーシャルメディアということが出来ます。

震災以来、多くの義援金や物資の援助、ボランティアスタッフの献身的なサポートが行われています。しかし被災地以外に住む私たちにとって実際には現場に人、物、金を送れば良いわけではなく、段階的な整備が必要なため、すぐに物資が配布されない、必要でないものばかりが溢れる、かえって地元の商店の復興の妨げになるなど、さまざまな問題があるのです。

それらの解決のアイディアや議論はどこでなされているのか?もちろん継続的なレポートが期待できないマスメディアではありません。ツイッターやフェイスブック、ブログ等のソーシャルメディアです。

本日目にしたのは、個別の被災地ごとに必要なものをリストし、ボランティアがどこからでも、いつでもサポートできる仕組み、しかもアマゾンの「欲しいものリスト」を使って実現しているのです。

アマゾン(www.amazon.co.jp)にアクセスし、右上の「欲しいものリスト」をクリック、さらに「ほしい物リスト サーチ」に「被災地」と入れてみてください。

これらのリストから自分で貢献できるものを選びショッピングカートに入れるだけです。

自分でも実際にやってみましたが非常に簡単です。
もう一度被災地のリストを見ると確実にそれが減っているのも(当たり前ですが)うれしいです。

「今」何が必要かがわかり即、それに応えられる。その背後に人の命がかかっていることを思うとこのスピードこそ、ネットのアドバンテージのような気がします。

2011年03月04日(金)更新

Annual 100 Best Corporate Citizens List

米国のCorporate Responsibility Magazine は年に一度「Annual 100 Best Corporate Citizens List」と言うタイトルで、企業のウェブサイトやサステイナビリティ・レポート等の一般に公開されている情報を基に、社会市民性の高い企業を選出しランク付けしています。

今年で12回目となるこのランキングは、PRウィーク誌においても「米国で最も重要な企業ランキングのトップ3に入る」と高く評価されています。
評価指標カテゴリーには、

-Environment (環境への配慮・対策)
-Climate Change (CO2等の排出量やポリシー)
-Human Rights (人権の尊重・行動規範)
-Employee Relations (ダイバーシティや福利厚生)
-Corporate Governance (内部統制)
-Philanthropy (慈善活動・ポリシー)
-Financial (財務情報)

などがあり、データや対応、姿勢、そしてそれらが一般に開示されているか等、調査対象は合計324項目にのぼります。それぞれのカテゴリーごとに重み付けがされているのも特徴です。

上位にランクされている企業の中には数年前に環境問題や労働問題で大きなクライシスを起こした企業もあります。このことからも、企業がブランドや信頼を取り戻すためにどれだけ本気で社会的責任を果たすことに取り組む必要があるかが思い知らされます。 日本でもこのような指標が出てくる日もそう遠くない気がします。
ランキングへのリンクはこちらです。

当該ページの丸いマークの下にある「Click here to view the entire list.」と言うリンクをクリックするとランキングのpdfがダウンロードされます。

日本企業の名前がないのは寂しい限りですが、奇しくも自分が働いていた会社が2社ともトップ30以内にランキングされてるのはちょっと誇らしい気持ちになりました。
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