クロスメディア・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 雨宮 和弘 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
来るべき「コミュニケーション・プロフェッショナルの時代」を担う「企業コミュニケーター」養成ブログ
おくやみ 皆川正(まさ)先生
日本の工業デザイン創成期の重鎮の一人で、約30年前、東京造形大学で
おせわになった当時主任教授であられた皆川正先生が2月20日にお亡くな
りになりました。
わたし自身は当時ロクに勉強もせず、先生にお世話になったなどと、えらそう
に言える身分ではありません。
正直、卒業後にまともに仕事が出来るようになるのに時間が掛かりましたし、
その頃は「もう少しまじめに勉強しておけばよかった」と後悔したものです。
ただ、勉強せずとも先生の思い出というのは印象深く心に残っています。
先生にお返しできるものはありませんが私なりに3つのエピソードをご紹介
します。
当時の東京造形大学の工業デザイン科の2次(実技)入学試験は、
「魚をモチーフに平面構成を作れ」
というものでした。
美大の入試というのはデッサンもそうですが、周りを見渡すことが出来るので
他人がどのようなことをやっているか、多少見えるのが面白いのです。
平面構成ですからグラフィック模様のように魚を並べる人もいれば、なにか
観念的に魚の動きを表現している人もいました。(なぜか覚えています)
僕自身は狭い生け簀の中を縦横に泳ぎまわっているような構図で描きました。
なぜこんな出題をするのだろう?という疑問は大学に入って解明しました。
実は皆川先生は、工房で出る木っ端(生徒が実習で制作する課題に使った
木材材料の端材)を削り、魚の造形物をよく作られていたのです。
それらはホンモノそっくり、というよりは魚の動きを形にしたオブジェという
もので、僕たちも授業でまねて作らされたこともありました。
これは基礎造形を生み出す創造性を鍛えるにはとてもよいトレーニングだ
ったと(サボっていた人間がいえる筋合いではありませんが)思います。
粘土でも良いのですが、木を削る造形は木目も相まってとても面白い表現
が可能になります。
新しい形を生み出す仕事をしている方にとってはこのような趣味(トレーニン
グ)は自分のアイディアの引き出しを作る良い機会となるでしょう。
もうひとつの先生の思い出は就職のときにいただいた温情です。
つまらない自分の落ち度である自動車会社の入社試験に失敗したわたしは、
研究室にいる先生の元に報告に行くとこっぴどく怒られました。
本来であれば「もう知らん」といわれて終わるところでしたが、
「私が紹介できる会社はもうないけれど、そこに来ている求人の封筒のなか
で受けられるところがあれば武士の情けでもう一度だけ推薦状は書いてやる。
しかしもう一度だけだ」
とおっしゃっていただけたのです。
まじめな学生ではありませんでしたが、今に至るきっかけを作ってくださった
のはまちがいなく先生でした。
3番目は、卒業謝恩会で先生がおっしゃった言葉が忘れられません。
それは
「まだまだ世の中にデザインの価値は十分に理解されているとはいい難い。
だから諸君はずっと工業デザイナーを辞めないで一生の仕事として続けて
それを世に問うて欲しい」
というものでした。
正直、自分がデザイナーからコミュニケーションの仕事に移ろうと考えたときは
この言葉が脳裏をよぎり、かなり逡巡したものです。
もちろん後悔はしていませんが、仕事の中にデザインマインドやクリエイティビ
ティ、その価値を訴えられるように心がけています。
ご挨拶もできないまま30年近くがすぎ、このようなお知らせを聴くことになる
のは残念なことでした。
最後に、ほとんどの授業は上の空でしたが、ひとつだけ印象に残っているのは
扇風機のデザインをされたお話でした。
日本の扇風機が今のように3枚羽根になった最初のデザインをされたのが皆川
先生で、それ以前はすべて4枚羽根だったそうです。
おせわになった当時主任教授であられた皆川正先生が2月20日にお亡くな
りになりました。
わたし自身は当時ロクに勉強もせず、先生にお世話になったなどと、えらそう
に言える身分ではありません。
正直、卒業後にまともに仕事が出来るようになるのに時間が掛かりましたし、
その頃は「もう少しまじめに勉強しておけばよかった」と後悔したものです。
ただ、勉強せずとも先生の思い出というのは印象深く心に残っています。
先生にお返しできるものはありませんが私なりに3つのエピソードをご紹介
します。
当時の東京造形大学の工業デザイン科の2次(実技)入学試験は、
「魚をモチーフに平面構成を作れ」
というものでした。
美大の入試というのはデッサンもそうですが、周りを見渡すことが出来るので
他人がどのようなことをやっているか、多少見えるのが面白いのです。
平面構成ですからグラフィック模様のように魚を並べる人もいれば、なにか
観念的に魚の動きを表現している人もいました。(なぜか覚えています)
僕自身は狭い生け簀の中を縦横に泳ぎまわっているような構図で描きました。
なぜこんな出題をするのだろう?という疑問は大学に入って解明しました。
実は皆川先生は、工房で出る木っ端(生徒が実習で制作する課題に使った
木材材料の端材)を削り、魚の造形物をよく作られていたのです。
それらはホンモノそっくり、というよりは魚の動きを形にしたオブジェという
もので、僕たちも授業でまねて作らされたこともありました。
これは基礎造形を生み出す創造性を鍛えるにはとてもよいトレーニングだ
ったと(サボっていた人間がいえる筋合いではありませんが)思います。
粘土でも良いのですが、木を削る造形は木目も相まってとても面白い表現
が可能になります。
新しい形を生み出す仕事をしている方にとってはこのような趣味(トレーニン
グ)は自分のアイディアの引き出しを作る良い機会となるでしょう。
もうひとつの先生の思い出は就職のときにいただいた温情です。
つまらない自分の落ち度である自動車会社の入社試験に失敗したわたしは、
研究室にいる先生の元に報告に行くとこっぴどく怒られました。
本来であれば「もう知らん」といわれて終わるところでしたが、
「私が紹介できる会社はもうないけれど、そこに来ている求人の封筒のなか
で受けられるところがあれば武士の情けでもう一度だけ推薦状は書いてやる。
しかしもう一度だけだ」
とおっしゃっていただけたのです。
まじめな学生ではありませんでしたが、今に至るきっかけを作ってくださった
のはまちがいなく先生でした。
3番目は、卒業謝恩会で先生がおっしゃった言葉が忘れられません。
それは
「まだまだ世の中にデザインの価値は十分に理解されているとはいい難い。
だから諸君はずっと工業デザイナーを辞めないで一生の仕事として続けて
それを世に問うて欲しい」
というものでした。
正直、自分がデザイナーからコミュニケーションの仕事に移ろうと考えたときは
この言葉が脳裏をよぎり、かなり逡巡したものです。
もちろん後悔はしていませんが、仕事の中にデザインマインドやクリエイティビ
ティ、その価値を訴えられるように心がけています。
ご挨拶もできないまま30年近くがすぎ、このようなお知らせを聴くことになる
のは残念なことでした。
最後に、ほとんどの授業は上の空でしたが、ひとつだけ印象に残っているのは
扇風機のデザインをされたお話でした。
日本の扇風機が今のように3枚羽根になった最初のデザインをされたのが皆川
先生で、それ以前はすべて4枚羽根だったそうです。
- ブログ移行のお知らせ [04/30]
- 非常時の企業コミュニケーション(2) [04/28]
- ゴールデンウィークに差をつけろ!「短時間で成果を出す発想法」セミナー [04/27]
- 企業広報はストレスの高い仕事?(2) [04/27]
- 企業広報はストレスの高い仕事? [04/27]
- 宣伝会議の「広報担当者養成講座」で「もっとも高評価だった講義」に選ばれました! [04/19]
- ( 社 )日本パブリックリレーションズ協会主催「平成23年度広報PR入門講座」 [04/19]
- 効果的な被災地支援のための画期的なソーシャルメディア活用 [04/18]
- 非常時の企業コミュニケーション(1) [03/25]
- わかりやすさが信頼感 [03/22]
- 3月16日「IABCジャ パンチャプター説明会」中止順延のお知らせ [03/14]
- IABCロシアチャプターVP、Ms.Julia Stonoginaさん来日 [03/10]
- 「Eメールの氾濫」の解決方法--CW Bulletin [03/09]
- ネットを捨てよ(たまには)、町に出よう [03/09]
- セミナーのお知らせ [03/06]
- Annual 100 Best Corporate Citizens List [03/04]
- 20年ぶりの変化と500グラムの減量 [03/04]
- 【お知らせ】3月16日(水)第2回ジャパンチャプター活動説明会開催(参加無料) [02/22]
- 駐日ベルギー王国大使館訪問 [02/21]
- 新しいもの、新しいことを得、新しいアイディアに活かす [02/16]
- 2011年4月(8)
- 2011年3月(9)
- 2011年2月(5)
- 2011年1月(5)
- 2010年12月(6)
- 2010年11月(3)
- 2010年10月(8)
- 2010年9月(6)
- 2010年8月(6)
- 2010年7月(6)
- 2010年6月(15)
- 2010年5月(2)
- 2010年4月(7)
- 2010年3月(6)
- 2010年2月(2)
- 2010年1月(6)
- 2009年12月(5)
- 2009年11月(1)
- 2009年10月(4)
- 2009年9月(4)
- 2009年8月(7)
- 2009年7月(13)
- 2009年6月(13)
- 2009年5月(10)
- 2009年4月(10)
- 2009年3月(7)
- 2009年2月(5)
- 2009年1月(3)
- 2008年12月(5)
- 2008年11月(7)
- 2008年10月(11)
- 2008年9月(10)
- 2008年8月(8)
- 2008年7月(16)
- 2008年6月(7)
- 2008年5月(14)
- 2008年4月(6)
- 2008年3月(7)
- 2008年2月(11)
- 2008年1月(13)
- 2007年12月(4)
- 2007年11月(6)
- 2007年10月(9)
- 2007年9月(7)
- 2007年8月(13)
- 2007年7月(14)
- 2007年6月(9)
- 2007年5月(15)
- 2007年4月(9)
- 2007年3月(10)
- 2007年2月(10)
- 2007年1月(13)
- 2006年12月(13)
- 2006年11月(18)
- 2006年10月(18)
- 2006年9月(17)
- 2006年8月(19)
- 2006年7月(20)
- 2006年6月(22)
- 2006年5月(18)
- 2006年4月(20)
- 2006年3月(2)
コメント一覧
- :舩田雪間[12/01]
- おくやみ 皆川正(まさ)先生
- 初めまして私の母が結婚前に...
- :谷村(新倉)千明[06/13]
- ああ、幻の近藤玲子水中バレエ団
- 私も、タレントでした。はいった時は[人魚姫]でした。。。琴さんひろみさんが...
- :のり[06/10]
- ああ、幻の近藤玲子水中バレエ団
- 79~80年頃水中バレエ劇場で売店・もぎりのバイトをしていました。近藤先生...
- :seo tools[04/16]
- 20年ぶりの変化と500グラムの減量
- 20年ぶりの変化と500グラムの減量 -...
- :celine bags[04/16]
- 20年ぶりの変化と500グラムの減量
- 20年ぶりの変化と500グラムの減量 -...
最新トラックバック
-
ブラウン ニゾ スーパー 8カメラ 561
from CRAFTS DESIGN
( Braun Nizo Super 8 Camera 561 ) 各要素が絶妙なバランスで配置されています。「デザイン」と言うものの美しさを改めて感じる瞬間。 無駄が削ぎ落とされた配置の美学。 ドイツの電気器具メーカー「ブラウン(Braun)」の子会社だった、「ニゾ(Nizo)」による8ミリカメラです。クラシカルでヴィンテージな香り満載です。 ブラウンは、ドイツのモダンインダストリアルデザイン、また機能性と技術の融合と密接な関わりなど、現代のプロダクトデザインに大きな影響を及ぼしてきたメーカーです… -
フェラガモ アウトレット
from フェラガモ アウトレット
50万円のパソコン用キーボード! - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘 -
mbt mens shoes
from mbt mens shoes
企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘 -
Air Jordan?1
from Air Jordan?1
企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘 -
Chanel Perfume
from Chanel Perfume
企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘
コメント