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盗作とインスピレーションの境界線

投稿日時:2007/08/30(木) 17:29rss

いまから9年ほど前の話だが、私が独立したばかりの頃に友人の
ベンチャー企業の広報サポートをやっていた。

その会社のウェブサイトを立ち上げるために、すでにデザイナーに
提案を頼んでいるというのだが、オンラインコミュニケーションの専
門家として、一緒に評価してくれないか、と頼まれた。

やってきたデザイナーは若いが、自分なりのポリシーを持って
デザインしている、と、自身の提案のコンセプトを語りだした。

しかし、その提案画像を見たとき、わたしは思わず自分の目を疑った。
そこにあったものは、たまたま最近チェックしていた、当時新進気鋭
といわれたカリフォルニアのウェブデザイン会社の企業ウェブサイト
そのものズバリだったのだ。
ひととおりのプレゼンテーションが終わり、私は意を決してゆっくりと
話した。

「○○さん、先ほどあなたはこのデザインのコンセプトを色々と説明
してくれたけれど、僕には○○○(米国のウェブデザイン会社)のサ
イトと同じに見えるんだけど、どういうわけ?」

まさかそんなことを言われると思わなかった彼は、見る見る顔が赤
くなり、言い訳もせずに素直にそのことを認め、詫びた。

私が一番腹立たしかったのは、彼の自意識のなさ、だ。
このクライアント会社は、設立当初より米国の大学教授や教育学会な
どと交流していた会社だ。
もし、そのままこのデザインでオープンし、第3者にそのことを指摘
されたとき、彼にはクライアント企業のブランドを損ねた責任を取る
ことは出来ないはずだ。

企業のコミュニケーション担当者で、世の中のウェブを見まくっている
人など少ないはずだ。
(わたしはサラリーマン時代からそういう癖がついていて、同僚から
「君の仕事はネットサーフィンかい?」といわれたぐらいだ)

まず業者に仕事を発注する際、コンセプトのオリジナリティを問う前に
使う写真、デザイン意図に他社との類似性や相似が生じないように
気をつけて欲しい(もしくは万が一の際の訴訟責任を負わす)、と一
言謳うべきだ。

現代はウェブサイトの開発の規模も大きくなってきていて、代理店や
元受の制作会社が孫受けに発注する、ということも増えてきている。
予算のきつい中、できるだけマージンを稼ごうと思えば、デザインの
アイディアを練る行程や写真(著作権フリー)、イラスト(トレース)など
が起きる可能性は高い。

最終的には末端のデザイナーやイラストレーターの意識や倫理性を
問うところまでいってしまうのだ。

以下の参照サイトはイラストの盗用を集めたサイトだが、これを見
れば、私の言っていることが決して大げさなことでないことがわか
ってもらえると思う。かなりの大手企業が含まれている。
ウェブサイトに関しては米国で告発サイトも出来てきた。
日本でも誰かがすぐに追随するのではないだろうか?

http://www.artparadise.com/museum/index2.html

http://www.hotwebmagazine.com/24

http://pirated-sites.com/vanilla/
(下記は上記のサイトを見やすく画像配置したもの)
http://flickr.com/photos/34923023@N00/

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「パク」ることへの罪悪感…のなさ

Webの世界の雰囲気の一つに「何かと安易にできてしまう」というのがあると思っています。

mixiやTwitterなどに代表される安易なコミュニケーションや、
Amazonで行ってしまう安易な購買などなど挙げればきりが無く、
それはWebの類まれなき「功罪」の「功」であります。

それに反する「罪」の一つがこの記事で言及されていることなのかも、と私は思いました。
別の言葉で表現すれば安易に「パク」ってしまうイデオロギーを創出した「罪」。

> まず業者に仕事を発注する際、コンセプトのオリジナリティを問う前に
> 使う写真、デザイン意図に他社との類似性や相似が生じないように
> 気をつけて欲しい(もしくは万が一の際の訴訟責任を負わす)、と一
> 言謳うべきだ。

これはWebの安易さに漬かっているとふと忘れてしまう大事なことで、
恥ずかしながら、私自身も無自覚でした。

よい教訓として勉強させていただきます!

Posted by Waki at 2007/08/30 23:06:00 PASS:
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会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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