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IABCアジアコンファレンス@香港 (4)4月9日

投稿日時:2010/04/26(月) 10:16rss

コンファレンス3日目は早くも最終日。会場では朝食も提供されるので、
みんな早めに来てそれぞれ立ち話や積極的に情報交換をしています。

以前はノートPCを抱えている人が多かったのですが、最近はほとんど
見かけません。逆にiPhoneやブラックベリーを持つ人がほとんどです。

以下、2日目に参加したセッションのタイトルと寸評です。
「4月9日」

7.モーニングキーノート:社員の意識共有を促す新たなルール
Mark Schumann, ABC


IABCのプレジデントでもあるマークシャーマンさんのプレゼンテーシ
ョンはオープニングレセプションのテーマを継承するものでした。
IABCに参加するようになって強く感じることですが、多くの企業や
団体が「社内コミュニケーション」をとても重要な経営マターとして
捉えているということです。

8.アジアでのブランドプレゼンス:BASF
Christian Schubert / BASF


ケミカル業界の企業の評判はイノベーションではあまり高くないのに
「環境危機や危険」というキーワードだとトップに来るという状況にある
ため、継続的な安全性へのコミットメントを表出していくこと以外に信
頼を得る方法は無いと考えているようです。

また、「サスティナビリティ」という言葉はCSRなどでよく使われますが
流行り言葉のようで耳障りは良いですが具体的にその企業の考えや
行動に落とし込めていないところが多い、という指摘はドキットするもの
がありました。

BASFでは「自社の立場」でモノを言うのではなく、社会市民の立場で
それに応えようとしているようです。
たとえば「アフリカは地理的にはヨーロッパ、アジア、アメリカの中心に
位置するのに、その世界の真ん中が一番貧困なのはおかしいのでは
ないか?」というような提言です。

また自国やヨーロッパで展開するキャンペーンやコミュニケーションのア
プローチを翻訳レベルでそのまま他の地域(特にアジア)に持ってきて
も機能しない場合が多い、というのも面白い考察でした。
ローカルのコミュニケーショントレンドやビジュアルランゲージの理解無
しにはブランドの確立は難しい、ということです。

basf1

9.なぜ「エンプロイコミュニケーション」は経営の重要課題なのか
Paul Matalucci, ABC / Wordwright Communications, Inc.
Pauline Young / Wordwright Communications, Inc.


これは広報や人事担当者のみならず、わたしのように外部から企業の
コミュニケーションに携わる立場にとってもとても価値のあるセッション
でした。(もちろん経営者にとっても)
アメリカ的かもしれませんが、このセッションも前日のユニリーバと同様、
ロジカルなアプローチを取っています。

通常、「エンプロイコミュニケーション」というと、経営者の言いたいことを
どう効率よく社員に届けるか、というベクトルで考えることが多いのです
が、逆に社員を通して社会の変化やニーズ、課題など、経営者が欲しが
る情報を届け価値化していくところから始めるというのが興味深いところ
です。
また、エンプロイコミュニケーションの課題が解決できない理由の多くは
ツールや仕組みではなく、それをドライブする担当者の育成が滞っている
ところにあり、社員の生産性の低下や離職のコストと比較して担当者の
育成と維持コストがとても安いと説明していました。

多くの企業が「伝えればよい」程度の意識でいるため人材育成の方法や
キャリアモデルが十分で無い状況だ、というのは日本企業でも同じでは
ないでしょうか?

young1

10.キーノートランチョン:社会を変革させるコミュニケーション
Tony Meloto / Gawad Kalinga


トニーさんは社会福祉団体ガワード・カリンガに属し、フィリピンのスラムの
環境改善に尽力されている方です。
フィリピンは貧富の差の激しい国で、国を繁栄させるためにはその解消が
欠かせない、と貧困地区に家を建て、自立を支援する農場や灌漑施設、
教育施設などを作っています。
これらのプロジェクトが今日かなりの成果を見い出している要因は、ひとり
の人間の情熱だけではなく、類まれなるコミュニケーションリーダーシップ
にあるということが伝わってきました。

meloto

11.ソーシャルメディア時代の危機管理
Gerry McCusker / Engage ORM (Online Reputation Management)


ネットの発達によって以前にもまして企業の不祥事や事件、事故が数多く
取りざたされるようになってきました。
「ほとんどの場合、それは企業の独善性とコミュニケーション品質の低さに
ある」とジェリーは説きます。

広報の仕事は「公聴(意見を聞き入れる)」ことの重みが増してきたとも言
えるでしょう。
北米では50%以上の企業がネットの無料モニターツールを活用している
と言っていました。さまざまなツールの紹介と共にそれらを通じて常に事
実の確認とレポート、対応を行う詳細なプロセスを紹介してくれました。
これは非常に役立つ内容でした。

gerry

12.アジアのメディアを理解する
Moderator / Thomas Crampton / Ogilvy Public Relations Worldwide
Panelists / Mary E. Kissel / The Wall Street Journal Asia
Kenneth Howe / South China Morning Post
Jasper Chan / Alibaba Group


オグルビーのトーマスさんが改めてモデレーターとなり、アジアのメディアや
企業のパネリストと、マスメディアの特徴を議論しました。

アジアはさまざまな国や文化が集まる地域なので、情報価値の捉え方が
難しいのが現実です。「マスメディア」も単にニュースを伝えるということだけ
では存在意義を問われるようになってきているということなのです。

一番印象に残っているコメントは
「企業はプレスリリースに”事実”を書いてよこすが、われわれが欲しいのは
”アイディア”なんだ。それが記事(価値)となることを理解して欲しい」
というものでした。

参考になります。

asiamedia

13.クロージングキーノート:企業コミュニケーションの将来
Steve Crescenzo / Crescenzo Communications


クロージングキーノートはグローバルコンファレンスでも人気のスティーブ・ク
レセンゾさんが、キャリアモデルとしての企業コミュニケーターが、これから5年で
どのような変容を遂げるのか、という未来志向の話をしてくれました。

メディアの移り変わりやテクノロジーの進歩への対応など、さまざまな要素が
ありますが、それらに振り回されることなく、結果(=ビジネスや社会への貢献)
を出すために重要な資質はずばり「クリエイティビティ」だと述べています。

厳しく、急速な変化が起こりえる現代においては「ヒト、モノ、カネ」が無いから
何も出来ない、では始まらない、ということです。

そのためには
1.他者理解や感受性
2.ストーリーの発見と伝え方
3.マネジメントだけでなく社員みんなのコミュニケーションを活発にさせるための
  コーチング、アドバイス、アシスタンス
がキーになるでしょう。

奇しくもオープニングでマークシャーマンさんがおっしゃっていた

「だからこそプロのコミュニケーターの役割は、リーダーや企業の特
質をとらまえ、人々が求めていることに応えるところにあるのです。」

に見事に呼応する内容でした。

cresenzo

       ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

あっという間の2日半でしたが、強く感じたことは
「日本企業や社会の存在の希薄さ」
でした。

正直、日本からの参加者はわたし一人ですからしょうがないのですが、個別に話を
すると、結構みんな日本に興味を持っているのがわかります。
しかし相手がどのような興味を持っているか聴く機会がなければ、伝える(伝わる)
きっかけになりえない、ということなのです。


「グローバルコミュニケーション」、「コミュニケーションリーダーシップ」、「グローバル
ソーシャルレスポンシビリティ」
どれも日本企業や社会の弱い、あるいは欠けているといっても過言ではないテーマです。
まさに「ジャパン・パッシング」がなされている現状を踏まえ、逆にこれらの意識付けから
コミュニケーター人材の育成を行うことが日本企業や社会に必要なことなのではないでしょうか。

アジア大会は「グローバルコンファレンスのダウンサイズ」程度に考えていた私にとって
逆にかなり考えさせられる機会になり、参加して本当によかったと思いました。

jim1
最後のセッションで偶然隣に座った男性(手前の白いシャツ)の方は、私以外に
日本から参加された唯一の方で、沖縄の米国海兵隊の広報の方でした。
もちろん日本でのIABCの活動にも大きな興味を持ってくださっていました。
最後にまた、強い味方を得ることが出来ました!

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1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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