大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2009年06月16日(火)更新

「ユニクロ X ユニコーン」Tシャツ

ユニクロは毎年シーズンごとに企業のロゴやトレードマーク、商品の
パッケージイメージなどを使った「コラボレーションシリーズ」を展開し
ていて、企業コミュニケーションに関わる身としてはとてもユニークで
面白い試みだと感じています。

さらに今年は日本を代表する伝説のロックバンド、ユニコーンの再結
成を記念してユニクロが6月15日から段階的に数種類の記念Tシャ
ツを販売するそうです。

http://ut.uniqlo.com/unicorn
uniqlotshirts

このデザインはユニコーンのオリジナルのグラフィックではないけれど、
ユニクロのロゴとユニコーンの文字を引っかけた、この企画ならではの
もので面白いと思いました。

このような企業や団体のロゴなどとのコラボレーション企画で類似す
るサービスとしてはアメリカではかなり以前から「カフェプレス」と言う
サイトが有名です。
http://www.cafepress.com/

企業や個人のデザイナーが自社のロゴや自分のデザインを登録し、
ユーザーは欲しいも柄があるとその柄の入ったTシャツやトレーナー、
キャップやバッグ、マグカップなどにプリントして届けてくれる、という
ものです。
Tシャツやマグカップなどの材料と印刷プロセスはカフェプレス側で
サポートするので企業側はノベルティの仕入れをしなくてすむので
非常に便利です。
(日本でもこのサービス、企業にも個人のアーティストにも需要はあ
ると思います)

余談ですが、僕は以下のデザインが気に入っています。

helvetica

話を戻すと、ユニクロさん(他の企業でも良いのですが)には、来年
ぜひお願いしたい企画があるのです。

それは、医療関係をはじめとして人権、教育、環境、国際協力など
のNPO団体のロゴをつけたTシャツコラボレーションです。
(もう既出でしたら世間知らずでごめんなさい)

ユニクロを通じてそのTシャツを買うと募金協力できるという仕組みで
す。もちろんユニクロさんは利益の一部を購入者と一緒に募金しても
いいですね。

もちろんこれはひとつのアイディアで、きっと細かく詰めていくと色々
クリアしなければならない課題もあるかもしれません。

しかし世の中には「ワンクリック募金」というサイトもあり、クリックする
だけで(クリックしたユーザーの負担無しに)協賛している企業から募
金が発生するというしくみも存在しています。(皆さんも試してみてくだ
さい)
http://www.dff.jp/

このサイトの良いところはそれだけでなく、協賛している企業に対し
「ひと言」意見を添えることも出来ますし、企業はこのような関わりか
ら社会やネット市民に対し意思の表明やコミュニケーションの糸口を
作ることもできるのです。

思いがあればきっと解決の道は見つかるのでしょう。

これらの話はユニクロさんに限らず、どの企業にもチャンスはいっぱい
あると思います。

2009年04月28日(火)更新

なぜ「Webリニューアルをやめろ」というのか?

多く企業で広報やマーケティングのコスト削減、活動自粛が余儀なくされて
いる昨今ですから、いまさらそんなこといわれなくても「今はリニューアルな
んかしないよ」と言われそうです。

しかし実際には市況に関わらず(いや、まさに市況の影響で)、会社としての
指針や方向が変化したり、リストラを実施したり、他社とM&A(合併と買収)
が起きたりと、急激な変化からWebを見直さなければならない、という企業も
出てきているのです。

そんななかで「何らかの方策を打たなければならないのはやまやまだけど、
どのように考えていけばよいのか?」と相談をいただくことが増えてきました。
実際には「ビジネス戦略」に基づいた「コミュニケーション戦略」から「Web戦略」
と実現可能なステップへの落とし込みを行っていけばよいのかもしれませんが
それは「平時」の考え方で、今はその余裕がない、というのが正直なところでは
ないでしょうか。(事実そういわれます)
そもそも、今までは「Webリニューアル戦略」といっても担当者の実務に落とし
込みが出来ていないことが多いために「作っておしまい→3年で飽きてリニュー
アル」を繰り返すパターンが多いのです。

私自身が企業広報担当者だった手前、相談をいただくご担当者と同じ視点で
考えることを旨としてみてみると、やはり性急に「Webリニューアル」をすること
は、いまは良策だとは思えないのです。
(投下コストに対し、リスクが高すぎます)

そうであれば、一度今まで10年近く無作為に積み上げてきた自社Webサイトの
「リセット」もかねて、基本となる会社のメッセージのみに拘泥し、「とりあえず体
裁を整えるために全体を作り上げること」はやめ、担当者の実務に根ざした優先
すべきところに集中して見直してみるのも得策です。

「優先すべき実務って何だ?」と聞かれると、それはその企業や団体によって
それぞれだとは思うのですが、オンラインメディアリレーションやCSR、海外対応、
そして一番多いのが社内コミュニケーションの見直しなどです。

ぎりぎりのタイミングで制作会社さんに丸投げするのではなく、考える猶予が
ある今だからこそ、少しずつ自分の手元で解決していけば、結果的に全体を見
直すときの強固な指針となりえるのです。(少しでも自分で解決しているから
腑に落ちている=会社の考えと合致している)


以前にも以下のようなエントリーを投げかけたことがありました。

「作って終わり」のリニューアルにしないために

大企業のウェブはなぜつまらないのか

何かピンと来るものがあればお気軽にご相談いただければうれしいです。
http://www.crossmedia.co.jp/inquiry/



*ちなみに弊社のWebサイトは、より具体的でわかりやすいコミュニケーションを目指し
 1999年以来、4度目のフルリニューアルを実施中です。これは実務の見直し=すべて
 だからです。

2008年12月16日(火)更新

日産自動車相談役、小枝至さんの考える「現代の企業コミュニケーション」

日本経済新聞の夕刊一面の下方に「明日への話題」と言うコラムがある。

ここに時々、日産自動車の相談役であられる小枝至さんが寄稿されて
いるのだが、常に「コミュニケーション」に関わる視点で書かれており、と
ても興味深い。

直近のコラムでは、

「現在の職場では上司と部下のコミュニケーションが不足していると部下は
感じているようだが、経営側もコーチングや研修や対話集会を行っている。
しかし自分が現役だったときには特段話し合いの機会や研修を持ったこと
はないが、上司の考えや方針は理解できた。」
と書かれている。

koeda

では現在の社会で起きている変化はどういう原因によるものなのだろうか?
小枝さんは

「情報革命の進展で、今の社会で働く人それぞれのコンテキスト(行間、
ニュアンス、以心伝心、相手への理解力といったもの)を掴む能力の格
差が大きく生じてきたからではないか」

とおっしゃっている。

よって

「日産でもグローバリゼーションの加速とも相まって社内のコミュニケーシ
ョンを社外に対するものと同様に重視している」
のだそうだ。

先日のIABCでもほぼ同じようなテーマを踏襲しており、これは日本だけの
話ではなく、世界的な傾向の問題なのだろう。

「これからは部下に業務上の指示を出すときに目的、背景、納期、キャリア
との関連を説明し、会社の目指す方向、短、中、長期の目標、期待、会社
の現状などを透明性を持って繰り返し発信し納得してもらうことが重要」

と結んでいる。

自身の業務に結びつけると、企業のウェブサイトもイントラネットも、このような
背景で「どうのような関係を築くか(エンゲージメント)」と言う観点で練り直す
必要がありそうだ。

そうなると10年かかって築き上げてきた今の企業サイトやイントラネットの
様子はこれから大きく変化するのではないだろうか。
望むらくはそのときに「とにかくリニューアルですね」と言うような話に終始
しないようにすることだ。
仮にリニューアルするとしてもここ数年でリニューアルしていれば、スタイル
シートやCMSを活用しているだろうから一から作り変えなくても大丈夫なは
ずだ。

最後にもうひとつ、小枝さんのコラムで面白いものがあったので紹介しておく。


「幸いにして人間の場合は本人の努力で賞味期限の延長が可能である」

2008年05月08日(木)更新

会社から消え行くもの?

お世話になっている社労士さんからメールが来た。
オフィスのレイアウトチェンジをして応接セットを撤去するのでソフ
ァーとテーブルを必要な人に譲る、というのだ。
良いアイディアだと思うが引き取り手は果たしているだろうか?

ビジネスの打ち合わせは手帳かノートPCが前提のことが多いので、
たまに訪問先で応接に通されるととても話がしづらく感じる。
深く腰掛けてはプレゼンテーションもできない。
広報時代は女性のインタビュアー(記者)は膝元を気にしてかわいそ
うだった。

ロビーでお客様にお待ちいただく分にはソファーは良いのだろうけど
もはや会議や一般的なビジネスミーティング向きではないと思う。
慢性的に会議室が不足して受付脇のオープンスペースで業者が見積も
りを広げている会社を見たこともあるが、それなら使い勝手の悪い
応接をいくつかのミーティングルームに改造したほうが良いかもしれ
ない。

上司と部下、同僚との打ち合わせ、外部のお客様や業者との打ち合わ
せなど、どんな場所を選ぶかでその会社がコミュニケーションをひい
ては相手をどれほど大事に思っているかがわかる気がする。

イントラの整備も重要だが、前提としてまず面と向かって話がしやす
い環境づくりが重要だ。さもないとしんと静まり返って集中している
ようで全員チャットしていた、なんてことにもなりかねない(これは
数年前に自社で実際に経験した悪夢)。

2008年05月02日(金)更新

New Communications Forum 参加記(その2)

今日は会の概要をお話しよう。

今回参加した「New Communications Forum」は今回で開催が4
回目。わたしは一昨年に続き2回目の参加だ。

http://newcommforum.com/2008/

ncf2008
このフォーラムは「Society for New Communications Research」
というNPO団体が主催しており、企業コミュニケーションに関わる
企業のプロ(広報、マーケティング、宣伝)とそのサービスベンダー、
ジャーナリストたちで作られている。
企業コミュニケーション業界の純粋な発展のために研究、発表、
交流を行っており、ベンダーサイドが参加しているからといって、や
みくもに営業っぽいことをしないところが非常にこなれている。

http://sncr.org/

セミナーは3日間、200人程度の参加者でホテルを貸切り、早朝、
昼食時、夕方と3回のキーノートスピーチに各界の著名人や同団体
の研究員による発表が行われる。
間の午前中2コマ、午後の2コマはそれぞれ企業コミュニケーション、
マーケティング、ジャーナリズム、政治と社会、グローバルトレンドと
いう5つのセクションごとに分科会が開かれ、どのセッションに誰が
参加しても自由だ。
通常1時間のワークショップでは、誰かが目いっぱい話をしておしま
い、というようになりがちだが、問題定義は20分程度、多くの時間を
「意見を聞く」ことに割いているところが素晴らしい。みな「聞く」ことに
真剣なのだ。

ncf1

今回のテーマは

”企業に求められるのは「コミュニケーション」から「カンバセーション
(対話)」”

というものだ。

世の中の変化に対し、わたしたちはどう対応すべきか、という内容を
ツール適応中心ではなく、あくまで顧客や社会との関係性構築(エン
ゲージメント)や実施するためのプロセス、組織論、結果をどうビジネ
スに還元するかに特化している。

ほぼ同時期にやはり同じくサンフランシスコで開催された
「Web2.0EXPO」
と内容は類似しているが、こちらはオライリーが主催
していることもあり、ややツールや技術志向が強いようだ。

参加200人のうち、パネルやスピーカーなどが約3分の1。またジャ
ーナリストやパワーブロガーも20~30名いる。一昨年のときからそう
なのだが、彼らはコンファレンスの最中にビデオや写真を撮り、その場
で印象やコメントを加え、ほぼ同時刻にブログにアップしているのだ。
昼休みにポッドキャスティングしている人もいた。
話題はテクノロジーよりではない、といいつつもかなりハイパーなのは
確かだ。

ncf2

さらに驚かされるのがトゥイッター(Twitter)だ。ノートPCを持ち込んで
いるほとんどの人間がトゥイッターを使っていて、挙手して質問するま
でもないけどちょっと自分の気持ちを表したい、という時にこのツールは
ぴったりだ。
しかしこれは恐ろしい。もはや聴衆が同時に無言でつながって意見交
換しているという状況なのだ。

実際、キーノートスピーチで黒のスーツに派手な柄のシャツ、そろいの
派手なソックスを履いたおしゃれなスピーカーがいたのだが、誰かが
「あのソックス、先週のイベントでも履いていたぞ」とコメントしたとたん、
カメラを持った人間がその写真を撮り、WIKIにアップされてしまったの
だ。(笑)

socks

自分もセミナーを行う立場なだけに、ソックスにも気が抜けない時代が
そのうちに来ると思うと少々頭が痛くなる。

次回は具体的なセッションの様子をレポートしたい。
«前へ 次へ»