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2010年06月18日(金)更新

IABC2010トロント参加記(1)

先週いっぱい、カナダのトロントに行っていました。

IABC(International Association of Business Communicators)
アニュアルコンファレンスで、参加するのはニューヨーク、サンフ
ランシスコに続き3回目です。

カナダに来るのは5年ぶり。前回は仕事のついでにバンクーバーに
住むガラス工芸アーティストに会いに行ったのですが、トロントは
バンクーバーにひけをとらない美しい町でした。

テキサスのダラスのような、ひたすら地平、というところも好きで
すがやはりウォーターフロントの街はなんとなくほっとしますね。
仕事なのでできるだけ疲れたくはないと思うものの旅費の軽減で米
国トランジットの飛行機を取りました。やはり米国入国審査はとて
も厳しく、乗り継ぎはぎりぎりで少しヒヤッとしました。

今回のデトロイトもそうですがアメリカのハブ空港の大きさは尋常で
はなく、さりとて走ると周りの人がパニックになると聞くのでなんだか
競歩しているような感じでした。
比較するとトロントの入国はあっけなく、拍子抜けするようなものでし
た。

ホテル送迎の乗り合いバスで20分ちょっとですから空港と都市の
距離を考えるとトロントは利便性の高い都市だという事がわかります。
(SFは電車で30分、)
成田は都心まで70キロ以上ありますから1時間半。
厳しいものがありますね。

torontobus

いつものことですが会場になるのはヒルトンやシェラトン。
会員価格だとは言えそれでも高いので2ブロックほど離れた安めの
ホテルを取りました。
アメリカにしては小さめのワンルームですがバスタブはあるし、ベ
ッドも大きいので十分です。
なによりここはモダンデザインで室内が木のフローリング、湖が近
いせいとフロアが6階で窓が開けられることであまり激しく乾燥し
ないので居心地が良く助かりました。

strascona

トロントはとてもわかりやすい町でほとんどの通りが縦横のグリッ
ドになっており、センターから10ブロック(徒歩20分)圏内で
ある程度まとまっているので時間があれば歩いても周れる感じです。

torontosky

ちょうど会場のホテルの東がショッピングモール、西側のストリー
トが個性的な店やブティックなどが並ぶエリア、その上が中華街、
イタリア街。まるでニューヨークのようですがあれほど高層ビルが
いっぱいあるわけではないので見通しや日当たりはよさそうです。

到着が夕方なので初日はホテルの周りを散策して終了。

toronto0609night

2010年06月15日(火)更新

Time Magazine 6/14 ワールドカップの一方、アフリカの妊産婦の現

先週、IABCのアニュアル・コンファレンスで、一週間カナダのトロントに
行っていました。
レポートはまとめて数日後に書きます。

さていよいよワールドカップが始まりました。
オープニングゲームの南アフリカ対メキシコはちょうどトロントの空港
で出発待ちをしているときに見られました。

帰国後は時差ぼけが幸いしてか、夜中のゲームは以上に集中して
見られます。(日中の午後にツケがくるのですが)

トロントで書店に寄ったとき、手に取った「Time Magazine」。
もちろん特集はワールドカップ。
しかしページをめくっていくと、そこに驚愕のフォトレポートがあったの
です。

それは、アフリカの妊産婦の置かれている現状。
十分な設備がないまま出産をすることで命を落とす母親が少なくない
というもので、たまたまなのでしょうがその一部始終を写真取材してい
るものです。
命を育むことに現代でもそんなにリスクがあるというのは信じられませ
ん。
帰国してタイムマガジンのウェブサイトに、そのフォトレポートがアップさ
れているのを発見しました。

sierraleone


英語のナレーションは簡単に要約してみました。
ご参照までに。

==========================================================
アフリカ、大西洋岸に位置するシエナレオネ共和国での、妊産婦死亡の
現状のフォトドキュメンタリー


概要

シエナレオネ共和国は妊産婦の死亡率が世界で最も高い国のひとつです。

8月、ジャーナリストが立ち寄った国内最大規模の病院で、ちょうど出産した
女性に出会いました。ところがその女性は、その直後に大量出血を起こしま
した。

ドクターやナースたちが必死の処置を施しますが、間に合わず、女性は生ま
れたばかりの娘がお腹をすかして泣いているすぐ横で亡くなりました。

実はこの病院には医療物資が常備されていません。
そのため親族が輸血用の血液を提供し、点滴用の薬から綿棒といった物ま
で手に入れなければなりません。

生まれたばかりの赤ちゃんは、同じように母親を出産でなくした多くの子ども
たちのように、写真でしかその姿を見ることが出来ず、周囲から話をしてもら
うことでしか、母親の面影を知ることはもうありません。

==========================================================

この状況を少しでも改善しようと働きかけているNGOが日本に存在します。

国際協力NGO ジョイセフ (財団法人 家族計画国際協力財団)
http://www.joicfp.or.jp/jp/


海外支援のNGOは沢山ありますが、日本発、しかも40年続けている団体
というのは稀有だと思います。

伺った話です。
日本も戦前は妊産婦死亡率が高く、お産にもかなりリスクが生じていたそう
です。
そこでジョイセフの創設者であった國井長次郎さんが戦後、民間団体の活動
の中で検便による回虫や鉤虫などの寄生虫駆除から公衆衛生、予防医学、
家族計画および母子保健の普及に努め、戦後復興から高度成長を支えた日
本人の健康改善に大きく寄与したのだそうです。
結果、日本は世界一安全にお産ができる国(妊産婦死亡率が最低)となった
のだそうです。
ジョイセフはその活動を基盤に国際協力という形で日本を代表し、海外に活動
拠点を広げています。

仕事を通じてこの団体の広報に関わらせていただきました。
ウェブサイトをぜひ見てください。

2010年06月07日(月)更新

HMV渋谷店閉店のニュース

残念なお話ですが音楽販売の大手、HMVの渋谷店が8月中旬で
閉店されるというニュースを読みました。

音楽がダウンロード販売へと向かう中、また、若者の音楽離れの
傾向が強まっているといわれる中、いたしかたないことなのかも
知れません。

私自身もいまだに年間数百枚のCDを買うとはいえ、そのほとん
どが中古、新品はほぼネット通販です。時々HMVにも立ち寄り
ますがいわゆる店員の方のお勧めによる偶然の出会いを期待する
時ぐらいになりました。

この渋谷店、実はほかにもいろいろな思い出があります。
ちょうど12年前に私が独立した当初、最初にレギュラーの仕事
をさせていただいたのがHMVさんだったのです。

当時の人事部長の方が声をかけてくださり、社内コミュニケーシ
ョンの強化で社内報を作りたいというお仕事を3年ほどやらせて
いただきました。

実は当時からHMVの特徴は従業員教育の徹底で、他社に比べても
格段に厳しい接客マニュアルを持っていたのです。その理解徹底の
バックサポートを面白楽しくやりたい、というのがコンセプトでした。

働く人の平均年齢が20代前半、文字離れが進んでいる中で、どう
やって手にとってもらえるか、いろいろと工夫しました。
「新聞には4コマ漫画だよね。そのぐらい柔らかくいこうよ」
の一言で、ネットで4コマ漫画をやっている人を探し、会ったこと
もないのに契約し、彼が上京してきたときに会ったら、それが入社
面談になって以降4年ぐらい一緒に働きました。これも奇遇でした。

メトロニュースを参考に、幅は給与明細スリップと同じ縦型の蛇腹
折の体裁にして、給料日に一緒に渡してジーンズのバックポケット
に入れてもらう、というところまで計算しました。

企画としてはとにかく人を紹介しようということで、各店舗ごとに
プリクラとコメントを寄せてもらい、それをそのままスキャンして
原稿にしました。これは画期的でした。プリクラの解像度と情報量
はばかにならないのです。

また、HMVさんの特徴は社員のなかからかなり大胆な抜擢で店長
に昇進する方も少なくないことで、当時渋谷基幹店ができるという
ことで初代店長になるという若い方と建築現場に入り、フロアの
ブループリントを見ながらインタビューしたのを覚えています。

そういう意味で驚いたのが、仕事を形成する人間力の強化に対する
投資の大変さです。
一昨年に行ったニューヨークでも市内のバージンが閉店し、大型
CDショップが姿を消しました。昨年のサンフランシスコも同じです
実店舗の閉鎖や縮小は時代の流れで否めないのかもしれませんが
このようなノウハウや人的資産が可視できなくなるのは本当に
つらいことですね。
ユーザーレビューだけでなく現場で見る担当者のお勧めがネットで
もうまく活かせることを期待しています。

わたしにとっては一番レコードやCDにお金をかけていた時期に通
ったのが六本木のWAVEでした。WAVEが閉店した時期にできたのが
HMV渋谷というのも時代でしたね。

今、音楽を通じてほっとするのは身近に20代前半でレッドツェペリン
を聴くような友人(!)がいることでしょうか。

一昨日からIABCのコンファレンスでトロントに来ていますが一番
最初に買ったのはパールジャムのLPでした。
しかも新品です。(やれやれ)
まるで原宿のようなファッショナブルな表通りにも、そのような
レコードショップがまだ存在するのでとてもほっとします。

2010年06月04日(金)更新

明日からトロントに行って来ます。

明日から1週間、カナダのトロントに行って来ます。

今年で3年目ですが、
IABC(International Association of Business Communicators)という
ビジネスコミュニケーションのプロフェッショナル団体の年次コンファレ
ンスに参加します。
実はここの所、納品、見積り依頼、コンペが続き、加えて月末の処理
でばたばたしている状況でしたが、年に一度の大事な情報収集の場
なので今から行くのが楽しみです。(準備はほとんどしていません)

職能を限定せず、広報、人事、総務、経営、マーケの人たちが集まり、
企業におけるコミュニケーション課題を議論するという場はまだまだ
日本では稀有なので沢山の刺激を受けます。

3度目の正直ですが、今回は帰国と共に日本でのIABCの活動を本格
的にはじめるつもりです。
来年は皆さんも一緒に行きませんか?

今年はメーカーの方も同行し日本からは5名参加します。
(うち1名は沖縄の海兵隊広報のアメリカ人の方ですが)

欧米企業の事例や考え方が、即多くの日本企業に適用できるとは考
えていませんが、彼らは常に物事の解決にチャレンジがあるのです。
ノウハウではなく、その思考だけでも学ぶものが少なくありません。

出来ない言い訳をやめたときには使えるものが多い、と申し上げてお
きましょう。

それでは!

2010年06月04日(金)更新

雑誌「PHOTOGRAPHICA」19号

写真は好きですがあまりうまくありません。
昨日の展覧会もそうですが、ここのところ写真雑誌や展覧会を
よく買っています。

今日は午前中に大型書店でブレストウォーキング(本を見ながら
歩くと発想がわく)をしていたのですが、偶然目に留まった写真
雑誌が「PHOTOGRAPHICA」19号でした。

前号は4月に見に行った写真美術館の森村泰昌の作品の特集
でした(会場で売っていた図録のほうが断然良いですが)。
今号の特集は「日本人の肖像」。

photographica

これがすばらしい!「うめかよ」さんと「荒木経惟 」さんの2本立て。

「うめかよ」さんといえば、じじいの頭の上にバナナやセミの抜け殻
乗せて写真とってしまう人ですが、被写体の子供や老人が心を
開いているのが伝わってくるんですね。
まるで親子で写真を撮っているようです。

荒木経惟 さんの特集も画期的なのです。
一昨年に熊本市現代美術館で開催された「熊本ララバイ」の母子像
が特集されています。
これは先日日比谷のギャラリーで数点だけ見ることが出来たので
すが、熊本展の目録は当時の会期中に売り切れ、現在ヤフオクで
2万円近いプレミアが付いています(異常)。

赤ちゃんを抱いたお母さんのヌード。でもそこにあるのは母ではなく
「女」。これは荒木さんにしか撮れないのでしょうね。

現物は等身大以上の大きさのプリントでしたが、本でも十分楽しめ
ます。ヤフオクに手を出さなくてよかった(笑)。

2010年06月03日(木)更新

カバーガールズ写真展@青山スパイラル

通勤で地下鉄表参道駅を使う楽しみの一つに広告があります。

先週は嵐の二宮くんがウィンクするレンチキュラーの巨大ポス
ターがありました(チョット欲しかった)。

今週は改札を出るとモノトーンの美女たちがこちらに視線を
送っていました。

それはスパイラルホールで開かれている「カバーガールズ写真
展」
の告知でした。
写真家の宮本直孝さんの写真がホールに大きく展示されていて
とてもダイナミックです。

covergirls

本当は昼食後に眺めて帰るだけ、と思っていたのですが、大判の
作品集の出来がよく、売り上げがWFP 国連世界食料計画に全額
寄付されるということもあり買い求めてしまいました。
仕事の顔とはまた違った表情を見せるモデルや女優の皆さんが
とてもよかったです。

近所の方は会期中にスパイラルカフェでランチされるとなかなか
良い眺めですよ。

2010年06月02日(水)更新

7月のセミナー:宣伝会議主催「インターネット広報講座」

あっという間に6月になってしまいました。

4月~5月(あるいは9月~11月)はセミナーシーズンで毎年かなりの
本数をこなすのですが、6月~8月はやはり沈静化します。

景気の戻り、というわけではないと思いますが、今年は7月~8月に
すでに何本かセミナーをオファーをいただいています。

そのうちのひとつが通年メインでお世話になっている宣伝会議さんの
「インターネット広報講座」
です。
元々スタート当初より評判はよかったのですが、より参加しやすくして
欲しいということで、今年から間を開けて2日間集中で行うようになりま
した。

その分、座学に偏ることなくワークショップなどを取り込むことで参加者
同士の課題の共有も出来るようにしてあります。

sendenkaigiseminar1

sendenkaigiseminar2

セミナーの参加は知識を得るためだけではもったいないと思います。
せっかく同じ仕事をしている他社の方が数十人もいるのですから、うまく
リレーションを作って情報交換をすべきだと思います。
ワークショップの実施が評価されるのは、そのきっかけ作りとして有効
だ、というところにもあると思います。

米国のコンファレンスやセミナーに参加すると、参加者からの質疑の時
間をたっぷり取ります。

講義では話すことがいっぱいで質疑の時間が限られますが出来るだけ
居残るようにしていますので、今回以降参加される方はぜひつかまえて
ご質問ください。

沢山の方とお会いできるのを楽しみにしています。

セミナー詳細、参加申込書のpdfはこちらにあります。


まだ時間はあると思いますが、通年この講座は満席売り切れています。
ご登録はお早めにどうぞ。

2010年05月28日(金)更新

5月のセミナー終了

昨日、大阪から帰ってきました。

5月のセミナーは3本ありましたが、うち2本は終日(6時間)セミナー
だったのでハードでした。

例年、春先はこのぐらい入っているのですが、昨年と比較すると参加
企業が元気になってきているな、と感じました。

特に大阪は街も活気づいているような気がします。
景気は西から盛り返してきているのでしょうか?
5月中旬はバンフーさんの主催で「ビジネスに打ち勝つ情報収集・活
用術」
と題した無料セミナーでした。

これも定員いっぱい集まっていただきました。
やはり普段ひとコマ2時間で組み立てていることが多く、少し性急な
感じになってしまいましたが、終了後のアンケートも好評でホッとし
ました。
ノウハウだけならいくらでも本が出ていますし、ツールも無料のもの
がいっぱいありますよね。20年の実践から「続けられる」コツとヒン
トをお話したつもりです。

共同PRさんの「広報の学校」では、ウェブサイト管理者になったばか
りの方向けに「オンラインPR実務基礎講座」としました。
「どこから手をつけてよいかわからない」状態から、すべきこと、学
ぶべきこと、そのプロセスをお話していきました。
途中、グループワークで課題の共有が出来たことも評価いただきまし
た。

昨日は日本経営協会さんの「インターネット広報実践講座」
こちらはどちらかというと「広報」の視点で、コミュニケーション活
動の中でインターネットの活用をどう位置づけるか、という話を展開
していきました。

印象的だったのは参加者の方の「元気」ですね。かなり食いついて
話を聞いてくださっているのがわかりました。大阪が元気、と感じ
たのも、そのせいかもしれません。

5月の3本のセミナーはそれぞれ微妙にスコープが違うのですが、
年間にこういう濃いセミナーが何回かあるとだんだん目的に応じた
アレンジが出来るようになってきます。ただしネット関連は事例が
常に出てくるので、話の流れを壊さずにレジメを絞るのが大変で、
詰め込んだままだと年々早口になってくるような気がしています。

6月はIABCのグローバルコンファレンスに参加予定。今度は自分が
学んできます。
幸い6月はセミナーが入っていないのたっぷり吸収し、また7月の
宣伝会議さんのセミナーからブラッシュアップして頑張っていきま
す。

そんなこんなで、きっとあっという間に夏ですね。

2010年05月14日(金)更新

5月19日(無料)「ビジネスに打ち勝つ情報収集・活用術」セミナー

常日頃、名刺や年賀状、パンフレットの印刷などで強い味方になって
くれているバンフーさんの主催で
ビジネスに打ち勝つ情報収集・活用術」と題し、来週
無料のセミナー

を実施することになりました。

もしご興味があればぜひご参加ください。
(詳細は↑こちらのリンクにて。PDFの案内状もあります)

内容は、
=============================================
近年、インターネットの発達により、誰でも情報を簡単に得ることができ
るようになりました。その反面、情報過多となり、その中から有益な情報
を探し出すことが難しくなって、実生活やビジネスにうまく活かせなくな
っています。そこで、第33回ビジネスセミナーは、

・新聞、WEB(グーグル、ツイッター)、テレビの使い分け
・有意義な情報、無駄な情報の判別
・効率的な情報収集法
・明日から出来る簡単マーケティング法

を中心に、情報収集・活用術を伝授いたします。
=============================================

というものですが、実際には具体的な手法中心のハウツーの内容ではあり
ません。

どちらかというと、心構えというか、どういう行動基準と価値基準を持て
ば情報活用がうまく行くか、継続できるか、という話が中心になります。

事例や具体的な活用方法ももちろんご紹介しますが、一般論ではなくでき
るだけ自信が実践している(私自身の体験として話せる)内容に沿ってご
紹介するつもりです。

なぜ価値基準の話を重要視するかというと、テクニックに根ざしたノウハ
ウだけでは技術革新の変化が激しい時代で継続していくことが難しいと思
うからなのです。
また、どんどん情報が溢れて身動き取れなくなってしまいます。
(かつての私はそうでした)

少しひいた視点からの考察ですが、考えるきっかけにしていただければと
思います。

今回のセミナーは、教育関連の事業を行っている古くからの友人の会社か
らいただいたオファーなのですが、「人生一生勉強、それを授かるのは人
の縁」という思いを紡ぐためにも、チョット変化球のセミナーにしてみま
した。

ぜひご参加ください!
沢山の方とお会いできることを楽しみにしています。
(といってもトータル100なので残席はあまりないと聞きました)

2010年04月26日(月)更新

IABCアジアコンファレンス@香港 (4)4月9日

コンファレンス3日目は早くも最終日。会場では朝食も提供されるので、
みんな早めに来てそれぞれ立ち話や積極的に情報交換をしています。

以前はノートPCを抱えている人が多かったのですが、最近はほとんど
見かけません。逆にiPhoneやブラックベリーを持つ人がほとんどです。

以下、2日目に参加したセッションのタイトルと寸評です。
「4月9日」

7.モーニングキーノート:社員の意識共有を促す新たなルール
Mark Schumann, ABC


IABCのプレジデントでもあるマークシャーマンさんのプレゼンテーシ
ョンはオープニングレセプションのテーマを継承するものでした。
IABCに参加するようになって強く感じることですが、多くの企業や
団体が「社内コミュニケーション」をとても重要な経営マターとして
捉えているということです。

8.アジアでのブランドプレゼンス:BASF
Christian Schubert / BASF


ケミカル業界の企業の評判はイノベーションではあまり高くないのに
「環境危機や危険」というキーワードだとトップに来るという状況にある
ため、継続的な安全性へのコミットメントを表出していくこと以外に信
頼を得る方法は無いと考えているようです。

また、「サスティナビリティ」という言葉はCSRなどでよく使われますが
流行り言葉のようで耳障りは良いですが具体的にその企業の考えや
行動に落とし込めていないところが多い、という指摘はドキットするもの
がありました。

BASFでは「自社の立場」でモノを言うのではなく、社会市民の立場で
それに応えようとしているようです。
たとえば「アフリカは地理的にはヨーロッパ、アジア、アメリカの中心に
位置するのに、その世界の真ん中が一番貧困なのはおかしいのでは
ないか?」というような提言です。

また自国やヨーロッパで展開するキャンペーンやコミュニケーションのア
プローチを翻訳レベルでそのまま他の地域(特にアジア)に持ってきて
も機能しない場合が多い、というのも面白い考察でした。
ローカルのコミュニケーショントレンドやビジュアルランゲージの理解無
しにはブランドの確立は難しい、ということです。

basf1

9.なぜ「エンプロイコミュニケーション」は経営の重要課題なのか
Paul Matalucci, ABC / Wordwright Communications, Inc.
Pauline Young / Wordwright Communications, Inc.


これは広報や人事担当者のみならず、わたしのように外部から企業の
コミュニケーションに携わる立場にとってもとても価値のあるセッション
でした。(もちろん経営者にとっても)
アメリカ的かもしれませんが、このセッションも前日のユニリーバと同様、
ロジカルなアプローチを取っています。

通常、「エンプロイコミュニケーション」というと、経営者の言いたいことを
どう効率よく社員に届けるか、というベクトルで考えることが多いのです
が、逆に社員を通して社会の変化やニーズ、課題など、経営者が欲しが
る情報を届け価値化していくところから始めるというのが興味深いところ
です。
また、エンプロイコミュニケーションの課題が解決できない理由の多くは
ツールや仕組みではなく、それをドライブする担当者の育成が滞っている
ところにあり、社員の生産性の低下や離職のコストと比較して担当者の
育成と維持コストがとても安いと説明していました。

多くの企業が「伝えればよい」程度の意識でいるため人材育成の方法や
キャリアモデルが十分で無い状況だ、というのは日本企業でも同じでは
ないでしょうか?

young1

10.キーノートランチョン:社会を変革させるコミュニケーション
Tony Meloto / Gawad Kalinga


トニーさんは社会福祉団体ガワード・カリンガに属し、フィリピンのスラムの
環境改善に尽力されている方です。
フィリピンは貧富の差の激しい国で、国を繁栄させるためにはその解消が
欠かせない、と貧困地区に家を建て、自立を支援する農場や灌漑施設、
教育施設などを作っています。
これらのプロジェクトが今日かなりの成果を見い出している要因は、ひとり
の人間の情熱だけではなく、類まれなるコミュニケーションリーダーシップ
にあるということが伝わってきました。

meloto

11.ソーシャルメディア時代の危機管理
Gerry McCusker / Engage ORM (Online Reputation Management)


ネットの発達によって以前にもまして企業の不祥事や事件、事故が数多く
取りざたされるようになってきました。
「ほとんどの場合、それは企業の独善性とコミュニケーション品質の低さに
ある」とジェリーは説きます。

広報の仕事は「公聴(意見を聞き入れる)」ことの重みが増してきたとも言
えるでしょう。
北米では50%以上の企業がネットの無料モニターツールを活用している
と言っていました。さまざまなツールの紹介と共にそれらを通じて常に事
実の確認とレポート、対応を行う詳細なプロセスを紹介してくれました。
これは非常に役立つ内容でした。

gerry

12.アジアのメディアを理解する
Moderator / Thomas Crampton / Ogilvy Public Relations Worldwide
Panelists / Mary E. Kissel / The Wall Street Journal Asia
Kenneth Howe / South China Morning Post
Jasper Chan / Alibaba Group


オグルビーのトーマスさんが改めてモデレーターとなり、アジアのメディアや
企業のパネリストと、マスメディアの特徴を議論しました。

アジアはさまざまな国や文化が集まる地域なので、情報価値の捉え方が
難しいのが現実です。「マスメディア」も単にニュースを伝えるということだけ
では存在意義を問われるようになってきているということなのです。

一番印象に残っているコメントは
「企業はプレスリリースに”事実”を書いてよこすが、われわれが欲しいのは
”アイディア”なんだ。それが記事(価値)となることを理解して欲しい」
というものでした。

参考になります。

asiamedia

13.クロージングキーノート:企業コミュニケーションの将来
Steve Crescenzo / Crescenzo Communications


クロージングキーノートはグローバルコンファレンスでも人気のスティーブ・ク
レセンゾさんが、キャリアモデルとしての企業コミュニケーターが、これから5年で
どのような変容を遂げるのか、という未来志向の話をしてくれました。

メディアの移り変わりやテクノロジーの進歩への対応など、さまざまな要素が
ありますが、それらに振り回されることなく、結果(=ビジネスや社会への貢献)
を出すために重要な資質はずばり「クリエイティビティ」だと述べています。

厳しく、急速な変化が起こりえる現代においては「ヒト、モノ、カネ」が無いから
何も出来ない、では始まらない、ということです。

そのためには
1.他者理解や感受性
2.ストーリーの発見と伝え方
3.マネジメントだけでなく社員みんなのコミュニケーションを活発にさせるための
  コーチング、アドバイス、アシスタンス
がキーになるでしょう。

奇しくもオープニングでマークシャーマンさんがおっしゃっていた

「だからこそプロのコミュニケーターの役割は、リーダーや企業の特
質をとらまえ、人々が求めていることに応えるところにあるのです。」

に見事に呼応する内容でした。

cresenzo

       ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

あっという間の2日半でしたが、強く感じたことは
「日本企業や社会の存在の希薄さ」
でした。

正直、日本からの参加者はわたし一人ですからしょうがないのですが、個別に話を
すると、結構みんな日本に興味を持っているのがわかります。
しかし相手がどのような興味を持っているか聴く機会がなければ、伝える(伝わる)
きっかけになりえない、ということなのです。


「グローバルコミュニケーション」、「コミュニケーションリーダーシップ」、「グローバル
ソーシャルレスポンシビリティ」
どれも日本企業や社会の弱い、あるいは欠けているといっても過言ではないテーマです。
まさに「ジャパン・パッシング」がなされている現状を踏まえ、逆にこれらの意識付けから
コミュニケーター人材の育成を行うことが日本企業や社会に必要なことなのではないでしょうか。

アジア大会は「グローバルコンファレンスのダウンサイズ」程度に考えていた私にとって
逆にかなり考えさせられる機会になり、参加して本当によかったと思いました。

jim1
最後のセッションで偶然隣に座った男性(手前の白いシャツ)の方は、私以外に
日本から参加された唯一の方で、沖縄の米国海兵隊の広報の方でした。
もちろん日本でのIABCの活動にも大きな興味を持ってくださっていました。
最後にまた、強い味方を得ることが出来ました!
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会社概要

1999年2月創業。 ビジネスにおけるインターネット活用経験は日本のインターネットの発展の変遷とほぼ同期しており、豊富な経験を有する。 主宰者は企業広報から自己啓発でWEBマスターになった経験から、今後オンラインを中心とした企業コミュニケーションが重要になるとの思いで独立、創業した。...

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個人プロフィール

美術大学デザイン科を卒業後、12年間工業デザイナーを勤める。当時勤めていた外資系メーカーで本社出張を重ねるうち、本社の親組織で行っている「コーポレートコミュニケーション」の役割と重要性に魅了され、セルフリストラして広報部に社内転職。自ら部門を超越した「コーポレートコミュニケーション」を実践する...

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