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話の通じない制作会社が多い

投稿日時:2007/11/21(水) 15:12rss

前回のエントリーでセミナーの参加者から「自分たちは社内の業務
プロセスについての理解が足りていなかった」という話が出たことを
紹介した。

引き続きだが他の参加者からは「ウェブに限らずなんだけど制作会社
の質が落ちてきているのか、話の通じない会社が多い」という意見も
何件か見受けられた。

これは耳の痛い話だ。
しかもよく聞くと決して制作会社だけが悪いという一方的な話ではな
さそうだ。
担当者自身も自分の知識不足(特にIT関連)や何からやればよいの
かという優先度付けができない問題もあり、効果測定もしっかりでき
ないのでさらに話がわかっていない上司を説得するなんて到底無理
、やりたいことをきちんとした要件定義書に落とすことができないとい
う5重苦の状況なのだ。
こういう状況を察知したうえで、現実的なサポートをしてくれる制作会
社を望んでいる、というのが企業担当者側の本音なのかもしれない。

さらに話を聞くと話の通じない制作会社」には以下のような共通点が
あるようだ。以下は数名の現場担当者から聞いた話だ。

1.とにかく最先端技術やツールを提案したがる
SEOやLPO、CMSやSNSといった具合で3文字英単語が大好き。
自分たちが導入すべき理由がなくても「他の会社もやっていますの
で」と、とにかく飢餓感をあおる。

2.デザインを押し付ける
「今のトレンドはこういうレイアウト」とか「大手の多くで採用されている」
などといいながら無個性なデザインを提案する。しかし「私たちがこの
デザインを採用すると、どういうメリットがあるのかは具体的には教え
てもらえない。(ロジカルに語れない)

3.「戦略」という言葉が好きでやたらと使いたがる
確かに仕事が高級に聞こえるマジックワードだ。
しかし「戦略」には「それによって築かれるものやもたらされるメリット」
が明確でなければならない。また、そこに至るプロセスが明文化され
ていなければ「とにかくがんばれ」程度のものにしかならないはずだ。
そのあたりがあいまいな「戦略」提案が多いそうだ。

4.そのチーム編成の根拠は?
見積もりに順ずる形で関与するスタッフィングの数を見て驚く。
冷静に考えるとその会社がまわしている年間のプロジェクト数と売り
上げを見れば一人のスタッフが複数のプロジェクトをタイミングを見て
切り盛りしているのがわかる。それ自体は常識的な範囲であれば別
に問題とはいえない。
しかし見積もりにはあたかもフルコミットするがごとくの人件費が計上
されていることも少なくないという。

私自身の会社で言えば、あるクライアントにはこのあたりまで正確に
聞いてきて実行実現性を問われたことがある。

5.自分たちのプロセスに当てはめたがる
「私たちのやり方はこうだ」というプロセスに拘泥し、フレキシビリティ
にかける会社が多いそうだ。
企業が「ここからここまでは自分たちでできるので端折りたい」といっ
ても聞いてくれない。
たしかに「ウェブを作るということはこういうことだ」という理屈もわかる。
そのこと自体に以前よりも多くのプロセスが介在し、きちんと考えな
ければならない事が増えたのもわかる。
しかし一つ一つのコミュニケーションモデルはユニークだ。
もちろん「完璧なリニューアル」がゴールとならない場合もある。
そうであればヒアリングを通じて相互理解を進めてからプロセスを見
直すということでも良いのかもしれない。

正直に言うと、この点に関しては書いている私自身も自社のサービス
においてフレキシビリティに欠けていたことは否めない。

つい先日のことだが、あるベンチャー企業から相談を受けた。
2ヶ月足らずで会社概要(企業情報サイト)だけをリニューアルしたい、
というオーダーだった。
最低でも3ヶ月。余裕があれば半年近くかけてコンテンツの質を導き
だしたいと考えた。
しかし担当者はどうしても納期を延ばすことに承諾してもらえなかった。

そのとき私たちにかけていたことは
「伸ばせないよっぽどの理由とは何だったのだろう?」
という相手への理解力だった。

それがどんな理由であれ、まずはコミットしてしまうことで同じ土俵に
あがることもできたのではなかっただろうか。

数日前に社長交代のインタビューの記事を新聞で見つけ、担当者の
顔がぱっと浮かび、申し訳ない気持ちで一杯になった。

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会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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