大きくする 標準 小さくする

«前の記事へ 次の記事へ»


キングジムの「ポメラ」に見る現代のマーケットコミュニケーション(3)

投稿日時:2008/12/17(水) 13:32rss

マス広告やニュースリリースの一斉配信によるメディアリレーションの限界という
ようなものがささやかれ始めた。
コンスーマー向けビジネスであろうとビジネス向けであろうと、マーケットコミュニ
ケーションやカスタマーリレーションのあり方を考え直さなければならない時期に
きているのだろう。
「広告だけにお金をかけても企業イメージやブランドを維持できない会社が出て
きた」とさえ言われている。
しかし多くの広報担当者は、今までどおりのメディアリレーションから新たなカバ
レージや影響力が生まれにくい事がわかっていても、踏み出せないままでいる。

先月、キングジムが発売した「ポメラ」と言う商品がある。
私は現物を見ずに予約し、発売日に入手して使っているのだが、この製品は当
初マスメディアによる懐疑的なコメントが多かった。

http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/103/10011390.html
http://crossmedia.keikai.topblog.jp/blog/101/10011657.html

しかしその後の状況を見ると様子は一変している。(ファーストロットは完売)

その一旦としてソーシャルネットワークのMixi上でのコミュニティ展開を見てみよう。

ミクシィの「ポメラ」コミュニティはすでに参加者が450人。

中には有名なブロガーも参加しているのだが、みなとても活発で、すでに自主的な
イベントを開催し(参加無料)、メーカーの開発者を呼んでオフ会を開き、意見交換
をしている。
  →参加者のブログ

また、「広報室」と言うトピックではどこのメディアにどんなカバレージがあったか
をみんなでピックアップし、それについて感想を述べ合っている。これらはいまま
でお金を払ってPRエージェンシーにお願いしていたような業務だ。
その他、このコミュニティではユーザーインプレッション、新しいアイディア、価格
情報、バックアップソフト、バグ情報の共有、ATOK(FEP)の変換できない漢字の
一覧から「すでにここが壊れた」と言う話まで、かなり活発な情報共有がなされて
いる。傑作なのは原宿のデザインコンセプトショップ、アシストオンのアドバイザー
の大谷和利さんのアイディアで、カバーの塗装が硬質で厚いことを利用し、ホワイ
トボードとして活用する、というものだ。
http://wiredvision.jp/blog/gadgetlab/200811/20081125170000.html
先日の「ディーター・ラムス展」の影響ではないが、この製品の外装カバーにロゴ
や商品名などのプリントが一切ないからできたことだ。(この点も秀逸)


もちろん「顧客が本当に望む商品やサービスありき」なのかも知れないが、完璧な
製品ではなくとも、ここに参加している人たちは自分たちだけで意見交換をするだけ
ではなく、「僕たちが意見を言い、企業が一緒に一緒に考えてくれることでさらに
良い商品を作ってくれるだろう」という期待値が大きいのだ。ユーザーはただ商品を
買うだけではなく、メーカーとの「関係性」を欲しているのだろう。(それが企業コミュ
ニケーション)

企業がこれらの意見を聞くことは言うまでもなく重要だし、広告やイベント、金銭で
時間を買うグループインタビューと比べても同等以上の高い価値を見い出すことが
できるはずだ。

これからのマーケットコミュニケーションはこれらのコミュニティの存在なしには成立
しないのかもしれない。企業はコミュニティを自ら提供(コントロールはできない)する
か、その存在に気づき、認め、サポートするか、だ。

私自身は「ポメラ」のマス広告をまだ一度も見た事はないが、12月中旬の現時点で
ほとんどの店舗、オンラインショップで「在庫切れ入荷待ち」の状況だ。

トラックバック一覧

コメント


突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました!
コーチ バッグ http://coachpursesoutlets.sinaapp.com/

Posted by コーチ バッグ at 2012/10/15 08:03:46 PASS:
名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード:

会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

詳細へ

個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

詳細へ

最近の記事

このブログの記事タイトル一覧(583)


<<  2024年3月  >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

コメント一覧

最新トラックバック

  • ブラウン ニゾ スーパー 8カメラ 561 from CRAFTS DESIGN
    ( Braun Nizo Super 8 Camera 561 ) 各要素が絶妙なバランスで配置されています。「デザイン」と言うものの美しさを改めて感じる瞬間。 無駄が削ぎ落とされた配置の美学。 ドイツの電気器具メーカー「ブラウン(Braun)」の子会社だった、「ニゾ(Nizo)」による8ミリカメラです。クラシカルでヴィンテージな香り満載です。 ブラウンは、ドイツのモダンインダストリアルデザイン、また機能性と技術の融合と密接な関わりなど、現代のプロダクトデザインに大きな影響を及ぼしてきたメーカーです…
  • フェラガモ アウトレット from フェラガモ アウトレット
    50万円のパソコン用キーボード! - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘
  • mbt mens shoes from mbt mens shoes
    企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘
  • Air Jordan?1 from Air Jordan?1
    企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘
  • Chanel Perfume from Chanel Perfume
    企業広報誌 - クロスメディア・コミュニケーションズ 代表取締役 雨宮和弘