クロスメディア・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 雨宮 和弘 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
来るべき「コミュニケーション・プロフェッショナルの時代」を担う「企業コミュニケーター」養成ブログ
奇異なキャリア(その2)
私の働いていた外資系のハイテク企業は、いわゆるベンチャーではなく、
戦前より技術革新を積み重ねてきた企業でした。
ですので、いわゆる「大企業病」のような状況に陥らないよう、常に積極
的にビジネスプロセスの改善に取り組んでいました。
80年代には日本を中心にTQC(全社的品質管理)、90年代にはリエン
ジニアリングプログラムを導入しました。
リエンジニアリングは、いわば80年代に米国が指向したスペシャリスト
(専門家)指向のゆりもどしのようなもので、あまりに専門家指向が進み
すぎ業務の横のつながりが薄れ、業務プロセスが非効率になり、開発
時間がかかりすぎ、結果、競争力(特に日本に対し)を失った事への反
省と見ることも出来ます。
80年代、米国に出張すると、向こうのスタッフに自己紹介すると決まって
聞かれることがありました。それは、
「お前のメジャー(専門)はなんだ?」
というものです。
「工業デザインだ」
というと
「OK,俺はメカニカルエンジニアリングだ」
というわけです。
これはどういう意味かというと
「国家らこっちは俺の範疇なので侵食するな」
という事なのです。
その当時から終身雇用ではないわけですから、侵食されると職を失う事
につながるからです。これも横のつながりや業務の協調性を妨げる大き
な原因担っていました。
話を戻すと、そのリエンジニアリングのパイロットプログラムのメンバーに
選ばれたのはとてもラッキーでした。
なぜなら、もともとリエンジニアリング的な仕事のやり方をしていたから
です。
このプログラムでは、実際に1年ぐらいかかっていた開発プロセスを半年
ちょっとでやり終えることが出来、一定以上の成果を出すことが出来まし
た。
しかし、とてもわかりやすい(というかロジカルな、というか割り切った)
会社で、年次売り上げ成長率が5%程度の事業部にリエンジニアリング
を導入して半分強まで生産性を上げられる、という事は、3分の1の人件
費が浮く、ということで、パイロットプログラムの半年後、本格的なリストラ
が始まり、米国では実際に相当数のスタッフが解雇されました。
当時、日本側には6人のデザインスタッフがいたのですが、米国側は、
「お前らは日本の雇用なので直接クビには出来ないが、来年の人件費
予算は4人分しか出せない。あとはお前らで考えろ」と言って来たのです。
当時は日本でもバブルがはじけた最中ですので、いきなりデザイナーとし
て独立する、という事は難しい選択でした。
まあ、仮に独立するにしても「景気が悪いからといって、すべてのデザイン
会社がつぶれているわけではないだろう。こんな世の中だからこそ、儲か
っている会社もあるはずだ。そうであれば、それはどんな会社だろうか?」
と自問自答してみたのです。
そして、活躍しているデザイン会社をいくつか探し、その特徴を探ってみま
した。(私の企業調査の原点はここにあります)
すると、成功している会社は
「デザインがうまいのは当たり前。プラスその会社の強みというものを明確
に持っている」
のでした。
すなわち、
「この業務は女性マーケティングだからこの会社」
だとか、
「このプロダクトは東南アジアで生産するので東南アジアの生産調整に強
い会社」
だとか、
「本社が米国なので英語での直接折衝のできる会社」
といったことです。
では、デザイン(も、そもそもそんなに強くはないのですが)以外に自分に
強みといえるものがあるのか?と自問したとき、まだ自信を持っていえるも
のがなかったのです。
どんなものが強みとして自分に加味できるだろうか?とかんがえたとき、
コーポレートコミュニケーショングループだったのです。
このグループは自分が属していたデザインの上位に位置し、トップは上席
副社長、マネージャークラスはほとんどプロフェッショナルとして職能認知
されており、しかも職能団体も存在していました。
当時働いていた日本の子会社には、コミュニケーションを部門横断的に考
える組織や担当はおらず、チャンスと考えた私は広報部長に直談判して
「来年度の私の人件費を買ってくれないか?」と相談していました。
広報部長としても、あまりに無謀な賭け(私の働きがどのぐらいの貢献に
なるかは未知)をするわけにもいかず、
「まずPRマネージャーとして働き、その上でやるのなら認める」
というオファーをくださいました。
やりたいことがはっきりしていると、どんなに忙しくてもまったく苦にならない
から不思議です。
ここから、わたしのコーポレートコミュニケーションへのチャレンジがスタート
しました。
つづきます。
戦前より技術革新を積み重ねてきた企業でした。
ですので、いわゆる「大企業病」のような状況に陥らないよう、常に積極
的にビジネスプロセスの改善に取り組んでいました。
80年代には日本を中心にTQC(全社的品質管理)、90年代にはリエン
ジニアリングプログラムを導入しました。
リエンジニアリングは、いわば80年代に米国が指向したスペシャリスト
(専門家)指向のゆりもどしのようなもので、あまりに専門家指向が進み
すぎ業務の横のつながりが薄れ、業務プロセスが非効率になり、開発
時間がかかりすぎ、結果、競争力(特に日本に対し)を失った事への反
省と見ることも出来ます。
80年代、米国に出張すると、向こうのスタッフに自己紹介すると決まって
聞かれることがありました。それは、
「お前のメジャー(専門)はなんだ?」
というものです。
「工業デザインだ」
というと
「OK,俺はメカニカルエンジニアリングだ」
というわけです。
これはどういう意味かというと
「国家らこっちは俺の範疇なので侵食するな」
という事なのです。
その当時から終身雇用ではないわけですから、侵食されると職を失う事
につながるからです。これも横のつながりや業務の協調性を妨げる大き
な原因担っていました。
話を戻すと、そのリエンジニアリングのパイロットプログラムのメンバーに
選ばれたのはとてもラッキーでした。
なぜなら、もともとリエンジニアリング的な仕事のやり方をしていたから
です。
このプログラムでは、実際に1年ぐらいかかっていた開発プロセスを半年
ちょっとでやり終えることが出来、一定以上の成果を出すことが出来まし
た。
しかし、とてもわかりやすい(というかロジカルな、というか割り切った)
会社で、年次売り上げ成長率が5%程度の事業部にリエンジニアリング
を導入して半分強まで生産性を上げられる、という事は、3分の1の人件
費が浮く、ということで、パイロットプログラムの半年後、本格的なリストラ
が始まり、米国では実際に相当数のスタッフが解雇されました。
当時、日本側には6人のデザインスタッフがいたのですが、米国側は、
「お前らは日本の雇用なので直接クビには出来ないが、来年の人件費
予算は4人分しか出せない。あとはお前らで考えろ」と言って来たのです。
当時は日本でもバブルがはじけた最中ですので、いきなりデザイナーとし
て独立する、という事は難しい選択でした。
まあ、仮に独立するにしても「景気が悪いからといって、すべてのデザイン
会社がつぶれているわけではないだろう。こんな世の中だからこそ、儲か
っている会社もあるはずだ。そうであれば、それはどんな会社だろうか?」
と自問自答してみたのです。
そして、活躍しているデザイン会社をいくつか探し、その特徴を探ってみま
した。(私の企業調査の原点はここにあります)
すると、成功している会社は
「デザインがうまいのは当たり前。プラスその会社の強みというものを明確
に持っている」
のでした。
すなわち、
「この業務は女性マーケティングだからこの会社」
だとか、
「このプロダクトは東南アジアで生産するので東南アジアの生産調整に強
い会社」
だとか、
「本社が米国なので英語での直接折衝のできる会社」
といったことです。
では、デザイン(も、そもそもそんなに強くはないのですが)以外に自分に
強みといえるものがあるのか?と自問したとき、まだ自信を持っていえるも
のがなかったのです。
どんなものが強みとして自分に加味できるだろうか?とかんがえたとき、
コーポレートコミュニケーショングループだったのです。
このグループは自分が属していたデザインの上位に位置し、トップは上席
副社長、マネージャークラスはほとんどプロフェッショナルとして職能認知
されており、しかも職能団体も存在していました。
当時働いていた日本の子会社には、コミュニケーションを部門横断的に考
える組織や担当はおらず、チャンスと考えた私は広報部長に直談判して
「来年度の私の人件費を買ってくれないか?」と相談していました。
広報部長としても、あまりに無謀な賭け(私の働きがどのぐらいの貢献に
なるかは未知)をするわけにもいかず、
「まずPRマネージャーとして働き、その上でやるのなら認める」
というオファーをくださいました。
やりたいことがはっきりしていると、どんなに忙しくてもまったく苦にならない
から不思議です。
ここから、わたしのコーポレートコミュニケーションへのチャレンジがスタート
しました。
つづきます。
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